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30万件を超える日本人の苗字

このほど、赤ちゃんの命名の依頼を受けました。新生児の命名は占い鑑定士として、私が一番もえる仕事です。少子化の影響でめっきり依頼が少なくなりましたが、新しくこの世に生を享けた赤ちゃんに、なまえという生命を吹き込む仕事ですから、鑑定士冥利につきます。

赤ちゃんの生涯運を照らしながら、その児の資質や性格、運気の波にふさわしい漢字の組み合わせに思いを巡らします。言霊(ことだま)と五行(木火土金水)の配当、甲骨文字までさかのぼった漢字の意味、最後に画数を整えると、200ぐらい挙げた候補のうち、残るのは五指くらいになります。

もちろん、ご両親の希望も勘案しますが、子どもは親の私有物ではなく、社会の公共財産です。たとえ身体や精神にハンディを背負っていたとしても、社会に役立つ使命を負って誕生しています。一個の人格として尊重しながら、実り多い人生を名前に託していきます。

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ところで、日本人の苗字はどのくらいあるのでしょうか。2017年から始まった、NHKの教養バラエティ、「日本人のおなまえっ!」は、平均視聴率10%超をたたき出す人気番組です。自分の固有名詞(名前)に関する、日本人の関心の高さを物語っています。

漢字とヤマト言葉の融合

すべての国民(平民)に苗字を許す新法ができたのは、明治4年(1871)でした。税金徴収と徴兵のためです。30万件もの苗字が生まれたのは、漢字とヤマト言葉の融合です。江戸時代に苗字が許されたのは、人口約3000万人のうちの10%程度で、公家、武家、神主、医者、学者など、「苗字帯刀御免」の身分制度の象徴でした。

ちなみに韓国では約250、中国約3500、ヨーロッパ全域で5万足らずですから、日本人の数の異常さが際立っています。苗字の80%が訓読みですが、もとをただせばヤマト言葉です。漢字が渡来する(600年代)以前の祖先のことばで、日本語の素地ができたのは縄文・弥生時代だといわれています。

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日本人の苗字ベスト10の二番目に、「鈴木」がノミネートされていますが、スズキとは、稲を刈り取った後に積んでおく、稲束の山の意です。この稲束の中心に一本の棒を立てたのが、スズキの由来です。

この棒が稲魂と呼ぶ「依り代」で、棒を伝って稲の魂が積んである、稲穂の一粒ひとつぶに入って種籾(たねもみ)となって、翌年の豊作をもたらすのです。農民が大半を占めていた明治の初めには、農民の多くが豊作を願ってスズキ姓を名乗ることになったのです。スズキは熊野方言で「聖なる木」と呼ばれているゆえんで、熊野はスズキ姓の聖地になっています。

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もっとも画数の少ない苗字「一」

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日本でもっとも画数の短い苗字は「一」です。いち、はじめ、かず、ひともんじ、にのまえ、でかた(スタートは一からはじまるから)と読みます。

タイプ別分類では、地名型、職業、官職などですが、地名型の「黛」(まゆずみ)は、埼玉県児玉郡上里町しかない姓だそうです。職業・屋号では、末尾に「屋」のつく苗字は、1340にのぼります。

さて、あなたは自分の苗字のルーツを探ったことはありますか? 遠いご先祖の中には、歴史に名をのこす英雄や、著名人を発見するかもしれませんよ。


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