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モノが売れない時代に、製造業はどう変化すべきか。(最適生産とは何か)

四倉幹夫著「最適生産とは何か ―「Manufacturing 4.0」と「GLOSCAM」。製造業の未来を担う新しい生産管理の在り方とは?」を読みました。本書冒頭の文章を読んで、インダストリー4.0という言葉の中身、製造業の現状や歴史について理解を深めたくてこの本を手に取った。

1.モノが売れない時代の到来

多くの先進国が直面している課題は、今までのようにモノが売れないコト。
例えば、
・人口減少により、国内需要は低迷
・新興国が成長により、これまでよりも安い製品の製造が海外で可能になり、比較的高価な国内の製品が売れなくなること

これまではモノを作れば売れる時代だったから、いかに安く効率的にモノを作るかに先進諸国の製造業はエネルギーを注いできた。

ただ、国内経済は今や停滞気味。そして、発展し続けている新興国からはどんどん安価な製品が生まれる

つまり、モノが売れない時代の到来だ。

2.これまでの製造システム

製造業の在り方と同様に、これまでの製造システムは、効率性、いかに早く安く作るかを追求するシステムだった。とにかく、沢山作れば売れる時代だったから。

ただし、製造システムの仕組みは国によって少しずつ異なるようだ。例えば、製品の構成要素の関係性を示して部品を管理するために利用する部品表。部品表の表現方法は、国や業界、企業によって異なるようだ。また、管理方法によって、製造している製品と製品を購入する顧客が結び付いている場合と結び付いていない場合がある。つまり、とりあえずまずは早く大量に作るためのシステムと、顧客からの受注に応じて製品を作るシステムがあるようだ。日本では、顧客と製品を結び付けが「製番システム」という方法で他国より普及しているようだ。

ドイツが掲げるインダストリー4.0のメインコンセプトは、IoTやM2M、スマート工場、マスカスタマイゼーション、標準化、CPSである。ただ、現状のマスプロダクションからマスカスタマイゼーションを行うにあたり、部品表の改革をして、製番システムのように顧客と製品を紐づけるようなシステム導入も重要ではないかと本書に書かれていた。

3.マスカスタマイゼーション

新興国が生産する質はそこそこだけど、かなり安い価格の製品と共存するために、先進国は製品を差別化する必要がある。

そこで、重要なキーワードがマスカスタマイゼーションだと思う。

製品の基本となる部分は大量生産時代のように効率的に生産し、個々の製品は顧客の要望に沿って完成させる。

文具店で購入できる名入りのボールペンや、自宅のサイズに合わせて注文できる床板などのように、より柔軟に、個々人の好みに合わせて製品を作るかが、先進国のモノづくりにおいて大事なポイントである。

そのためには、顧客と製品が結び付いた製造システムを整備することが重要である。

まとめ

新興国が安い製品をどんどん作れるようになるので、これから先進国はカスタマイゼーションによって製品の差別化を図ることが重要である。

マスカスタマイゼーションを実現するには、インダストリー4.0で掲げられている、IoTやM2M、スマート工場、マスカスタマイゼーション、標準化、CPSといったコンセプトに加えて、顧客と製品を結び付ける生産管理システムの整備が重要である。

生産管理システムは国や業界、企業によって多種多様な方式があるようだ。どういったシステムがあるのか、そのメリットデメリットなどを今後さらに詳しく学んでみたいと思う。特に、日本の製番システムは今後のマスカスタマイゼーションへ移行するにあたり強みになるのか、どうすれば既存システムが活きるのかに興味が湧いてきた。