見出し画像

ピオフィオーレの晩鐘 ネタバレ感想

作成:2018年10月14日

ピオフィオーレの晩鐘を終えての感想をつらつらと取り留めもなく書いていきます。ネタバレしかしてないのであしからず。
まず、本当にクオリティーの高い丁寧に作られた良作でした!
製作スタッフの方々の拘りを随所に感じることができた作品でこの作品に出会えて良かったです。

プレイ前はマフィアものということでなんちゃってマフィアを想像していました。あくまで恋愛を前面に打ち出したご都合主義のマフィアなのかと。
いやいや、全然そんなことはなかったです。全く。
そもそも私が大してマフィアを知っているわけではないんですが、きっとこうなんだろうなと映画なんかの知識で想像していたマフィアの形であり作品のレベルを下げるようななんちゃって感は少なくとも感じませんでした。
まぁ、そのせいか主人公含め攻略キャラがばんばん死にます。ゲームオーバー、バット、自√以外等々ばんばん死にます。容赦ないですね。
だいだいの√ではそれぞれの組織が敵対関係にあるので攻略キャラ同士で対立します。ですので自√以外では攻略キャラの無慈悲な面を否応なしにみてしまうわけですね。
一部(特に楊)は自√でも変わりはないんですがw
その仕掛けもよかったですね。なんてたって彼らはマフィアであり犯罪組織なんですから。
これが綺麗ごとと愛の言葉しか囁かないようなキャラだったらなんというか薄っぺらいですしなんの説得力もないですからね。
自√以外で非人道的行為をみているわけなので、自√で気遣ってくれている彼もリリアーナがいない場面ではきっと容赦ないんだろうなぁと思えるわけです。実際にリリアーナが納得できないことをリリアーナ自身も彼らはマフィアなんだからと仕方のないことなのかもしれないと多少は気持ちをごまかしたシーンも何度もあります。
そうなんですよね。それが恋なんだとも思いますしごまかすこともできる大人な女性、リリアーナが主人公でなければこの話は成り立ちません。
まぁ大団円√ではまさに聖女で全てを収めてしまう清らかさがあったのですが。これはまた後で。

ここからはキャラ別の感想と言いつつほとんど楊について語ってしまうと思いますが…。

【ダンテ】
ダンテ√は鍵の乙女リリアーナと純血者であるダンテが結ばれて聖遺物の伝承通りになるこの物語のある角度での正規√だと思う。結ばれるべくして結ばれる「運命」というのか。
ベストEDでは「運命」にふさわしいEDだったと思う。教会でのプロポーズ?告白シーンはこれが嫌いな人はいないであろう完璧なシチュエーションだったと思う。
ダンテは若くして重責を負うカポとなり無理をしているのがありありと感じられて支えなくてはいけないような気持にさせられましたね。実際ニコルの裏切りの場面ではリリアーナがいて本当によかったと思いましたし。
それにしてもなんといってもダンテはSSでの酔っ払いダンテですよね!これは可愛いやつでしたwふふふ。酔った時くらいリリアーナに思う存分甘えればいいと思うよ!そして翌日後悔すればいいwふふふ


【二コラ】
彼ね。序盤から絶対なにかやらかすとしか思えない胡散臭さがすごかったwリリアーナはめちゃくちゃ好きな主人公なんだけど二コラ√の序盤、彼の優しさにほだされていくリリアーナには、いやだめだ、絶対なにかあるから警戒してくれ!って唯一リリアーナに物申したくなったwそういう意味ではある意味楊より怖い人でしたねw
そして二コラを語るうえでダンテは絶対に外せないってくらいにダンテを優先する人ですね。というか、自分自身の生に執着なさすぎる。かなり冷徹で合理主義者で自分自身も駒のひとつと考えるような人でしたね。そんなの彼がリリアーナと出会って少しでも生に対して、自分自身を大切にしてくれるであろうベストEDとグッドEDはよかったなと思います。あと彼の口から発せられるイタリア語はどれもよかったです。彼の性格をかわっていてもグッときましたw

