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オリンポス12神、ヘラ


【ヘラ】 

  ヘラとは、古代ギリシャ語で、貴婦人という意味です。牝牛の眼をした女神や、白い腕の女神と形容されます。牝牛は、ヘラの聖獣であり、大地の象徴でした。ヘラは、大地の象徴として、大地母神とされます。ヘラの従者は、伝令役の虹の女神イリスと、侍女役の季節の女神ホーラです。ヘラは、ヘスペリデモと呼ばれる世界の西の果てにある不死のリンゴの園を支配していました。図像では、ベールを被った中年の母として描かれます。 

 【結婚の女神】 

  ヘラは、クロノスとレアの娘としてサモス島で誕生しました。弟には、最高神ゼウスがおり、後に夫婦となります。ヘラは、ゼウスの正妻だったので、女神の中では最高神です。ゼウス「雨」とヘラ「大地」の結合は、聖なる結婚とされます。その結合により、大地に植物を実らせることができたからです。聖なる結婚により、ヘラは、結婚の女神となります。

 ゼウスは、ヘラに求婚する時、カッコウに変身して近づきました。そのため、ヘラは、カッコウの止まった王笏を持っています。王笏とは、権威の象徴です。ゼウスとの子供には、戦いの神アレスがいます。ジューンブライドと呼ばれる6月は、結婚の女神であるヘラの月です。 

 【嫉妬深い】

  ヘラは、貞淑であり、他人にも貞節であることを求め、既婚女性の守護神となりました。ヘラの聖鳥であるコウノトリは、浮気に対して復讐する鳥です。ヘラは、高い監視能力と優れた情報収集能力で、ゼウスの浮気を察知しました。嫉妬深く残忍な性格のヘラは、ゼウスの浮気相手に対して、執念深く追い回し、ことごとく復讐したのです。アポロン、アルテミスの母であるレトも例外ではありませんでした。

 しかし、ゼウスは、どんなに浮気をしても、最後には、ヘラのもとに戻ったとされます。ヘラは、浮気は許しませんでしたが、出産や家庭生活の守護神でもあり、母性の強い女神でした。息子の一人である鍛治の神ヘパイストスに関しては、ゼウスと交わらずに生んだとされます。

 【象徴】

  ヘラの最も代表的な聖鳥は、孔雀です。ヘラのためにゼウスの浮気相手を監視した怪物アルゴスは、全身に目を持つ巨人でした。しかし、アルゴスは、ゼウスの命を受けたヘルメスによって殺されてしまいます。その後、アルゴスの目は、ヘラによって、孔雀の羽根につけられました。それ以外のヘラの聖鳥は、ハゲタカです。ヘラの聖木は、プラタナスやオリーブなどでした。聖花がユリで、聖果がザクロやナシなどです。トランプのクラブのクィーンは、ヘラがモデルだとされます。 

 【ヘラクレス】 

  ヘラクレスは、赤子の時、ヘラの乳を飲んだため、不死身の肉体と、怪力を手に入れました。授乳の時、吸う力が強すぎたので、赤子のヘラクレスを突き飛ばした時、こぼれた乳が天の川になったと言う伝説があります、ヘラは、ヘラクレスに12の難事の試練を与えました。ヘラクレスは、その試練をクリアし、ギリシャ神話最大の英雄となります。その後、ヘラクレスが神の座につくと、ヘラは、娘のへーべを妻として与えました。ヘラクレスとは、「ヘラの栄光」という意味です。ヒーロー「英雄」の語源は、ヘラだとされています。 

 【トロイア戦争】 

  ヘラは、トロイに反感を持ち、カルタゴやアルゴスを愛していました。ある時、トロイの王子パリスは、最も美しい女神を選ぶ審判者になります。そこで、選ばれたのは、美の女神アフロディーテでした。それに嫉妬したヘラは、同じく選ばれなかった知恵の女神アテナと組んでトロイに敵対します。トロイア戦争では、終始ギリシャ側に味方しました。意外にも参戦し、トロイ側に味方をしていた狩の女神アルテミスを素手でうちのめしたとされます。


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