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壊れる寸前の家族を救った、四柱推命占い

夫の暴言からはじまった家族離散の危機

3組に1組のカップルが離婚する世相を映して、占いの場でも離婚相談はかりの比率を占めています。愛が憎悪に変わり破局するケースはさまざまですが、私の占い歴のなかには、危機一髪のところで家族が壊れるのを救ったドラマが記憶されています。

 春まだ浅いころですが、50歳半ばのご婦人が娘と息子を伴って、事務所を訪ねて来られました。専業主婦の母親は、席に着くと同時に怒りを爆発させました。
「子育てを終えた私が就職して社会復帰を望んだのに、女は家で家庭を守っていればいいのだ!」と、一蹴されたのが怒りの原因でした。大学を卒業して社会へ巣立ったばかりの娘さんと、在学中の息子さんも父親の横暴に業を煮やして、母親の味方になって付き添ってきたのです。
「オレは懸命に働いて、お前たちに何不自由ない生活をさせてきたはずだ。文句があるならこの家から出ていけ!」。ご主人のこのひと言で、子どもたちと一緒に家を出る決意をされたのでした。
 親子三人で暮らす住まいも探し始め、実力行使に発展する寸前でした。

不用意な発言の裏に潜んでいた、家族への慈しみ

マシンガンさながらに、炸裂する言葉の嵐に圧倒されながら、私は四柱推命で書き起こしたご主人の命式を見つめていました。親子がそろって誹謗するような、独りよがりで乱暴な性格はどこにも見当たらず、反対に几帳面で誠実な性格が読み取れました。
 それなのに家族全員を敵に回したパートナーへの暴言が、どこから生まれたのか探るために、穴が開くほど命式表をにらみ続けました。しばらく沈黙が続いた後に、あることに気づいた私は、ご婦人に問いかけました。
「ご主人の生い立ちについて話を聞かれたことはありますか。四柱推命では片親で育ち、幼少時に辛酸をなめる苦労をしたと出ていますが・・」。
「そういえば主人の母は看護師さんで、お父さんとは別れて女手ひとつで育ったようです」。
私は頭に浮かんだ心象風景を伝えました。
「看護師さんのお仕事は、夜勤もある不規則な勤務状態ですから、幼かったご主人は食事も一人でとることが多く、寂しい少年時代を送られたのではないでしょうか」。
 ご主人の子ども時代は、日本経済が戦後の復興に向かっているときで、シングルマザーの苦しさは、現代とは比べものにならなかったはずです。裸電球の下で、ちゃぶ台に用意された冷え切った食事を口に運ぶ少年の姿が目に浮かび、涙腺が緩みそうになるのをこらえながら、言葉を続けました。

「ご主人は幼少時のつらい体験から、自分が結婚したときには家族には同じ思いをさせたくない。母親は家族の支えとして、いつも家にいてほしい。家族の誰にも不自由な思いをさせないためにも、自分はどのような仕事も厭わず働く」。
「そう決意されて、子供のころから描いていた、妻や母親はいつも家にいる理想の家庭を築いてこられたのではないでしょうか。奥様がご主人の反対を押し切って外に出て働くことは、ご主人の生きがいを打ち壊すことになりませんか」。
 じっと耳を傾けていた娘と息子の口から嗚咽がもれだし、やがて号泣に変わりました。
「私は主人の家族への犠牲的な心遣いも理解しないまま、取り返しのつかない過ちを犯すところでした。もう一度、主人とよく話し合います」。
 泣きはらした親子は、肩を寄せ合うようにして帰って行かれました。

雨降って地固まる・より強くなった家族の絆

その日から1週間経ったころ、嬉しい電話がありました。電話の主は、離婚も辞さない勢いで飛び込んでこられたご婦人です。
「あの夜、子どもたちと一緒に主人と話し合いました。先生が言われたとおり、主人は母親の愛情を知らずに育った経験から、自分が結婚したときには、子どもたちに寂しい思いをさせないためにも、家族団らんの暖かい家庭に憧れていたそうです」。
 子どもたちが家に帰れば常に母親が、「おかえり」と笑顔で迎えてくれる、そんな家庭をもつことが、ご主人が子どもの頃から育んでいた夢だったのです。
「主人の夢を壊さないためにも、私は今までどおり専業主婦を続けることにしました。次の連休には家族旅行をする計画も決まったんですよ!」。
 明るく弾んだ声から、平穏を取り戻したご家族の喜びが目に浮かび、ホッと胸をなで下ろしました。

推命を誤る危険を自戒した、クライアントへの過度な感情移入

対面占いの場では、ともすれば目前の相談者の一方的な話に捕らわれて、公平な推命を誤る恐れがあります。ひとの悩みには必ず複数の人たちが絡み合っていますから、解決の糸口を探すためには関係者すべての心に分け入る必要があります。
 数ある占術のなかでも四柱推命は、生年月日さえ正確であれば占いの場におられなくても、その人の性格や、その時々のおかれた状況が、かなりの精度で把握することが可能になります。家族が壊れるほどの暴言を吐いたご主人の命式で、私が注目したのは主人の生まれ年の柱にあった星(通変星)でした。
 生年に現れる星は、その人の生まれた家族の状況や、幼少時の環境を表していますが、その星は両親が生死別して片親で育ち、小学校低学年時代までは、わが身を傷つける苦労を強いられたと、読み解けたのです。
 占いでみえた憶測を確認するのは、ドクターの問診と同じヒアリングです。ヒアリングによって奥様の怒りは、浅はかだった自分の短慮を恥じて、ご主人への愛と感謝に激変したのです。
 相談者への過度な感情移入は、その場にいない関係者を、欠席裁判に追いやる危険を痛感したエピソードです。

※文中の写真はすべてイメージで、本文とは関係ありません。

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