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映画「僕は明日、昨日のきみとデートする」を観ました。

 先日、いわゆる自分の機嫌を取ろうと、まあ、映画でも観るか!と思ってた。最近、本一冊がなかなか読めなくて、それから映画も観たい!とワクワクばかりできない。かと言って、ちょっとばかりうさ晴らしもしたい気もする。

 ちょっと仕事帰りに食べやすいお菓子など仕入れ、よく行くドラッグストアには、イケメンのお気に入りのお兄さんがいて、まあ、自分の息子より若い彼は、よく行く私に何かあると、ささーっと寄ってきて、あれこれ世話してくれる。レジで二番目にいたりしたら、こちらにどうぞ、などと言って、ちょっぴり特別扱い。

 コンビニの店長さんも娘と同い年だけれど、まあ、この二人はツートップで私と仲良し。なんてったって、店長さんがいて、私がレジに並ぶと、自分がレジにいていいのかなあ・・・?と悩まれるくらい私たちが仲良しなのは周知の事実で、それが、この度ドラッグストアにも仲良しのお兄さんができた、という具合。

 これだけたくさん教え子がいると、ちょっと似通ったところのある若者を見ると、もしかしたら、教え子ではないか?私が忘れていて、あちらが覚えていたりしたらどうしよう?と思ってしまう。駅地下のお店の前を歩いていても、いまだ、先生!と声を掛けられる○○年前の生徒さんもおられるので、結構ドキドキ。

 ドラッグストアの彼と仲良くなってしまったのは、冬期合宿の準備のときだった。今回でもポイントたまったので、忘れたポイントカードを早く持って来てください、と注意され、とうとう昨日は、「ポイントカード作りましょうね!」と言われてしまったというありさま。

 で、家に帰って、あれこれをして、昔は寝る時間まで一緒だった人が、今はそばにいないので、私は自分の思い通りに使っているのだけれど、さてさて、とアマゾンビデオを見るけれど、イマイチピン!と来ない。

 けど、京都の美大生、という言葉に惹かれて、ある映画にたどり着いた。

 「僕は明日、昨日の君とデートする」

  正直、主演の福士蒼汰がどんな青年かもわからなかった。でも、私好みの、イケメンではない知的な主人公ではないか!?

 しかも、ちょっと素朴すぎて、私たちの大学時代より不器用な男の子。なんだか純愛だなあ・・・、と思って観ていた。そうか、この二人、お金を使って素敵なレストランに行くとかではない分、京都の日常を過ごしてい分、なんだか共感できる。一緒に引っ越しをしたり、京都の普通の八百屋さんでお買い物したり、ピザや唐揚げを、はふはふしながら食べている様子が、自分たちの学生時代と重なる。京都の日常。でも、もちろん映画の世界だから、違っても見える。でも、馴染みのある三条大橋。糺の森など、とても親しみのある場所で、この二人はデートする。本当に不器用な青年が私は好きだ。

 そうして観ているうちに、ただの可愛い恋愛のお話ではないことに気づきだした。

 そう、その前日に、人生というのは、ままならないことを受け入れるしかない、という話をしていたのだったけれど、本当にままならないことを受け入れる、ということを伝えるために、どうも作者がこしらえたプロットのような気がしてきた。

 時間軸を反対の方向に進んでいる二人が、つまりは片方が年を取れば、片方は若い方になる、という二人が、5年ごとに出会う。その二人が、20歳のときに、お互いの30日、若い男女のカップルとして過ごす。かけがえのない30日。ある日、彼女はその秘密を彼に話す。その時に戸惑い、苦悩する彼は、ある時、ふと気づく。自分の、この恋愛の楽しさは、彼女の苦しみによって支えられてきたことに気づくのだ。そのとき、その運命を受け入れた彼の、人間的な成長。友人役の東出昌大が、「なんかお前、落ち着いてきたなあ・・・。」と表現するときには、彼はすべてを受け入れている。

 大好きな彼が、初めて、○○した日、というのは、彼女にとっては、最後の○○した日になる。だから、彼女はいつも泣いている。

 そんな運命を知るのだけれど、私はめずらしく泣かなかった。すれ違いではなくて、ずっとつながってる、という認識。それがわかるような気がした。何もいつも一緒にいることだけが、愛ではない。思い合ってる、という事実?いや、真実が、彼らの人生を支えていくのだ。

 一緒にいても、心が離れている場合なんてたくさんある。でも、この二人は、心は一生一緒にいる。思い合っている。自分のことだけを考える身勝手な愛ではなくて、相手を必死で思っている愛。彼は、彼女の苦悩を想い、彼女は、彼の初めて自分に会う日を守るために、自分の苦悩と闘う。

 この二人、本当に愛し合っていて、つながっているんだ。お互いに大人になっていく過程で、幼い相手に出会って、一生懸命にその人生を励ましている。

 軽い恋愛映画ではなかった。人生を考えさせられる映画だった。

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