【楊】
もうねこの人、ほんと…!ずるい人でしたね…
ピオフィで最初に二コラ√にいき次に楊√にいったんですが、二コラ√での楊の言動で本当にこの人を攻略できるのかと大変わくわくしましたwこういう狂気的で非人道的で慈悲の欠片もない人と教会に住むリリアーナがどうやって恋仲になるのか、お手並み拝見!とめちゃくちゃ上から目線で挑んだ√ですw
そして私、こういう、その人の√のラスボスがその人自身というVS攻略キャラ話が大好きなんですよね。アンリのように後悔しながら悪に徹しているのではなくその人の根幹が主人公が全く理解できないようなキチガイというか正気ではないインモラルなキャラの攻略ってほんと大好きなんです。(この文章で他にアルバロ氏を連想した方とは是非お近づきになりたいw)
どれだけそのキャラがぶれずに、そして改心せずに主人公とくっつくかという展開が大好物すぎてですね。つまり、楊、楊√、そして楊√のリリアーナが大好きです!!!
終始ハラハラドキドキ、刺激的すぎる劇物のような√でした。最高でした。楊とリリアーナの言葉の駆け引きに引き込まれて一言一句聞き逃さないように丁寧にプレイしたのは久しぶりです。選択肢のひとつひとつがリリアーナの死に直結することは誰もがそう予想できるほど緊迫したものばかりだったと思います。

ここで攻略当時のツイートを。

「楊√何度もこれ、成人向けじゃないよね!?というか、楊さん出るゲームの年齢制限間違えてない!?ってなったw」

「ほんと楊は頭もきれるし化け物並の戦闘力でカリスマ性に溢れすぎてるのに倫理観ゼロの危険すぎる人物という攻略キャラとして規格外すぎるやつでほんと恐ろしいやつですよ。ほんと攻略キャラとは思えない道徳心のなさというか、たぶん何があっても楊は楊でしかないんだなぁと思った」

「ほんと楊√の言葉遊びというか駆け引き最高でしたね。きっとハピエンの世界線でも楊とリリィは幸せには死ねなそうな感じが楊をまだ捉えきれてない気がしてならないんですよね。ほんと楊は何があってもきっと揺るぐことなく楊なんだなと」

「だめだ、思ったより楊が好きなようで困った...とりあえず後で感想書くか。ほんとベストエンド迎えても楊は最後まで楊でぶれなかった。どこまでいっても狼狽えることも照れることもない楊の魅力の天井が見えないのがいろんな意味で怖い人ですね。
楊にとっては狼狽えることは死に繋がるし過去に照れることは必要なかったし照れって余裕のある感情だから生まれながらに死が隣り合わせの環境には必要のない、生まれることのない感情だもんな」

楊とリリアーナが恋をするにあたった過程は本当に納得できるのもで、しかも楊という人物を壊すことなくあくまでも楊は楊としてリリアーナに惹かれたというのがわかるシナリオで本当によかった。だけども、だけどもさ、ツイートでも言ったようにいまだに私は楊を理解することができていないんですよね。
攻略して、大団円もみて理解は深まったけれど、理解しきれてない。楊のリリアーナに対しての言動は本当に感情だけで動いているんだなと思う、それに反して問題に対しての対応は全体を見通して経験を含め推察できる才能と力がある。そして、並外れた戦闘能力にカリスマ性にあふれ人を引き付ける魔力のようなものを兼ねそろえた人。完全に感情は排除した現実主義と完璧なる正論、それに相反する狂気性と快楽主義が理解できない凡人の私には楊ととらえることがいまだにできないんですよね。難しい男のようで至極簡単な男なのかもしれない…うーんわからない。
彼を理解するために彼の生まれ育った九龍城砦について調べてみたけど、実際に存在していた場所で表面だけみてもかなりヤバいところなんだなと思った。楊がいたであろう1900年あたりはきっと調べた環境よりも更に過酷であろうことは想像できるし、ここで生き延びて更に上にのぼりつめた楊を理解出来ることのほうが難しいんだろうなと調べて思うことができたのでよかった。

