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水が透明でよかった

水が透明なこと。茂みが川を挟んでいることがたまらなく嬉しい。

中学生の時暇があれば自転車で夜の匂いを嗅ぎに回ったしくたびれた草木が川にのしかかるのを眺めた。見たものを経験と重ねる今と違って、あの頃はただそこにある真理と向き合っていた気がする。夏の匂いや砂利の匂いが直接身体を動かして、明日したいことは明日考えていた。今よりうまく頭を使わずに生きていたように思う。そんな過去も今は直面した何かと重ねるための「材料」で、何も知らないでおきたいが知りたくてどうしようもない。2つ伸びた首がどんどん離れてく。

歴史は大きくてこわいもの。自然だって、ひとだって、大きくてこわいもの。疎外感に苛まれる。わからないものは怖い。知らないことは怖い。動かない山や土も、堂々としていて恐ろしく感じる時がある。例えではなくて、どうしたらいいかわからないときがある。川はいい。水は動いていて、疎外しない。段差があると泡を立てて存在を示す。何より透明で優しいと思う。

アップテンポな音楽はゆっくりと動く妙な画が浮かぶ。サカナクションのモスを聞いてバスの中車窓に移ろう景色を目で捉えながらイメージする人のような壁のような映像はスローモーションがかっこいい。僕も君もそれには劣るがかっこいい。大切な人といるなら尚かっこいい。

サカナクション山口一郎 aoiより青さ紙一重の危うさ それを鮮やかさと切り捨てたのはわかったから過程を教えてくれ。深い青ってのはどんなのや。今よりしんどいのか。楽しいのか。岡田斗司夫はおじさんは楽しいってなんかの動画で言ってたな。賢そうやし鵜呑みにする。本当のことを教えてくれ。

今鴨川にいる。右隣に外国人カップル左隣にギャル5人。ギャルの1人が酔っ払って後ろででんぐり返りした。ドキドキする。ピンク色のズボン。ドキドキする。

「知らない」も「やらない」も立派な経験。子供は「知らない」をやってるしホームレスは「やらない」ことをやってる。だからかっこいいし尊敬する。
経験ってのは世界一周とか珍しい職種につくとかそんな陳腐なものを指す言葉じゃない。もっと内省的で自分の中で起こること。自分の外側で起こる変化なんてそれだけじゃ取るに足らない。「知る」こと「やる」ことだけに焦点が当たっている人ほど視野は狭い。知らなくてもやらなくても経験は頭の中で積もる。僕達は魔法を使えるし、僕らは熊で土。

今夜のドレスは間違いない。
いつまでも格好を気にしている。
これはハッピーな気がする。

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