見出し画像

宇宙のなりたちを会得した、古代中国人の叡智

東洋運勢学のルーツ「易経」

画像1


東洋占術のルーツともいえる「易経」は、古代中国の文明や世界観、道徳、政治、文化の権威の象徴として、3000年の歳月を生き延びてきましたが、易経の思想をそっけないほどシンプルに要約したのが、「易経三義」です。

画像1

宇宙の万物は絶え間なく変化する《変易》(へんえき)が、そこには一定不変の法則が貫いている《不易》(ふえき)、その法則とは陰と陽の対立・転化という簡単明瞭な形式で表される《易簡》(いかん)、というものです。簡単明瞭な形というのは、韓国の国旗にも用いられている東洋の運命観のシンボル、太極図のことです。

画像3


現存する宇宙は、およそ150億年前に大爆発(ビッグ・バン)が起こり、その爆発の余波で膨張を続ける途上にあるとされています。アメリカの天文学者ハッブルが、膨張する宇宙を発見したのは1929年で、理論物理学者ガモフが、ビッグ・バンに起因する「宇宙起源論」を提唱したのは、それから20年後のことです。

画像3


天体望遠鏡もコンピュータもなかった古代中国で、原始的な天体観測と自然観察だけを頼りに、宇宙のなりたちを会得した先人の英知に、からだの奥深くから畏敬の念がこみ上げてきます。

易経では「天地は大きな人体、人体は小さな宇宙」との考えから、ひとの身体も小宇宙とみなされ、先述した易経三義が適応されています。

画像4


地球上の生きとし生きるものの全てが、体内時計もしくは生物時計と呼ばれている生体リズム(biorhythm)をもち、自然循環のリズムに順応することで、エネルギーの代謝をはじめ、整理調整メカニズムを機能させながら生かされています。

陰陽のバランスで生成されている宇宙

中国古代の道家思想のカリスマ・老子も、「陽の極まれるときに陰がはじまり、陰極まれば陽に転ずる」と、太陽のもとで生命リズムが生まれた明暗をイメージした、自然循環論を述べています。

画像5


物理学の基礎である粒子の運動(量子力学)にも、陰陽がなくては波動の伝達は存在しないという考え方がありますが、宇宙そのものが陰陽のバランスで生成され、互いに調和しながら共存しているというのが、宇宙構造論の根幹です。

表裏のない曲面を実証した「メービウスの帯」のように、陰陽二気は相互に対立、否定する関係ではなく、働きが相反するだけで同時同所に共存しながら、交替しつつ働く気の流れと見ることができます。

画像6


ひとが覚醒と睡眠、労働と休息を繰り返しながら生きているのは、陰陽の循環という生物の基本的なリズムに、身をゆだねていることに他なりません。1日の終わりには、体温や血圧を下げて眠りにつき、夜が明けるころには血圧や体温を上昇させて、その日の活動に備えます。

満潮時には子どもが生まれ、干潮時にはお年寄りが息を引き取るという兆しがあるように、月の満ち欠けによる引力も、ひとの営みとエネルギーの消長にに、大きな影響を及ぼしています。

画像7


1年をめぐる循環過程に、春夏秋冬や二十四節気などの歳時記が配当されているように、ひとのライフサイクルにも、七五三や十三参り、成人式や厄年、還暦、喜寿、傘寿など、幼児期から青年期、壮年から熟年と、年輪を重ねるごとにイニシエーション(通過儀礼)を迎えます。

画像8


これらの風習や年齢に対するこだわりは、それぞれの季節(年齢)にふさわしい、ライフスタイルの切り替えをうながす、警鐘と忠告とも言えます。気力や体力にさからって、いたずらに自然循環の流れに棹(さお)させば、心とカラダにきしみや、ほころびが生じることを示唆しているのです。

人生100年時代を迎えた今こそ、自然の循環に素直に従うことが求められています。

スライド1

https://hikoden.biz/

画像9



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?