すずめ飛び　まっすぐのっぽの　枯れ草へ

　和歌を詠んでみることにした。

　通勤中、通り道の空き地に雀が何匹もいた。　
　10匹はいたと思う。
　枯れ草が絨毯のように敷き詰められた空き地で、おそらく、草の下にいる虫を食べていたのだろう。
　俺が通りかかったことで警戒し、すずめ達は空き地の奥へと飛び移った。

　同じような草ばかりの空き地だが、何本か茎が太く、枯れているのに真っ直ぐな（といっても、少し猫背気味だが）雑草があった。
　群れの1匹が、その枯れ草の中ほどに飛び移った。

　すずめが飛び移ったせいで、枯れ草はゆらゆらと上下に動く。
　小鳥が、いとも簡単に折れそうな枯れ草の上で小さく揺れている……。

　何だかとっても可愛いらしい光景のような気がして、俺はポケットからスマホを取り出そうとしたけど……そのことが、すずめ達をより警戒させてしまった。
　何匹かは飛び去り、残りは空き地の奥へ奥へと移った。
「……」
　スマホを戻し、仕方なく俺は歩き出した。