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【超ショートショート】(262)~前からの約束~☆ASKA MUSEUM in タワーレコード渋谷☆

肩をポンポンと押された。

春の京都で、静寂の部屋の中で、
一人の人に出逢う。

その人は、
正面を向いて立つのに、
顔だけ後ろを振り返っていた。

誰も見学者もいない頃、
何気なくその人の前に座ってみる。

呼ばれたわけでもなく、
ただその空間の神々しい金色の光に、
誘われただけだった。

「あの~、なぜか、誰かが、
私の肩を押すのですが・・・
いつも振り返って見ても、
その押した人が見えないのです。
一体誰が押しているのでしか?」

私は静寂の中で、
そう心の声で問いかけてみた。
すると・・・

「それはね、あなたにはまだ見えないのよ」

「なぜです?」

「これから出逢う人だから」

「これからってどれくらい先?」

「再来世かしら!?(笑)」

「再来世?」

「冗談よ(笑)」

「はぁー良かった!神様でも冗談言うんですね」

「私は神様じゃないわ」

「あっここはお寺でしたね」

「うふふ(笑)」

「あの~?」

「これから、また肩を押されたら、
こう言いなさい。〈あなたは誰ですか?〉」

「いつも話しています。」

「ずっとよ!その人が自分から
姿を現すまでずっと言いなさい」

「でも、本当に再来世まで姿を見せなかったら?」

「それはないわ!」

「えっ!?どうして?」

「それは・・・もう出逢っているからよ!」

「出逢ってる?じゃあ知ってる人ですか?」

「そうね!でもね、今はまだその人は
あなたに逢うまでには時間が必要なのよ」

「何で?」

「それはね、あなたのように、
心を定めきれていないからよ!」

「定める?」

「そう、あなたは心を定めてるでしょう?」

「いや、あの~え~と(苦笑)」

「ふたりともそれだから逢えないのよ!」

「ふたりとも?」

「ふたりともまだ夢のことだと逃げているの。
自分の気持ちから。でもね、
どんなことが未来起こっても、
この世の縁は必ず繋がって
ふたりを引き合わせるはずよ!」

「でも、そんなこと言われても、
私、まだ、その人に逢ったことないし、」

「あなたが知らないだけで、
あなたをずっと見ているわよ!」

「イヤイヤ、またまたご冗談を(笑)」

「本当よ!」

「・・・」

「いい?今日ここを出たら、
平安神宮に行きなさい。
その近くで、あなたの肩を押す人に出逢うはずよ!」

「また肩を押されるだけ?
姿は?」

「肩を押されて、振り返れば
姿も見えるわよ!
あなたが自分の心をそれまでに定めていれば(笑)」

夕方、そのお寺を出て、
言われたとおり平安神宮へと歩いた。

そして、平安神宮で教えられた通りの
お参りをして、平安神宮の門を出て、
右へと続く道を進んだ。

「公園の先に建物が見えるから、
その建物の一番大きな入り口に入りなさい。
その時に必ず肩を押されるはずよ」

公園の先にある建物の前で、
少し立ち尽くすと、
言われた通り、
肩をポンポンと押された。

私はすぐに振り返ると、
やっぱり誰もいなかった。
少し諦めかけた気持ちで、
とりあえず建物の入り口へと歩こうとした。

その時・・・

「ここにいるの、まだ気づかないのか?」

と話し声が聞こえた。
その声のする方へ振り返ると、
誰かが居たのである。

「ずっとここに居たのに、
いつもいつも気づかないふりをするんだ?」

「いつも?いつもは居ないよ!
じゃあ、いつから居たの?」

「それはエジプトの壁画が描かれた頃かな?」

「それはいつよ!そんな昔からいるわけないじゃん」

「居たさ!ずっとずっと君の側に居たさ!」

「居ない!」

「居たさ!君が気づいてくれないから、
今日まで見えなかっただけだよ!」

「嘘だよ!」

「いや本当だ!
僕はずっと前から君に逢っていたさ」

「・・・」


私は、
そんな夢の物語のような展開に戸惑った。
そして、
あのお寺で教えてもらったことを思い出した。

「いい!もし、自分の起きた出来事に、
どうしても迷ったり、理解できないことがあったら、
絶対逃げないで!そして、
必ず平安神宮でもらったおみくじを読みなさい。
そこにヒントがあるからね」

もらったおみくじには、
春の訪れを伝える和歌があった。
ただ、
冷静にその言葉を読むことができなかった。

また、肩をポンポンと押された。

「じゃあ、後でね!」

「えっ!?どこに行くの?」

「決まってるだろう!(笑)」

「もう逢えないの?」

「だから、じゃあ、後でねって言ってるだろう」

「うん」

「お寺で言われたとおり、
それまでちゃんと心を定めろよな!
いいな?」

「うん?!定めるって何?」

「それは・・・」

「それは?」

「おみくじに書いてあるだろう(笑)」

また、私はおみくじを見た。

おみくじの待人には、
「便りなく来る」
と書いてあった。

(制作日 2022.3.13(日))
※この物語はフィクションです。

2年前の今日、
2020年3月13日(金)
東京のタワーレコード渋谷にて、
当時ニューアルバム『Breath of Bless』発売記念
ポップアップイベント【ASKA MUSEUM】が
初日を迎えました。

その初日の夕方に、
ASKAが突然来場。
その出来事を参考にお話に書いてみました。

当時の同じは、
本来の予定では、
ASKAさんは大阪でコンサートでした。
個人的なお話ですが、
私もそれを見に行く予定でした。
だけど、大阪公演はコロナで延期となり、
後に中止されました。

その大阪ではなく東京で、
ASKAさんに出逢えたちょっとした奇跡。
忘れることはできませんが、
あのときからずっと夢の中の出来事のような
感触で思い出します。

その感触に似ていたのが、
自分の経験では、
ある京都のお寺のある仏像のいる前でした。
秋には紅葉で有名なお寺も、
春は訪れる人もなる、
仏像のいる部屋を独り占めできました。

そんなことを思いながら、
今日のお話になっています。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/




 


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