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【超ショートショート】(104)~野球ボールになった少年の始球式~☆CHAGE&ASKA『the corner』☆

野球好きの少年が野球ボールになった日。

真新しいビニールをかけられ、

大切にベンチに運ばれた野球ボール。

審判に渡された野球ボールは、

マウンドで審判からピッチャーに渡された。

野球ボールになった少年はワクワクしていた。

だが、ピッチャーの様子がおかしい。

まず、チームのユニホームを着ていない。

その上、キョロキョロと落ち着かない。

野球ボールになった少年は

大丈夫なのかと心配した。

ピッチャーは、野球のボールの感触を確かめると、

キャッチャーのサインを見つめた。

そして、何度も何度も首を振った。

野球ボールになった少年は自分が

どんなボールで投げられるのか気になった。

やっとピッチャーがサインにOKを出すと、

投球フォームに入り、

バッターを見つめる振りをして、

3塁の江藤智内野手に牽制球を投げた。

野球ボールになった少年が

「危ない!」

と叫ぶ所を、さすがはプロ内野手。

暴投になりかけたボールを見事にキャッチ。

この時野球ボールになった少年は、

暴投された自分を押さえ込み、

江藤内野手のグローブめがけて飛びこんだ。

江藤内野手は、苦笑いをしながら、

ボールをピッチャーに送球した。

そして、マウンドに駆け寄ると、

こうピッチャーに話した。

「今日は始球式です!(笑)」

野球ボールになった少年は驚いた。

「今日は始球式?!」

江藤内野手が3塁に戻ると、

再びピッチャーが投球フォームになった。

そして、タイミングを図りながら、

まっすぐストレートを、

ストライクゾーンギリギリのコーナーに投げた。

だが、微妙だがアウトコースだったボール。

野球ボールになった少年は、

先ほどの初体験を生かし、

ボールの軌道を修正し、

ストライクゾーンのコーナーギリギリをめがけ、

キャッチャーのグローブへ飛びこんだ。

バッターの空を切るバットの素振りの音がした。

そして、野球ボールになった少年は思った。

「始球式のピッチャーは誰だ?」と。

野球ボールになった少年が目を覚ますと、

テレビから誰かの曲が聞こえてきた。

少年はテレビを見ると、

「あっ!この人だ!」

「さぁ、朝から何寝ぼけたこと言ってるのよ!

早く起きなさい!」

とお母さんに言われた少年は、

野球ボールになった自分は夢だったと、

やっと気づいた。

少年が学校に行くため着替えをすると、

左の二の腕に

野球ボールの模様が残されていた。

(制作日 2021.9.15(水))
※この物語はフィクションです。

今日は、
1995年9月15日、広島対巨人戦で
ASKAさんが始球式に登板した記念日。

ちょうど当時、
広島でCHAGE&ASKAのコンサートで訪れていた。
ASKAさんが滞在するホテルに、
初対面となる当時広島の江藤智内野手が訪問。
直々に始球式への打診があった様子。
そして偶然にも、
たまたま始球式の日がオフ日だったこともあり、
ASKAさんは始球式に挑んだ。
ASKAさんのノーバンウドのボールを見た観客から
拍手喝采をいただいた。
もちろん、
翌日の新聞にも出たということです。

以上の出来事を参考に、
始球式の様子のお話を書いてみました。

参考にした曲として、
CHAGE&ASKA『the corner』
野球用語の「コーナー」の
『the corner』ではない。
ただの言葉遊びとして選曲しました。
曲の世界観と物語とは違います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲
CHAGE&ASKA
『the corner』
作詞作曲 ASKA
編曲 松本晃彦
☆収録アルバム
CHAGE&ASKA
『NO DOUBT』
(1999.8.25発売)

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