オリンポス12神、ゼウス
【全知全能の神】
ゼウスは、クロノスとレアの息子です。父のクロノスは、やがて自分の息子によって王位が奪われると予言されていたので、生まれた子供たちを次々と飲み込みました。母親のレアは、末っ子のゼウスだけは、巧みにクロノスの目から隠します。秘密裏に、ニンフたちが、雌ヤギのアマルティアの乳で育てました。
成長したゼウスは、最初の妻である知恵の女神メティスと結婚し、全知全能の力を手に入れます。その知恵により、先に飲み込まれたポセイドンやハデスなどの兄弟たちをクロノスから吐き出せました。ゼウスは、兄弟たちと協力し、クロノスが率いるティタン神族と戦い、タルタロスと呼ばれる宇宙の深淵に封印します。
【天空神】
ティタンとの戦争に勝利した後、兄弟のポセイドンとハデスとで、世界の支配領域をくじ引きで決めることになりました。ゼウスに割り当てられたのは、天空です。ゼウスという名前の由来は、輝く空を意味していました。ゼウスは、雨や雲を自在に操る天空神とされています。雲を集めて、雨を降らせ、地上に洪水を起こすこともありました。時には、自分自身が雨や雲に変身することもあります。ある時は、黄金の雨になって、ダナエと交わり、英雄ペルセウスが誕生しました。イオと浮気をした時には、雲の姿になっています。この時、妻のヘラから隠すために、イオを白い牛に変えました。
【雷神】
ゼウスの武器は、キュクロプスが作ったケラウノスと呼ばれる雷霆です。この雷霆は、たいてい火を吹く電火の槍として描かれます。それは、オリンポス最強の兵器であり、世界をことごとく破壊し尽すことが出来ました。この武器によって、ゼウスは、無敵の勝利者となります。ゼウスの標章である斧は、雷や権力の象徴です。また、樹木の王者である樫は、雷がよく落ちるため、ゼウスの聖木とされます。
【最強の神】
ゼウスは、最強の怪物テュポンとの一騎討ちに勝利します。その他の神々は、テュポンを恐れて、エジプトに逃亡しました。テュポンとは、自然の破壊力や暴風を擬人化したものです。不老不死だったので、最後は、エトナ火山に封じ込めました。雷霆以外のゼウスの武器は、万物を切り刻むことが出来る魔法の鎌アダマスです。これは、クロノスを王座から引きずり下ろす時に使用しました。ゼウスが装備する防具アイギスは、盾か胸当てだとされています。アイギスには、石化能力があり、雷霆を防ぐとされ、時々、娘のアテナに貸しました。英語では、イージスと言います。
【万物の配置者】
怪物や巨人を退治することは、混沌を自らの力で制御し、秩序を創造することを意味していました。ゼウスの異名は、世界の組織者、万物の整頓者などです。ゼウスは、自分の意志で、万物を配置しました。ゼウスは、舵や天秤を持っています。舵は、神の意志や、権力の象徴であり、黄金の天秤は、正義の象徴です。ゼウスは、掟の女神テミスとも結婚し、運命の三女神モイライを生むことによって、運命をも超越しました。
【神々の王】
ゼウスは、天空だけでなく、地上をも支配する神々の王です。運命や時間をも超越し、全てを統べていました。タロットカードのエンペラー、トランプのクラブのキングは、ゼウスがモデルだとされます。ゼウスが持つ鷲の付いた王笏は、王者のシンボルです。鷲は、ゼウスの聖鳥であり、美少年ガニュメデスを攫う時には、ゼウス自身が、鷲に変身しました。鷲もまた、鳥類の王者とされています。
【浮気者】
ゼウスの正妻は、姉のヘラです。恋愛に関して、ゼウス以外に自由な者はいません。愛人との浮気によって、子供を沢山もうけました。子沢山なことは、自然の豊穣性を表しています。浮気をする場合、大抵変身をしました。嫉妬深いヘラが注意深く見張っていたからです。レト、エウロペ、アルクメネなどと交わりました。ゼウスの求愛は抵抗できないとされています。ゼウスの子供は、それぞれ名のある神々や英雄になりました。
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