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恋していた瞬間!?

 さあ、らしくないことを書いてみよう・・・!?

 そう、大好きなレナード・バーンスタイン指揮のニューヨークフィルの「白鳥の湖」(いや、本当は「くるみ割り人形」や「眠れる森の美女」も入っているのだけれど・・・。)を仕事の合間に聴いている。

 この曲は思い出の曲。まぎれもなく私が恋していたときの曲。誰に恋していたって?もう教員三年目に入ろうという春に高校生に恋していたのである。婚約者の待つ身でありながら・・・。(笑)

 実は、三年間という期限付き(これは婚約者につけられていたのであって、学校側は、私がいつまでも働くと思っていたと思われるのであるけれど。それに私もそれを望んでもいた・・・?)で高校の教員をしていた私は焦っていた。一年後に控えた結婚の準備に?いやいや、教師としての仕事を覚えたくて・・・。まるで青春時代?を生き急ぐように、生活指導、図書館に関わること、総務、国語科教員としての仕事、そして、吹奏楽部の顧問として、吸収したいことだらけだった。

 そんな折、先輩の音楽の先生から、「阪急少年音楽隊」の演奏会があることを知り、友達を誘って、聴きに行ったのである。大阪のフェスティバル・ホール。自分もステージに立ったことのある思い出のホール。ただ、近くにお食事できるところがあまりない。久しぶりに会うことのできる友人は、ロイヤルホテルのイタリアンレストランに行きたがった。私はそれよりなにより、もう、吹奏楽が聴きたくてたまらなかった。

 かつて阪急百貨店の社員教育として高校生のうちから音楽隊として活躍していた素敵なバンドだった。なぜか最前列。私がチケットを取りに行くのが遅くて、首が痛くなるような席になってしまった分、プレイヤ―の表情がよく分かった。しかも、私も担当していたパーカッションのある側。吹奏楽ではオーケストラでハープが演奏するところをヴィブラフォーンで演奏する。まだ初々しい一年生がマレットを握りしめて、ドキドキしながら、雰囲気を出しているのがわかった。楽譜通り音を叩けばいいってものじゃない。パーカッションの最初の一音が雰囲気を決めるときもある。あの最初の一音を出す緊張感を一緒に感じていた。

 中でも、素敵だったのは、ベースドラムをたたいていた、三年生らしいしっかりした男の子だった。大太鼓、というと、一番簡単な楽器に思われがちだけれど、何が何が。音楽のすべてを決めてしまうこともある楽器である。クラシックの大曲の後だったのだろうか?確か最後のアンコールのマーチだったろうか?彼は、マーチが始まる前に、指でトントン、と太鼓の表面を叩いて、ささっとチューニングをして、カッコよくマーチの大太鼓をリズミカルに叩いていた。たぶん、彼の高校時代で、最後の曲だったのだろう。

 意志の強さの感じられるパートリーダー。私は、その瞬間に、いつも教えている生徒たちと同じ年の男の子に、恋していた。素敵だった。指揮をじっと見つめる真剣な瞳。主張しすぎない演奏。音楽への真摯さ。彼の三年間が感じられた。

 何かに真剣な人が好きだ。なんでもいい。それが国語科の先輩なんかだったらめちゃくちゃ憧れただろう。でも、国語科、ってある意味余裕も必要な教科。でも、音楽は、かなり厳しい世界でもある。あの華やかさの後ろに、毎日の練習や、それこそ個性派ぞろいの中での人間関係。本当に青春そのもの。

 私にだって、そういう時期があったんだよなあ・・・。どこかでトラウマめいて、できなかった、と思っているけれど、人間関係に神経を使いすぎて、自分の音楽を考える余裕もなかったんじゃないかな。今、自分でピアノを弾いたり、歌を歌っているときは、結構歌えているような気がする。左手だって、自分の旋律を奏でている。

 なんで学生時代、あんなに音楽に対して、できない、と思い込んでいたのだろう?ドラムセットをもう一度叩きたいとは思わないけど、ティンパニやベースドラム、スネアドラム、鍵盤楽器を演奏したい気はする。

 とにかく、なんだか、若いころの恋とかって思い出せないくせに、いやいや生徒には、とんでもない烙印を押されそうなほどデートの話などはするけど、心ときめいた話、と思ってみると、その話を思い出してしまう。そう、高校教諭が、高校生に恋した瞬間。

 そんな真剣な表情に、今も憧れる。

 でも、若くても、尊敬したくなるような人格を備えた生徒もいれば、年とっても、およそ尊敬も惹かれもしない大人だっている。かく言う自分だって、そんな褒められたもんじゃない。ほかのことでだったら譲れることが、文章を書いたり、国語科がらみだったりしたら、すぐに熱くなってしまう。

 たぶん、私にとって、音楽は、永遠に憧れの世界なんだろうな。生きているのは、国語の世界。あるいはちょっと多めに見て、哲学も入れてもらう?

 ステージに復活を目指してるんだけどなあ・・・。今年?来年?それに、新しい楽器に挑戦?それとももともとのパートでデビューする?

 スタッフの仕事に期待しましょう。さてさて、私に余裕をいただけるのかしらん?おとなしくピアノを弾いてるのが関の山かもしれないなあ・・・。

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