本編でひとつ回収できてない伏線があるんだけど、リリアーナが薬漬けになったエレナを助けたほうが幸せなのか、薬の夢の中にいるほうが幸せなのかと答えを出せずにいた時に楊が「夢か」「以前誰かがそんなふうに言っていたのを思い出しただけだ」と一瞬考えたように言っていた場面があった。
これは誰のことなのかと考えた時にもしかしたら楊自身の体験なのではないかとも思ってしまった。楊がそんな状況になるのか?とも思ったけど生まれた環境を考えると可能性はあるなと。そう考えたらやっぱり楊を100%理解するのは無理だし、楊がする行いを他の人の基準で単純に悪だとも言えない状況もゼロではないのではないかと思ってしまった。
こう感想を書いていると楊と駆け引きをして楊に「惹かれている」と言わせたリリアーナは本当にすごいなと思うw本当に普通じゃないよねw
本当に他の√でもリリアーナは賢くて勇敢で可愛かったけども楊√のリリアーナは更に賢くて勇気があって肝が据わっている女の子でしたね。最高の女性でした。そんな最高の女性が善悪でなく恋を選んで楊とともにいると言ったのは本当に恋は盲目って感じで最高に良かったです。聖女じゃなくて一人の女性なんだと感じられる√だった。

ここでまたツイートを。

「楊√では楊と恋をしてるという、まぁ√入ってるからそうなんだけど、final√では楊と対等にいられてる気がしてすごく良い。自√で楊もリリィも恋は盲目みたいな、まさに恋をしていたけどfinalの楊と対等にいられるシナリオは楊の本質を垣間見える場面があってほんと良くできてる」
「final√の楊が過去の自分をリリアーナに吐露する場面は息を飲んだ。彼の√でもみえなかった楊のルーツと本音が聞けて、ここでか...ってなったしほんと楊はずるい」

そうなんですよね。Final√で神についてリリアーナが語る場面で彼女は「人は支えがあれば生きていける。だから救われる必要はないと思うの」「何もかも誰かに頼ってしまっていたらきっと自分で歩けなくなる。だけど一人で立っているのがつらくなる時もある。そういう時に教えが気持ちを楽にしてくれる」と言う。
それに対し楊は「救いも、助けもない場所で俺は生きてきた。支えがあったとすれば、それは己の力だ」と。自√では語られなかった楊自身のルーツをほんの少し聞けたfinal√は楊と対等になれる唯一の世界線なんじゃないかと思った。本当に、お前ここで語るんか…ってなったw

あと大団円のツリーの場面での
ギル「お前のとことの双子は早速庭を駆け回ってるじゃねぇか」
ダンテ「おまえもあれくらい情緒を育てろ、楊」
楊「まずは手本を見せてもらいたい。駆け回ってきたらどうだ、ファルツォーネ?」
ダンテ「・・・・・・・・・・・。」
このやりとり最高に笑いましたw
ダンテの情緒を育てろ、も上手いと思ったのにそれを上回る手本をみせろ、駆け回ってきては?の返しが最高すぎて黙ってしまったダンテには悪いけど面白かったですねw
さすが大団円。楊もちょっとリリアーナの清らかさにほだされてますねw

