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2022年に読んだ本まとめ

2022年も年の瀬ということで、今年読んだ本を振り返ってみます。

1年間の振り返り

今年の読書履歴(Thanks to BookBank

今年は83冊、151,635円分の読書でした。
去年と比べると20冊ほど増加。今年は仕事の内容が大きく変わったため、その領域に関する本をよく読みました。新しい知識が必要になった時に読書を通じて先人から学べるありがたさを感じた一年でした。

振り返りピックアップ

今年読んだ本のうち、面白かったものをいくつか紹介します。

顧客起点マーケティング

今年の上半期はマーケティング的な仕事をやる機会があ離、マーケ本をいくつかか読んだがこれが一番面白かった。マーケティングというと「商品を魅力的に見せて売る」手法のイメージが強かったが、「商品自体の魅力」と「それを正しく伝える力」の両方が大事。ロイヤルユーザーに話を聞く重要性、ブランドは抽象的なものではなく計測できるなど、なんとなくモヤっていたことを明確にしてもらえた。

旅する練習

今年はあまり小説は読めなかったがこの本は面白かった。小説家の叔父とサッカー少女の姪が鹿島まで旅をする話。旅の道中で描かれる風景描写は美しく静かだが、心を掴まれて夢中になって一気に読んだ。

ぼる塾日記

お笑い芸人のぼる塾は実は4人組で、リーダーの酒寄さんは育休中。そんな酒寄さんがぼる塾メンバーの日常を書いた本で、これがめちゃ面白い。
基本的に平和な日常が描かれているだけだが、メンバーのキャラの良さがありニヤニヤしながら読み進められる。ハライチ岩井さんのエッセイと同じく、事件がない日常を楽しむスタンスが心地よい。

奇跡の教室

関西の受験名門校として知られる灘校がまだ滑り止めとされていた時代、エチ先生は一風変わった授業を行う。それは中学3年間教科書を使わず、一冊の小説を読み尽くすことで国語を教えるということ。「国語はすべての学問の基礎」として生徒の学ぶ力を向上させた。
題材となった小説に登場するシーンについて生徒たちで話し合い、まとめ、それにタイトルをつけていく。聞くだけじゃない参加型の授業で、こういう授業をうけたかったと思わされるノンフィクションストーリー。

あふれでたのはやさしさだった

奈良少年刑務所で行われた「教室」。そこでは受刑者たちが絵本を演じたり、詩を作ったり、声を掛け合ったりする。教室を通じて、最初は自分を出せない受刑者たちが少しずつ自分の内情を表現できるようになっていく。受刑者が詠んだ詩が作中で紹介されるが、その表現の美しさに圧倒された。
最近は心理的安全性という言葉について思いを馳せることが多いが、その一段階深いものというか、人が自己表現をしてそれを受け止めてもらえることの可能性を教えてもらった一冊。

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理が証明されるまでを綴った数学ノンフィクション。何世代にも渡って挑戦した天才数学者たちの物語、それが少しずつ連鎖し証明へと繋がる。
数学的な内容のため理解が難しいはずが、サイモンシンの圧倒的なエンタメ力で抜群に面白いものになっている。「ヒカルの碁」という漫画が好きで、囲碁のルールは全く知らないのに物語にどハマりして気づけば碁盤を買っていたあの感じを思い出した。
印象に残っているのは「数学は美しい」という考えで、ワークアラウンドな解決策ではなくシンプルでエレガントな表現を追い求める姿勢は真似させてもらいたいと思った。

トーフビーツの難聴日記

音楽家として活躍するトーフビーツの約3年半分の日記。
彼のファンが読む本な気がするが、自分は逆で日記を読んでからファンになり、楽曲を聴き始めた。コロナ禍を含む日常に対する考え方や姿勢が面白くてスラスラ読め、日々を解像度高く記録したものがこんなに面白いのかと日記の可能性を改めて感じさせられた。こういう日記を書きたい。
(難聴とタイトルにあるが闘病記では全くない)

苦しかったときの話をしようか

USJの業績をV字回復させたことで有名な森岡さんが娘に宛てて書いた本。印象に残ったのは就活や仕事についてのセクションで、人に生まれ持った強みや弱みはなく、あるのは特徴だけという話。その特徴が強みになるか弱みになるかは置かれた環境や文脈によって決まるので、自分の特徴が活きる場所で活動しよう、というメッセージ。多様な働き方が社会に認められてきていると思うので、自分がフィットする形でみんな活動できるといいですね。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか

社会人になる頃からロジカルシンキングが重要だと言われ、論理的に説明する能力が重視されてきた気がしている。数字は要素を因数分解でき、誰もにわかりやすく説明できる一方で、センスのような抽象的なものは切り捨てられがち。
本の中で紹介されていた「サイエンス vs アート」の構図になると必ずアートが負ける(曖昧な概念だから)という話が面白かった。この本を読んでから、仕事で何かを判断するときにアートで発想してサイエンスで検証することを意識するようになった。

千年の読書

「眠れない夜に読む本」「お金」「瞑想と脳と自然」などのテーマに分け、いくつもの本が紹介されている。
紹介されたものの中から興味を引いたものをいくつか読んだがどれも面白い。普段は自分の興味あるテーマの本ばかり読んでしまうので、こういう新しい分野の本を知れる機会はありがたい。

他者の靴を履く

エンパシーをテーマに書かれた本。似た単語の「シンパシー」が自分に似た属性に働く感情なのに対し、「エンパシー」は他人の立場に立って考えるスキルのこと。多様性が謳われる現在においてはエンパシーを磨きましょう、という話だがこれがめちゃ面白い。
そして、エンパシーを磨いていくと共感する能力は高まる一方、強烈な個性を持つ人に共感するうちに自己を見失う危険性があるという話。ブレイディさんはそこでアナキズムが重要と述べている。アナキズムについてはもっと知りたいと思っているが、VOGUEのインタビューでブレイディさんが語っており、こちらの記事も面白い。2022年おすすめの一冊。

THINK AGAIN

本のテーマは「再考」。最初に決めたことからブレずに遂行するのがクールだと思いがちだが、実は自分の決断を疑い何度も再考して軌道修正する方が良いんだよ、という話。個人的には自分の意思決定にあまり自信を持てないタイプだが、それで良いと言ってもらえた気がして気が楽になった。ジョブズが実は iPhone を作ることに最初反対していたなど、横道のエピソードも面白い。

LIFE SHIFT

長寿化により、これまでの人生の3ステージ制(学習・仕事・引退)が変化する。どう変化するか、そして私たちはどう備えられるか?
ある期間に得た知識・スキルで一生仕事するのではなく、学びと実践のサイクルを何度も回す。そのためには好奇心と柔軟性を大事にして余暇の一部を休息ではなく学びにつかう。この動きはWebのエンジニアは得意なような気もします。トレンドの移ろいが早いなかで学び直す、新しいコミュニティに所属する。その動きをエンジニアリングより外にも広げていけば良いのかな、と自分の中では理解している。

最後に

新しい分野を勉強するときはインターネットも便利ですが、体系的という点でやはり本はありがたい存在です。また、本を読んでいると頭が動くのか、本の内容とはまったく関係ないアイデアが浮かんだりもします。思考のデトックスというか、そういう意味でも読書は楽しい時間です。

今年も読書記録はBookBankで行いました。

それではみなさん、良いお年を!

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