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「虎に翼」の寅子の結婚についてーときめきとは?

最近、私は「虎に翼」を観ていても、あまりときめかなくなった。
ときめいたとすれば、尊属殺重罰規定が違憲判決につながる事件の話くらいである。

その判決については知っていたし、その被告が美人だったことも知っていた。こともあろうにその裁判を引き受けたのは、美人だったからだという話まであることを知っていた。

京都のある大学の成り立ちについて、

一つは、京都の○○大学の先生が、勤労学生たちのためによる授業をしに行った。

とも言われるし、もう一つは、

○○大学の先生が、芸者さん遊びをするためのお金を稼ぐために授業に行っていた。

とも言われているのを知っていた。

そのどちらも正しいのだろうと思っていた。
だから、どちらで語るか?というところで、その人の人柄や考え方が分かろうというものだと思う。

というわけで、尊属殺重罰規定について、被告が美人だから、という表現を聞いて、おそらく、それは美人だったからと言うのが後付けされたのではないか?と思った。

そんな簡単なことで引き受けられるような事件だろうか?
歴史に残る判決になるかもしれなかったはずである。その時点では。
そして事実歴史に残る事件となり、判例となった。
そしてその後、憲法第十四条に違反するとして、刑法二百条は削除された。

確かに美しい女優さんが、それもなかなか女性的に魅力的な女優さんが配役されていた。
そのどちらにも真実があるかもしれないけれど、私はつい、やはり弁護士としての正義が突き動かされたのだと思いたい。

とはいえ、誰だって魅力的な人には何かしたくなるというものだろう。
その女性が、もしかしたら、この人のためになら何かしてあげたいと思わせるような何かがあったのかもしれないと思うのである。

私もついさっきそういうことにぶつかったのであるが、この人のためになら、と思わせられる人になら、できることもあると思う。
無理をするのだから、相手にそれ相応の魅力があるとやる気にもなるというものだろう。

やりがい搾取ではないが、相手の厚意や思いやりに甘えていてはいつか相手もしんどくなってしまう。

と思うわけなのだけれど、それよりも何よりも、どうして仲野太賀演じる優三さんとの結婚にはときめかされ、ものすごく心に響いたのに、優三さんよりもずっとずっと「条件の良い」「素晴らしい」結婚に見えるのに、岡田将生演じる航一さんとの結婚生活にはときめかないのだろうか?

これって、私の結婚観に似ていると思っている。
優三さんのような人が私は大好きである。
そっと自分を理解してくれていて、それに、勝つことに突っ走っていないで、人間である自分を受け入れ、そして相手も受け入れている人。
理想なんだと思う。
私もそういう生き方がしたいと思っているけれど、どこかでそれができなくなってしまうことがある。
それを弱さとして、人のことも自分のことも切り捨てなければならないときがある。
航一もまた、そんな心をどこかに置き去りにする人でもなさそうである。
でも、私は優三さんが好きなのである。

今、優未を見ていると、むしろ優三さんよりも航一さんの娘のような性質に思える。これから何があるのかはわからない。再婚してもどちらも言いたいことを言ったり、話し合えたりするのは、おそらく母親に経済力もあれば、知力もあってのことだろうとも思ってしまう。
こんなに人間同士が簡単にいくわけがないだろうと思う。

私は立派な人と言うよりも、気持ちに寄り添える人が好きだった。
だから、夫と結婚して、形ばかりを追いかけた結婚のように感じられ、それまでも夫の仕事に対しての違和感はあったのだけれど、それは結婚してからの方が形としてそう理解してしまった。
こんなの生活じゃない。
誰かの気持ちなんてどうでもよくて、何が生活なのだろうか?

私は夫の職業のために結構誤解されてきたと思う。
褒められるたびに、

違うんだけどなあ・・・。

と思っていた。
その世界での価値観を自分にも適用されることが辛かったし、今でも友人たちから、その手のことで話されると違和感を持ってしまう。

若いんだけど、めっちゃくちゃ若い表現をしてしまうけれど、私は心の交流が好きなのである。事柄だけ、人から見たときの、立派さや事柄だけでいい状態ということに全くときめかないのである。
社会生活を送っているのだから、当然周りからの目というものが大事で、だからこそ周りとやっていけるのだけれど、でも立派さだけを追求する気になれない。

何も航一さんが悪いわけではない。
ただ、この人、私はときめけないのである。
それに、寅子がときめいている様子も感じられないのである。
なぜだろうか?
ちゃんと仲良く生活しているではないか。
素敵な家族ではないか?
航一さんからの思いはなんとなくわかる。伝わってくる。
でも、航一さんの魅力があまりわからないのである。

おもしろい人が好きである。
むしろ桂場の方が私にはおもしろく思える。
女性への理解も、そもそも時期尚早だと言った時に私はこの人の内面の深さが好きになった。
決して人として全く同感ではないが、それでも、ただのいい恰好しいでもなく、現実主義で、女性をあれこれ、と言っているが、それだって現実に即した考え方に思われる。

女性を素敵な女性にしておけるのも立派な男性の力であろう。
一つには、男性が素敵でないから、女性が男性の分までやらなければならなくなっている面もあると思っている。

お見合いに心ときめかなかった寅子の気持ちは今でも共感できる。
でも、一方、妻の仕事に理解がある夫もさながら、女性としてのあれこれに魅力を感じさせることができるのも本来男性の役割なのではないかと思う。

この人のためになら、共に生きていくことができるのなら、その道を行こうと思わせるのも力だと思うのだけれど。

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