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イベント「プロダクトづくりの壁を乗り越えた話」でLTしました #プロ壁

こんにちは!ひまらつです。
先日、こちらのイベントでLT枠をいただき、15分ほどお話しさせていただきました。

プロダクト筋トレのメンバー4,000人超えを記念したイベントで、テーマは「壁を乗り越えた話」。

プロダクトマネージャーとしての1年を振り返ると、一番難しく感じたのは優先度決めとの向き合い方です。
そこで「意思決定のモヤが晴れるまで」というタイトルで、当初の戸惑いからユーザーインタビューを通して次第に視界が開けていく体験を話してきました。

このnoteではそこで話した内容を、少し補足を交えながら書いておこうと思います。

動画

スライド


「決め」が大事とはいうけれど…

プロダクトマネージャーの仕事は優先度や仕様など、何かを「決める」ことが多いです。
プロダクトマネージャーになった当初の頃、「意思決定せねば」という気持ちから「この機能を作ろう!」と決めたのですが…

環境変化や周りから聞こえる声

開発をしていくなかで色々な声が聞こえてきます。不具合の修正や別の機能の要望、工期の延長。
根拠のない意思決定では耐えることができず、「本当にこれを作っていて良いのか?」と立ち止まることになりました。

プロダクトがやるべきことはたくさんあり、不具合、要望、機能改善など種類も様々です。限られたリソースのなかでどう優先度をつけるのか?
これがプロダクトマネージャーになって直面した最初の「壁」でした。

良書に導かれて

困った時は、人に聞いたり本を読むのが良いと思っています。プロダクトマネージメントの本を読んでいると、どの本にも共通して「まずはユーザーに会いに行け」と書かれていました。複数の本に共通して書かれている内容は大体正しいですね。

特に響いたのはEMPOWEREDの次の一節です。

私が初めて新しいB2Bプロダクトの責任者になったとき、マネージャーは私が意味のある決断を下す前に、30人の顧客に会うことを求めた。
(中略)
私は一般的に、プロダクトマネージャーのオンボーディングの一環として、少なくとも15人の顧客訪問を勧めている

「EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ」より

自分の間違いは「15人の顧客に会う前に意味のある決断を下そうとしていた」ことだと感じました。これを読み、ユーザーインタビューに正面から取り組もうと決意します。

インタビューは準備が7割

インタビューを進めるにあたり、知り合いのUXリサーチャーの方にお手伝いいただきました。そこで、「インタビューで何を明らかにしたいのか」の目的が重要だと教わります。

インタビューを始める前に目的を整理する

色々と考えた結果、「お客さんは何に価値を感じてお金を払ってくれているのか?」を主目的としました。社内メンバーそれぞれ意見はあったものの曖昧な部分も多く、クリアにすべき観点だと思ったためです。

インタビューで分かったこと

24名の方にインタビューさせてもらい、プライシングと機能開発の関係性を見つけられました。SaaSのプライシングは変数の多い複雑な要素なので、その構造が見えたのは大きい収穫です。
目的以外にも良いことがありました。「ユーザーの課題」や「サービスの使い方」は、インタビュー以前からある程度は理解できていました。しかし、お客さんの生の声を聞くことで改めてチームの文脈が強化されたと感じています。

"意思決定のモヤが晴れる"

意思決定の「モヤ」の正体はなんだったのか?今振り返ってみると、ユーザーの解像度の低さに起因するものだったと思います。

私たちの提供する「microCMS」はエンジニア向けのサービスです。
私は元々エンジニアをやっており、microCMSも趣味のプロジェクトで使っています。自分もユーザーの一員であり、ユーザーの気持ちを理解できている気でいました。しかし、それは限られた観点での、歯抜けの状態だったんです。

太字のところが自分の経験した領域。網羅性が低い

自社サービスとクライアントワークでは仕事の流れがまるで違います。大企業とスタートアップとでは導入時のプロセスは異なります。無料で試すのと有料で使うのとでは、用途や関係者は違ってくるでしょう。自分はユーザーの「一部」ではありましたが、網羅性はかなり低い状態だったのです。

個人の経験では限界があります。色々なバックグラウンドを持つチームメンバーと話したり、お客さんにインタビューをしたりすることで、少しずつ観点を補完します。

チームでの対話やインタビューを通じて観点を獲得する

多様な観点を得るとユーザーを立体的に理解できます。この状態での意思決定は根拠があり、自分でも腹落ちしているので、ブレずに貫くことができます。

判断に自信があれば、環境変化にも対応できる

ユーザーを憑依する

インタビューをして良かったと思うのは、多くの方の話を聞けたことで「ユーザーを憑依」できる感覚を得られたことです。
チームから仕様の質問があったとき、機能のスコープを決めるとき。ユーザーになりきって話せればスムーズに決めていけます。

インタビューの目的以外でも得られたものは大きい

また、インタビューは自分ひとりではなく、毎回エンジニア1名と一緒に参加していました。一緒にお客さんの声を聞くことで共通のコンテキストを持てるようになったのも大きかったと思います。

ベストエフォートの心構えで決める

意思決定で常に正解していくのは難しいです。というか明確な正解はなく、信じて出した答えを正解にしていく、という表現が近いかもしれません。
私はこれを「ベストエフォート」と呼んでいて、個人的に気に入っている言葉です(詳しくは「意思決定との向き合い方。ベストはないがベストエフォートはある」に書きました)。

締めのスライド

アフタートーク: モヤが晴れてから

と、ここまでがLTで話した内容です。終わった後に「モヤが晴れたいま、次にインタビューするのはどういう時ですか?」という質問をいただきました。その場でも答えましたが、改めて考えたのでここに書いておきます。

プロダクトを取り巻く環境は常に変化します。サービスが成長してユーザー層が変わったり、データ量が増えたり、市場が変わったり、新たな競合が現れたり。モヤは一度晴れて終わりではなく、状況の変化により何もしないでいると再び曇ってくるものだと思います。
なので、またインタビューを集中的にやるのは、「環境が変化してきた」タイミングです。定期的にインタビューして変化を追えればベストですが、リソースが潤沢にあるわけではないので今は別のことをやっている状況、というのが考えた内容です。

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LTを終えて

プロダクトマネージャーとして初めてのLTで緊張もありましたが、運営のみなさんのおかげで楽しく話すことができました。

当日はMiroでLTへのリアクションを気軽に書いたり、イベント全体の流れを追えるようになっていました。Miroをこうして使うのはとても面白いですね!

LTの感想や懇親会の流れが図示されている

自分のLTにも多くのコメントをいただけたので貼っておきます。うれしい!

感想をたくさんもらえてうれしい

懇親会

LTの後には懇親会(オンライン)があり、自分の部屋には3名の方に来ていただきました。普段1人PdMとして働いているので、プロダクトマネージメントについて色々と話せて大変楽しかったです。
また、小城さんに懇親会のファシリテーションをしていただきました。
みなさまありがとうございました!

おわりに

自分の個人的な体験談を話させていただき、とても貴重な経験になりました。自分以外の方のLTもとても面白かったです。
イベントは第二回も開催されるとのことですので、興味のある方はぜひ参加してみてください。

改めてになりますが、運営のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました!


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