見出し画像

少部数字書きでも、かわいい本を安く作りたい!


小説同人誌は、高くつきやすい!

そう耳にしたことはありませんか?
同人誌特有の素敵な要素を思い浮かべてみれば、箔押し(高い)や特殊pp (高い)が浮かびます……。それに小説本は、漫画と比べてページ数がかさみ、見た目のかわいさ以前に、中身だけでも印刷費に直撃してしまう。

この記事では、Twitterのフォロワー約70名、pixivのフォロワー約40名の規模でゆるりと二次創作を楽しんでいる私が、少部数で頒布価格の安さを最も重視してはじめて本を出したときの、仕様や考え方について紹介していきます。

まずはじめに、同人誌を安く出すための1番の結論は
イベントに余裕を持って原稿データを仕上げることです。
なぜなら多くの印刷所は、製造するための期間によって料金が変わるためです。計画力のない自分としては、時間があってお金のない学生だったから選んだ&できたことだと思います。それにそもそも自分はページ数も多くないし。

そんなのあたりまえだろ!
と突っ込みをいきなり受けてしまいそうですが、当記事ではこれを前提として

•安さをデザイン的にプラスに変えるためのコンセプト設定
•コンセプトを活かすための一夜漬けデザインスキル
•お手頃な印刷所について

について書いています。
つまり予算の少なさを活かしてデザインで遊び尽くすための考え方の記録です。

ただの素人の記録ですが、学生さんだったり、逆に割り増しになってしまいそうだからこそ仕様は軽くしたい方などなど、誰かのお役に立てればと思います。


①おおまかな仕様と価格について

この記事では、私が500円で発行した2種の小説本について触れます。
はじめにこれらの仕様について簡単に紹介してから、内容に移りましょう。

1.児童書風

会場価格:500円
▪️仕様
新書変形サイズ 本文66ページ
カバー付き(クリアpp)

2.ペーパーバック風

会場価格 500円
▪️仕様
新書 本文112ページ
マットpp

②安く作るためのコンセプト設定

続いて、本題に入っていきます。
二次創作小説は、読んでもらって互いに楽しむだけなら、ネットにあげるだけでも十分なはずです。

だからわざわざ本の形にして、さらに読者からお金まで払っていただくのなら、見た目だけでもある程度の価値を与えられる物にしたいと考えていました。
好きな本の中にある、ずっと心に残っている言葉を借りるとすれば、目指すべきは中身が白紙でも外見だけでその人の本棚に加えてもらえる本です。

私はイベント参加を決めた段階で、本はなるべく安く、できれば1冊500円以内で作ろうと決めていました。そのため豪華さではなく、むしろチープであることによってデザインが良い方向に向かうように、内容含む全体のコンセプトを設定すればスムーズです。

そこで、先ほど見ていただいたように児童文庫風とペーパーバッグ風にしようと決定しました。

文庫本もペーパーバッグも、一般的に廉価版の書籍として出版されているものです。そのため凝ったことをしなくとも、市販のものに雰囲気を寄せれば安くそれっぽく演出をすることが可能なのではないでしょうか。

ペーパーバッグなんて特に、作りがチープであればあるほどかわいくなるのではないかと思います。

それに、青い鳥文庫やフォア文庫の挿絵のイラストレーターになるのが小さい頃の夢だったから、推しカプ本を世に増やすついでに昔の夢まで叶えちゃおう!という心もありました。えへへ。

というわけで、大まかな方向性が決まりました。

③安く作るための印刷所•仕様決定

続いて、印刷所や仕様についてです。

小説向けの印刷所についての記事やツイートは、わかりやすいものが既にたくさんあります。

例えばこれとか、

これとかね。

そのため本チャプターでは、自分の使った印刷所や紙の判断理由および所感を軽〜く紹介していきます。また、2023年3月時点の情報なので、現在は使える仕様や価格が変更されている可能性がありますこと、ご承知ください。

