高校生

「あー、病んだ。」
バスの隣の女子高生が呟いた。
刹那、周りの視線が彼女に集中した。
それでも、絶望した表情でスマホの画面を見続ける彼女は、まるで時が止まってしまったかのようだ。

そんな世界を壊したのは、後ろにいた男子高生だ。
「どうしたんだよ。」

「彼氏に振られた。」

「マジか」

彼女は、あの顔からにんまりと笑う。
「まあ、つまんない奴だったから、どーでもいーや」
男子高生はわしゃりと彼女の頭を撫でて、スマホを見はじめる。
彼女も同じようにスマホを見はじめた。
彼女が少し嬉しそうに見えた