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大阪大学 基礎数学1 ② R^mからはじめよう

数学でいくつか興味があるけどなかなか敷居が高くて入門できていない分野に多様体や測度論があります。ライフワークとしてのんびり勉強したいと思っていますが、独学では壁にぶつかったままになっていました。

最近はコロナ禍やユーチューバーの増加もあって、数学でも大学の授業をそのままYouTubeで受講できるようなものが増えていました。ほんとにいい時代ですね。

多様体についても色んな動画が上がっているのですが、こちらの大阪大学大学院の工学研究科機械工学専攻の石川将人先生のシリーズが大学の2単位分くらいの授業を全てオンライン化してくれていて、レベル的にも理系でなくても理解できそうな内容だったので、時間を見つけて視聴しています。

今、第二回からユークリッド空間で開集合や閉集合を定義して、その性質をこんどは位相空間における開集合として定義するというオーソドックスな議論の展開でやっていくのですが、閉集合の定義で細かいことが気になったので、備忘録的に残しておきたいと思います。

まず収束を定義して閉集合を定義します。

Def 2.5 収束するとは
点列$${\{x_n\}_{n=1}^{\infty} \in \mathbb{R}^m}$$が収束するとは、ある$${a \in \mathbb{R}^m}$$があって、
$${\forall \varepsilon}$$、$${\exist n_0}$$、$${n>n_0 \Rightarrow x_n \in N_{\varepsilon}(a)}$$.
※ $${d(x_n, a) < \varepsilon}$$と同じ。
このとき、点列$${\{x_n\}_{n=1}^{\infty} }$$は$${a}$$に収束するといい、
$${x_n \to a}$$とか、$${\lim_{n \to \infty} =a}$$と表す。
ただし、$${N_{\varepsilon}(a)}$$は$${a}$$の$${\varepsilon}$$近傍で、$${d}$$はユークリッド距離(定義は動画内を見てください)。

さて、収束が定義できたので閉集合を定義しましょう。

Def 2.6 閉集合
$${C \subset \mathbb{R}^m}$$が閉集合(closed set)
$${\Leftrightarrow C}$$内の収束点列が必ず$${C}$$内に収束する。すなわち、
$${ \{x_n\} \subset C, \lim_{n \to \infty} x_n = a,  a \in C}$$.

さてこの閉集合の定義は数学に疎い私にはあまり直感的ではなかったので、具体例を考えてみました。簡単な例として、開区間$${(0, 1)}$$について、点列$${\{ \frac{1}{2}, \frac{1}{3}, \frac{1}{4}, \frac{1}{5}…\} }$$を考えると、この点列は開区間$${(0, 1)}$$の内の点列ですが、収束先は$${0}$$で開区間の外に出てしまいます。

また、次のような点列を考えることもできます。

$${ \{ \frac{1}{2}, \frac{2}{3}, \frac{3}{4}, \frac{4}{5}, \frac{5}{6}… \}}$$

一般項で書けば、$${\{ x_n = \frac{n}{n+1}\}_{n=1}^{\infty} }$$ですね。これも、開区間$${(0, 1)}$$内の点列ですが、収束先は開区間の外の$${1}$$になってしまいます。

また、$${\{0.9, 0.99, 0.999, 0.9999, 0.99999…\}}$$のような数列も開区間$${(0, 1)}$$内の数列ですが、収束先は同じ開区間の外の$${1}$$になりますね。

閉区間$${[0, 1]}$$ではこんなことは起こりませんね。だから閉区間のwell-definedな定義になっているのだと思います。

また定義から、閉集合は極限を取る操作について閉じている集合とも言えそうですね。

数学ガールによく出てくる「例は理解の試金石」というやつで、何事も具体例で考えることが大事ですね。特に大学数学は抽象的になるので自分で具体例を考える作業が大事な気がします。以上、ご参考になれば幸いです。

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