⑨お山座り反抗期『消えない傷・消えない痛み』

父と母が

別居した。

母が

家を出て行った。

知り合いの伝手で

隣の町に逃げた。

初めは

父に

居場所を

隠してたけど、

父は

母を尾行し

探し当てた。

でもそのおかげで、

私も

母に会うことが出来た。

6年生の夏。

出産した姉は

暫く

母の所にいた。

兄も、

母の家に泊まった。

姉と兄がいるから

私も泊まることを

許された。

そして、

父も泊まるようになった。

意味が無い。


母の借金は

まだ返せておらず、

借金取りの

電話が

毎日かかってきた。

母は出ない。

子供の私なら

すぐに切ると思ったのだろう。

初めの頃は

そうだった。

でも

だんだん

さぐりを入れてくるようになった。

「お母さん、今日もいないの?」
「本当はいるんだよね?」
「嘘ついたらダメだよ。分かってるからね。」
「お嬢さんお名前は?おじさん困ってるんだよ」
「おうちのすぐ近くにいるんだよ。お母さんの車あるよね?」
「○○さん、いますよねぇ?」

私は

泣きながら

母に電話を渡す事もあった。

電話がなる度に

ビクッとした。


母の知り合いに

お金を借りた時

知り合いの女の人は

「あなたのお母さん、
私からお金を借りて
返してくれないのよ。
家の近くにいるんだけど、
開けてくれないかなぁ。
嘘つきのお母さんで
可愛そうねぇ。
今から行くから、
玄関開けてよね?」

そのあと、

本当にその人は来た。

旦那さんと一緒に。

旦那さんは

謝っていた。

私に

怖い思いをさせた

と。

女の人にも

謝られた。

この歳になっても

一語一句

覚えている。

だから、

謝っても

恐怖は
消えない。


母も、

ごめんね、怖い思いさせたね

言っていた。


XJAPANのhideが亡くなったニュースが
流れた。


姉は旦那さんの実家へ

兄と私は

元の家へ

戻った。

兄は

仕事で

殆ど家にいなかったが、

昼食のおにぎりは

私が作った。

祖母は

姉と母の

悪口を言っていた。

「○○があんなんだから高校生で子供なんか作ったんだ。」
「一回も見せにこねーで」
「お前もあんなんになるなよ、バカみたいだ」


お姉ちゃんの悪口言うな


何も知らないくせに


偉そうに


ふざけんな


誰のせいだ


全部全部
お前らのせいだ


私の幸せ
返せよ


大切な人達
返せ


いらない


お前らなんか
いなくていい


大好きな人の
悪口言うな


お前が好きな人の
悪口を言われたら
どう思う?


悔しい

悲しい

苦しい

嫌い


痛い


心が
痛い


なくなればいい

痛いから

痛む心なんて

無くなればいい

全部
無くなればいい

全部
壊れればいい





祖母は

私が

学校に行ってる

間に

私の部屋に入っていた。

何を

していたのかは

分からないけど

すごく嫌で

部屋に鍵は

無かったから

釘を打って

紐を付けて

内側には

段ボールを開いて

入口に

貼り付けてから

学校に行った。

お山座り

小6の

反抗期。


帰ったら

全部壊されてた。

祖母が

階段を上がって来た

「部屋に入らないで」

『ばあちゃんの家だ!入るなじゃねぇ!』

「はいるな!」

叫んだあと

祖母は部屋の外で

何か言っていた


「入るな」

「来るな」

「消えろ」

「うるさい!」


叫びながら

腕を

切った。














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