1.児童書風

本体印刷  : ちょ古っ都製本工房
カバー印刷 : グラフィック

ちょ古っ都さんは、少部数から安価に刷ってもらえることで有名ですが、今回選んだ最も大きい理由は、一般的な新書より微妙に横幅のある児童文庫のサイズにするための変形裁断が可能だったためです。

変形裁断が使えない印刷所は意外と多いため、お手頃で入稿もわかりやすいちょ古っ都さんが対応していてラッキーでした。

また、カバーは別の印刷所で作成しました。
ネット印刷•グラフィックのフライヤー印刷です。

題字含むデータは
アイビスとパワポで無理やり作りました…

カバー印刷はppもかけると結構高くつくことが多く、うーんと思いながらTwitterで調べてみたところ
グラフィックでカバー印刷ではなくフライヤーとして印刷することで、最も安く作ることができる! という情報を得ることができました。

他にも数社、カバーやフライヤーを作ることのできるネット印刷を調べてみましたが、カバーと比べて安価なフライヤーに変形裁断•pp貼りができるサービスはグラフィックのみだったと記憶しています。

本体とカバーで別の印刷所をつかうと強制的に手巻きですが、少部数なので問題なし。

2.ペーパーバッグ風

印刷 : コミックモール

こちらはカバーなしです。
おしゃれでポップなペーパーバッグ風にしたい!ということで、再生紙風のグレーの用紙を使えるところを探しました。

あとコミックモールさんは納品日に対して締め切りを数日早めることで、pp加工を無料で付けてもらうことができます。ありがたい!

グレーもかっこよくて読みやすいです
嵩高だから背表紙でも遊びやすいかもしれない…

あと、こちらでは黒ベタも使用しました。

「オンデマンド印刷ではベタにテカりが出る」と聞いたことがあった通り、写真左側に光が反射しています。このようにページ全面ベタだと、確かに光沢がないほうが締まって見えそう。
右側の白抜きの文字への滲みや、裏染みはありませんでした。


ちょ古っ都やコミックモールは安価な代わりに、データの内容についてのチェックは無く、印刷が可能な状態ならノンブル等に不備があってもそのまま刷られます。そのため、初心者向けの印刷所ではないとよく言われています。

自分は中身さえちゃんと読めれば、多少まちがいがあっても読者にはあまり影響がないだろう!と判断してこれらの印刷所を選びましたが、案の定入稿後にポコポコとミスは見つかりましたし、中身が読めなかったりあまりに見栄えば悪くなるようなデータミスがあった可能性も十分あります。

印刷費の安さを取るかプロによるチェックを取るかは、それぞれの状況や優先順位の判断によるなあと思います……。

④一夜漬けデザインスキル

方向性が決まっても、仕様を決めたとしても肝心のレイアウトや配色がキマらなければ意味がない……!

ということで、最後に素人の自分が突貫工事で表紙や扉をどうにかしようとした、自己流手法についてです。

定番ですが、Pinterestでいろいろなデザインを見て、パターンを掴むことと自分の好みを知ることが、近道なのではないかと思います。

パターンや理論が例と共に言語化されている本もたくさんありますし、デザインの思想史なんかもとっても楽しいですが、私たちが欲しいのは、今すぐ使える一夜漬けスキルです。

短期的なアウトプットに繋げるためには、Pinterestで大量インプット→試作→初心者向けの理論本を参考にして修正、のループで進めると効率が良いような気がします。

あと配色やフリーフォントの情報も、専門のサイトで探すよりも、画像化されたものをPinterest内で探してしまうほうがスムーズで、個人的には好きです。

   ⭐︎   ⭐︎   ⭐︎


気がつけばこれらの発行も半年以上前ですが、先日残部を出したのをきっかけに、覚えているうちに自分のしたことや考え方をメモをしておこう、と思いたち、予算の少なさをプラスに変えるための考え方に注目して書いてみました。

私が手探りでさまざまなブログ等をみて頭をひねっていたように、思考と行動の流れの一例として、誰かにへ〜と思ってもらえたら!と思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?