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春になったら観光ワラビ園

今日の記事は、東海新報2024年5月10日付の「”里山の恵み”収穫楽しむ 守る会が観光ワラビ園開放」です。春になると産直をめぐるのが楽しみです。様々な山菜が並べられ、選ぶのも楽しいのですが、手間をかけて料理するのも楽しいです。そんな春の訪れを告げる園の開放ですが、観光や農業の新たな一手になるのでしょうか。
(東海新報 https://tohkaishimpo.com/


記事は、住田町下有住の蕨峠町有地の観光ワラビ園が開放したことを伝えています。

開放初日、蕨峠周辺は肌寒い気候となったものの、ワラビを求める人たちが町内外から足を運んだ。丘陵地に入った来場者は「ポキッ」という心地よい音とともにワラビを収穫し、袋一杯に詰め込んでいた。

東海新報 2024年5月10日付

続けて、宮古市からきた男性や大船渡市からきた女性のコメントを紹介しながら、ワラビの出来について、

守る会(すみたの里山を守る会)によると、今年の生育は上出来だが、「温暖化の影響もあってか予想よりも伸びるのが早く、育ちすぎてしまっているのもある」という。

東海新報 2024年5月10日付

と上々であることを報じています。

そして、すみたの里山を守る会については、

守る会は、里山地域の有効活用と環境整備を図ろうと、伝統的な山焼き手法の取得と継承を目指す団体で平成20年に結成。観光ワラビ園の開設は22年から実施している。今年も3月下旬に山焼きを行い、安全に歩ける丘陵地に草花や山菜が芽吹く環境を整えた。

東海新報 2024年5月10日付

と伝えています。参加料は1,000円で2kgまで取り放題で超えた分は1kgごとに300円加算されます。事前予約不要です。5月中旬までの開放ということです。

観光や農業の新たな一手として山菜は可能性があるのでしょうか。


まず、農林水産省の「特用林産品生産統計調査」で2022年の生産量ベスト5をみてみます。
(農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokuyo_rinsan/

1位 山形県 301.7t
2位 新潟県 46.4t
3位 福島県 46.1t
4位 岩手県 33.1t
5位 高知県 25.5t

山形県が圧倒的に他県を引き離してダントツです。ここ5年でみても他県と1桁違う生産量を誇っています。

次に2018年から2022年までの生産量の推移をみてみましょう。

(前:人工 中:天然 後:人工の割合)
2018年 351.2t 411.3t 46.06%
2019年 203.2t 494.1t 29.14%
2020年 131.6t 378.1t 25.82%
2021年 148.0t 372.6t 28.43%
2022年 274.7t 374.4t 42.32%

その中で岩手県の生産量の推移をみると次のとおりとなります。

(前:人工 中:天然 後:人工の割合)
2018年 16.4t 7.4t 68.91%
2019年 17.3t 5.6t 75.55%
2020年 26.4t 6.8t 79.52%
2021年 21.8t 10.7t 67.08%
2022年 21.9t 11.2t 66.16%

全体の生産量では、人工生産の割合が25〜46%であるのに対して、岩手県では66〜79%と高くなっています。つまり、他県においては山に自然に生えているワラビを収穫するのに対して、岩手県では管理された畑などで栽培しているということであり、おそらくは農家がその担い手になっているものと思われます。

住田町での観光ワラビ園の取組みは、岩手県においてはオーソドックスなもので、管理された場所で収穫することが当然のことなのかもしれません。


次に観光面ではどうでしょうか?

Googleで「観光ワラビ園」と検索した結果は次のとおりです(2024年5月23日検索)。

山形県 13箇所
岩手県 3箇所
秋田県 2箇所
宮城県 1箇所
石川県 1箇所

ここでも山形県が圧倒的です。天然採取が多いのですが、そもそもの生産量が多いので人工栽培も他県を圧倒して多いため、観光農園が多くなるのも頷けます。


ワラビに限らず山菜は、多くの山々でなっているでしょうが、そのほとんどが採られていないものと思います。もっと活用する方策があるのではないかと思います。

春になるとワラビを山から採ってきて、アクを抜いてらっきょう酢に漬けて置いて、そのままご飯と共に食べています。

美味しい食べ方は次の記事が参考になります。


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