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[32]アメリカ不況の到来?

いつも明るい話題じゃなくて済みません。
皆さんに様々なリスクをお知らせして、備えて貰おうという考えですのでご容赦ください。

今回は、アメリカの不況が迫っているという内容をお伝えします。当然ながら日本にも影響しますので、注目すべきかと思います。と言っても、経営者の方なら既にご存知かもしれません。

こちらの情報からです。

図1.米国債10年物-2年物金利差と不況
図2.アメリカGDP成長率

図1の縦軸は、米国債の10年満期の金利と2年満期の金利差です。負の値は10年満期より2年満期の金利が良い、逆転の状態を表すものです。
横軸は時間軸で、数字は年です。
グレーの縦帯は、不況を表しています。
例えば2008年付近はリーマンショックですね。
注目すべきは、縦軸が0タッチ、もしくはマイナスになった後に必ず不況が来ていることです。
図2はアメリカのGDP成長率ですが、成長率がマイナスになっているところが図1のグレー部分です。

国債は当然ながら満期が長い物の方が金利が高くなります。ところが、アメリカではインフレ対策として相次いで政策金利を上昇させたことにより、既に出回っている10年物の国債よりも新規に発行する2年物の国債の方が金利が良くなる逆転現象が発生しています。
すると10年物を持つ意味が無くなり、大量に売りが出てしまいます。国債の1ロットは数百億円らしく、大量のロットが売りに出てしまえば金融市場が混乱します。最近のドル円のレートが乱高下しているのは、このためです。(今は円安というよりドル高。クロス円はそこまで影響が無い)
ある意味ババ抜き状態というかチキンレースというか、崩れ始めたら崩壊が止まらない状態にあります。このため、FRBのパウエル長官の少しの発言に株式や為替などが過敏に反応してしまっています。膨れ上がった風船が破裂する寸前というイメージです。

図3.ドル円推移
図4.日本のGDP成長率(アメリカとの縦軸目盛りの違いに注目)

1980年代のアメリカの不況の際は、1985年のプラザ合意前で円安でした。また、製造業も国内にあったため、輸出は好調でしたのでアメリカ不況の影響は限定的だったと思います。
1991年の不況の後に日本もバブル崩壊が起こっています。2008年のリーマンショックは記憶されている方も多いのでは無いでしょうか。そこから回復しきれないまま東日本大震災が起こってしまっています。
2020年の不況は、コロナによる不況も重なっているので日本ではどちらの影響かは分かり難いですね。
今回は既に国債金利の逆転現象に突入した状態ですので、いつアメリカの不況に入ってもおかしくありません。バブル崩壊後の円高で製造業の空洞化が起こってしまい、折角の円安も生かせません。来年の4月の日銀総裁の交代で金融緩和が見直される可能性は高く、これもまた不利な要因になります。(リーマンショックや東日本大震災のときは白川総裁による金融引き締め路線)
つまり、消費税増税による不況+コロナによる不況に、更にアメリカでの不況が乗っかってくるということになります。

リーマンショックを経験したことのある経営者の方は、あの時のことを思い出して備えができることはやっておいた方が良いのでは無いでしょうか。
また、個人でも株式や債券などは何時でも整理できるように準備したり、確定拠出型年金やiDecoなども元本保証型や影響の少ない日本国債に変更できるように準備をする方が良いと思います。
なお、次のアメリカの政策金利の利上げ決定は12月14日の予定です。
備えあれば患いなしです。
(了)


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