音楽に、ありがとう

会社で泣いてしまった。
新人社員なら可愛げもあるけど、人生半分も過ぎたエンジニアが取締役の前で嗚咽して泣いた。
わたしの前でお互い見合わせている顔には、こいつ次の日電車に飛び込むんじゃないかって困惑が書いてあった。
変な心配をかけて申し訳ない。


少しのすれ違い。仕事のミス。お客様の苦情。
たぶん、ちょっとしたボタンの掛け違いだった。

クライアントから苦情のメールが入ったのは昨日の午前。
たぶん任せていても問題が解決しないと判断されたのだと思う。
担当者が東京から来社して今後の事を話し合うことになった。

当然、わたしは謝罪して、今後の仕事を建設的に提案しなければならない。
でも無理だった。事前打ち合わせの場でわたしは泣いた。
打ち合わせへの参加は無理ということになり、アパートへ帰った。
当然だ。そのまま参加してもクライアントの前で泣き崩れたと思う。

ここしばらく追い詰められながら、なんとかこなしてきた仕事。
一件の苦情に、自分でもびっくりするくらい自我が崩壊するのがわかった。
がんばっても頑張っても、目の前のお客様に迷惑をかけている、会社にも迷惑をかけている。
どうしようもない。
考えすぎと言われても、自意識過剰と言われても、スイッチが入ってしまった感情は止められなかった。

それでもわたしが辞めたってだれも幸福にならないことは知ってる。
お客様にも会社にも、もっともっと迷惑をかけることも知ってる。
だから辛い。

本当は1ミリでも仕事を進めなければならないけれど、迷いながら得三へ出かけた。
実貴子さんの歌ううたが、今日ほど心に染みた日はなかった。

音楽にありがとう。


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