【オルロック】
オルロック√は彼が何をしたんだっていうくらい辛い悲劇的な展開の連続で楊√とは違った意味で全く心が落ち着かなかったですね。負のスパイラルから抜け出せないことw
特に印象に残っているのはルカが亡くなる直前にオルロックが洗礼を与える場面。
洗礼をあたえたことに「こんなことに意味はあるのかな」「神はなにも助けてはくれなかった」「信仰なんてなんの役にも立たない」
そう言って嗚咽をもらしながら泣くオルロックの悲痛さは見ていてすごく辛かったですね。誰よりも神を信じ信仰心に生かされているような彼だったからこそ、この言葉を言ったオルロックの心情を思うと辛かったシーンですね。オルロックには幸せになってもらいたい…。
それにしてもオルロックのバッドEDのダンテ坊ちゃまは鬼畜外道でしたねw

【ギルバート】
ギル√はとにかく安心感が半端なかったですね。何があっても大丈夫と思わせる言動に説得力がありましたね。すごい。
この√はとにかくいい男といい女の恋愛って感じで何度もヒューッ!って言ってた覚えがありますwギルの余裕のある大人の男感が凄まじかったのに攻めどころは間違えない感じがさすが乙女ゲームのキャラって感じで最高にかっこよかったですね!とにかくギル√のリリアーナが一番幸せなんじゃないかと思うwこういうキャラはそこまではまらないんですがギルはとにかくいい男で√やっていてめちゃくちゃ楽しかったですね。たぶん、オルロックの次にやったっからギャップがありすぎたというのもあるけどw
ギルは何といってもあのシーンですよね!
眠っているリリアーナに対して、リリアーナが自分のことを好きになっていることを気づいていて、その気持ちにリリアーナ自身が気づいていないを知っていて「早く気づけよ、リリィ」と一言。悪いが、待てそうにない。というモノローグを添えて。
こんなのずるくないですかね!これを見た時は、はぁ~完敗(大の字)って感じでしたねw

【アンリ】
CV立花さんということで序盤から隠しキャラ臭がすごかった彼w
彼の√で語られた過去は予想していた以上に生々しく辛いものでしたね。アンリの思った以上にグラグラしていた精神と現実と夢の境が曖昧になっている感じが異常でそれだけ辛く救いのない人生だったんだなとみていて痛々しかった。アンリのしてきたことと彼の心情を思うと生きていくEDはけっこう辛いんじゃないかなと思ったり。
この√は一番リリアーナが恋に走った√なんじゃないかと感じた。


と、ここまでかなり長くなってしまった。
最後に作品に関しての感想とツイートを。

「ピオフィの魅力はたくさんあるんだけどその1つが主人公含め登場人物の頭が良いというか賢いところ。1つの問題が及ぼすであろう影響を思案する時なんかに経済含め広い視野を持って現実的に物事をみて考える。イライラする展開というか会話がないこと」

「シナリオライターさんの知性を感じるしすごく細かく考えられ組み立てられたシナリオ、会話だと感じた。安直な手段ではなくてきちんとそれぞれの組織が機能していて組織の有能性も説明ではなくストーリーから感じられるシナリオだった」

「ピオフィは√によって全く異なるシナリオで飽きの来ない展開と哲学的に語られる上品でスルスルと読ませる文章。加えて魅力的過ぎる攻略キャラ。面白くないわけがない」

思った以上に本当に良くできた作品でした!文章が綺麗で丁寧で賢い会話が難しくなく入ってきたっていうのは本当にすごいと思う。そしてこれは予想していなかったんだけど、哲学的で信仰について考えさせる場面が多かったのも好きなポイントですね。神とは、信仰心とは、生きる意味とは、善とは、悪とは。これらを考えさせられるシナリオだとは思っていなかった。全てが綺麗ごとでは終わらない話でいろんなところに説得力と厚みを感じる作品でしたね!
本当にプレイできて出会えて良かった作品です!
それに新たに楊というキャラを知れたことも大収穫でした!ここまで作品とキャラクターと好きになれたのはリリアーナが魅力に溢れた素敵な主人公だったからってのはかなり大きいと思います。ありがとうリリアーナ!

以上、ここまでで6000字超えてしまったのでそろそろ閉めます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?