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【超ショートショート】(10)~しゃべる〔いくら〕~byドリフ

暖簾(のれん)をくぐる〈いかりや〉

「(震える声で)いらっしゃいませ~!」
「あっ、こんばんは。」

カウンターに座る〈いかりや〉

「(震える声で)今日は何にしますか~旦那さん。」
「え~とね、おでんとビールをもらおうかな?」
「(震える声で)ふぁ~い!」

震える手で、ビールとおでんがカウンターに並ぶ。

「どぉ~うぞ、召し上がれぇ~!」
「あっ、いただきます!(笑)」

おでんを食べ、美味しいとうなずく〈いかりや〉
すると、ビールを注ぎはじめる〈ひとみ婆ちゃん〉

「そうだ!忘れてたよ!
コレ、あなたにあげようと思って・・・」
「(震える声で)何ですか~?
そんなに私に気を使って口説こうなんて~!
(不気味・笑)今日は~・・・」
「ないないない!あるわけないでしょう!(怒)
だから、そうじゃなくてね!」
「(震える声で)くす、くす・・・(涙)」
「あ~あ~あ~、わかった。
私が悪かったですよ!私の言い方が。(ため息)」
「(不適な笑みで)じゃあ今晩?(笑)」
「だから、ないっ!絶対にないっ!(激怒)」
「あ~~~~~!(号泣)」

とりあえず、
〈ひとみ婆ちゃん〉をなだめる〈いかりや〉

「それでね?話聞いてる、婆さん?」
「(震える声で)はぁ~い!何ですか?」
「コレ、今日取引先からもらったんだけど」
「はぁい!」
「〔いくら〕なんだけどね?
私さぁ、〔いくら〕が苦手で、それで、
ほらっ!痛風でしょう!
だから食べられないのよ。」
「はぁ~い!」
「だから、
もし良かったらもらってくれないかな?」
「(しゃんとした声で)良いんですか?」
「家も遠くて、持って帰れないからさぁ!」
「(しゃんとした声で)じゃあ頂こうかね。」
「そうしてくれる?」
「(震える声で)はぁ~い!ありがとうございます。」
「こちらこそ!」

〈ひとみ婆ちゃん〉の大好物は〔いくら〕
早速、お客の前で、
〔いくら丼〕を作り食べはじめる。

「(しゃんとした声で)
では早速食べてみましすね?ウッシッシ(笑)。」
「何~、そんな気持ち悪い笑いをして~」
「あっ~!私、〔いくら〕が大の大好物でしてね!
正月以来だから、
旦那さん(〈いかりや〉)に口説かれるよりも、
(鼻息荒く)興奮しますわね!(笑)」
「あ~ぁ!それは良かったですね!(あきれ顔)」

〈いかりや〉は、〈ひとみ婆ちゃん〉が
〔いくら〕を口に入れた瞬間、
大切なことを伝え忘れていることに気がつく。

でも、その気づきが遅かったため、
〈ひとみ婆ちゃん〉は、
〔いくら〕を食べるなり、むせ返ってしまう。

「あっ!大丈夫!(困)」
「(ひとみ婆ちゃんしゃべれずせき込む)
ゴホン!ゴホン!・・・」
「ごめん!ごめん!
1つ言い忘れていたことがあったんだ!(苦笑)」

それを聞いた〈ひとみ婆ちゃん〉は、
突然目を見開き、怒りモードで、
せきを飲み込んだ!

「あの~!この〔いくら〕ね!
不思議な加工がしてあってね!
まだ試作品だから、取引先からもらったとき、
“食べるときは1粒ずつ食べてください”と、
言われていたんだよね!(苦笑)」
「えっ!(驚)」
「(恐縮しながら)
つまり、一度にたくさんの〔いくら〕を
口に入れると、今みたいになっちゃうんだよね。」
「(目を見開いて)えっ~~~!(驚)」

〈ひとみ婆ちゃん〉の冷たい視線の中、
〈いかりや〉は話を続けた。

「いい、ひとみ婆さん聞いてね!
これを・・・この〔いくら〕を1粒ずつ食べると、
おもしろいことが起こるって、
取引先の人が言ってた。」
「(興味が沸いたように)どんな?」
「それは食べてみてよ!(笑)。
私も話だけで、見たことがないんだからさ!(笑)。」

〈ひとみ婆ちゃん〉はむせ返ったことで、
〈いかりや〉への不信感を募らせ、
〈いかりや〉と〔いくら〕を交互に、
首を上下して睨(にら)み付けた。

「(震える声で)
コレ~!本当に食べても大丈夫な
〔いくら〕なんですか?
婆さんだからと、
(おどろおどろしい声で)
毒味をさせられていませんかね?」
「ないよ、ないよ!
私がそんなことする人間に見えますか?(笑)」

