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DNAとは何か?

【DNA】
 DNAとは、遺伝情報を持つ化学物質のことです。正式名称を、デオキシリボ核酸と言います。DNAは、糸のように細長い、巨大な高分子化合物です。それは、何十億個もの炭素原子が、組み合わさって構成されています。その長さは2mにもおよび、地球上で最も複雑な分子の一つです。DNAは、 ヌクレオチドを基本単位としています。「ヌクレオチド」とは①塩基②デオキシリボース糖「糖の一種」③リン酸が結合したものです。DNAは、細胞の核の中にある「染色体」という所に正しく折り畳まれています。

 【2重らせん】 
 DNAは、2本の鎖からなる2重らせん構造をしています。その2本の鎖は、それぞれの両親から受け継がれたものです。鎖が2本あることによって、片方の鎖に変異が起きても、相補的に修復することが出来ます。生物の増殖方法は、細胞分裂です。細胞分裂する時、一時的にDNAの2重らせんが2本の鎖に分かれ、DNAも複製されます。その時、DNAの情報を読み取るのがmRNA「メッセンジャーRNA」です。DNAは、mRNAによって、完全にコピーされます。
 
 【遺伝情報】 
 DNAは、生命が誕生してから、脈々と受け継がれている情報物質です。その情報量は、本に例えるなら、書籍3万冊に相当します。DNAの遺伝情報は、生物の設計図です。生物の特徴は、DNAの設計図にしたがって作られています。DNAのうち遺伝子として働く部分は、全体のたった⒈5%にすぎません。遺伝子とは、DNAの中で意味のある部分のことです。鼻の形とか、どの病気にかかりやすいとかは、遺伝子が決めています。残りの98.5%は、遺伝情報を持たず、遺伝子としては働きません。ただし、遺伝子の働きを調整する役割を担っているとされています。
 DNAとは、タンパク質の設計図のことです。タンパク質は、DNAの情報を使って合成されています。合成される場所は、細胞内にある「リボソーム」です。人体の20%は、タンパク質によって作られています。ただし、人体の70%というほとんどの部分は水分です。タンパク質は、代謝などのさまざまな生命活動を担っています。その代謝を担うのが、酵素というタンパク質の一種です。酵素には、DNAを切り貼りする「制限酵素」などがあります。 
 
【塩基配列】 
 DNAの遺伝情報は、塩基の並び方によって決まってます。塩基とは、有機化合物の一種です。その配列こそが、生物の性質を決めています。塩基の種類は、A「アデニン」T「チミン」G「グアニン」C「シトシン」の四つです。AとT、GとCは、それぞれ相補的に必ず決まった相手としか結合しません。DNAが複製される時は、その塩基の相補性が利用されます。地球上に多様な生物がいるのは、DNAの塩基配列が異なるからです。人間の塩基配列も、基本的な部分は、人類で共通しています。そのわずかな違いが個人の差です。DNA鑑定では、その違いが調べられます。
 生物の進化とは、DNAの変異の蓄積です。DNAの変異が、外見上の違いを生んでいます。変異の原因は、DNAのコピーミスなどです。そのコピーミスは、意図的ではなく、ランダムに起こります。DNAの変異が、ある集団に固定した結果が進化です。ただし、DNAは、紫外線で変化したり、他の生物から遺伝子をもらうこともあります。


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