〈ひとみ婆ちゃん〉は鋭(するど)い目をして、
深くうなずく。ドリフでの長年の恨みを込めた
{志村さん}のうなずきであった。

「い~や~!
だからと言って、私、そんなことしませんよ!
も~う、困っちゃうな~!(苦笑)」
「(はきはきとした声で)
わかりました!わかりました!
とりあえず、1粒食べてみますから、
(震える声で)何かあったら、
救急車を呼んでくださいね。」
「はい!わかりました!」

覚悟を決めた〈ひとみ婆ちゃん〉は、
〔いくら〕を1粒、箸で持って口へ。

「〔いくらの膜がはじけると声が)
ちょっとだけよ!(by加トちゃん)」

〈ひとみ婆ちゃん〉と〈いかりや〉は、
その声に驚き、カウンター越しに見つめ合う。

「(驚いた声で)
なっなっ何ですか?今の!
私の声じゃないわ!」
「え~!コレ実験が成功してますね!(驚)」
「え~~っ!どういうことですか?」

〈いかりや〉は〔いくら〕について説明する。

「この〔いくら〕は、
ある特殊な加工技術によって、
〔いくら〕の赤ちゃんが
口の中で生まれた瞬間に話す、
そんな加工をしてあるんですよ!」
「(涙で震える声で)
私、赤ちゃんを生んだのですか?今?」
「いや、〔いくら〕の赤ちゃんだよ!」
「(嬉し涙の声で)でも、今、私、
赤ちゃんを生んだんですね?
旦那さんの!(嬉し過ぎて号泣)」
「(怒鳴り声で)
だから違うって言ってるでしょ!(怒)」
「(めっちゃさばさばした声で)
はい!はい!わかりましたよ!」

〈ひとみ婆ちゃん〉は独身で、
一度は結婚したものの、
子宝に恵まれず、捨てられたことから、
女性として、お産には人一倍興味があった。
〈ひとみ婆ちゃん〉の子どもの頃の夢は、
お母さんになることだった。

「(悲しい声で)赤ちゃん、食べちゃうんですか?」
「そうだけど、婆さん違うんだよ!」
「(いつもの声で)でも、赤ちゃんのわりには、
おじさんみたいな声をしてたわね?」
「じゃあじゃあじゃあ、
ほかの〔いくら〕も食べてみてよ!
かわいい女の子もいるから。(苦笑)」
「そうね!こんなたくさんあるんだもの!
みんな産んであげましょう!それに、
ピチピチギャルの声になったら、
今度こそ、今晩・・・旦那さん?ヒッヒッヒ!(笑)」
「だからないって!もういい加減にしてよ~!(怒)」

〈ひとみ婆ちゃん〉は、
スプーン一杯の〔いくら〕を口に入れた。
すると、〔いくら〕の声で、

「加トちゃんペッ!」
「いや~ん!ばか~ん!」
「どこ見てるのよ!」
「ちょっとだけよ~!」
「アイーン!」
「だっふんだ!」
「欧米化!」
「ヘックション!(by加トちゃん)」

嵐のように、一斉にしゃべりだす〔いくら〕に、
〈ひとみ婆ちゃん〉は、悶絶して、
最後の〔いくら〕のくしゃみによって、
〈ひとみ婆ちゃん〉の入れ歯が、
〈いかりや〉の唇を奪って、Kiss!

その瞬間、〈ひとみ婆ちゃん〉は、
入れ歯に嫉妬心!

「私も私も旦那!」
「ダメだこりゃ!」

〈いかりや〉は店を後にする。


(制作日 2021.6.14(月))

そもそもコントの台本って、
どんなふうに書いてあるものなのか?
その台本を読んで、
笑えるものなのか?
または、
演じてみるから笑えるのか?

そんなことを考えて、
とりあえず、この話がきのうから、
頭から離れず、困っていたので、
今日書いてみました。

登場人物名からもわかるように、
ドリフのコントにある、
ひとみ婆さんの居酒屋さんのお話です。
お客さんはいつもいかりや長介さん。

本物のコントでは、いつも、
いかりや長介さんはめっちゃめっちゃになって、
「ダメだこりゃ!」と帰っていくんですね。

そのコントの流れを真似て書いてみました。

「いくらが、口の中ではじける度に、
しゃべったら、どんなに面白うのか」

そんな発想です。

例えば、
口の中ではじけるお菓子とか、
サーティワンのアイスにも
はじけるアイスがありますよね?
それらを食べると、
口の中でおしゃべりしているようで、
またはじける度に、
痛いっというビックリをします。

解説のまとめが見つかりませんが、
今日やっと、頭の中で上映されていた
コントをお披露目できて、
良かったと思います。

今日のお話も
CHAGE&ASKAの楽曲を含んでいません。
でもこれで、
通常通りCHAGE&ASKAの楽曲へと戻れそうです。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/


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