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映画「夜明けのすべて」

「すくわれることは、ある。」山添くんのこの言葉が確かなことのように感じられた。山添くんはパニック障害を抱えながら、藤沢さんはPMSを抱えながら、苦しみながらも懸命に生きている。それぞれに生きづらさを感じながら。
お互いの生きづらさを知った二人は、適度な距離感を保ちながらも相手を理解しようと動き始める。その感情の動きが繊細で、無理がなくて、暖かかった。そしてお互いを知ろうとすること、相手のために自分に何ができるか考えて行動すること、それが人をすくい、自分もすくわれるのだと教えてもらった。
私にも、苦しくてたまらない時、自暴自棄になってしまう時がある。そういう時って、だれが決めたのかもわからない「普通」と比べて、普通じゃない自分が怖くて、嫌で仕方がなくて、拒否してしまう。そんな自分も自分の一部なのに、それを受け入れられない。自己否定を始めると止まらなくて、負のスパイラルを駆け下りていく。なんで生きているのか、何のために生きているのか分からなくなって、無気力になる。
でも、どんなことがあっても、決して生きることを辞めてはいけない。きっと誰しもが生きづらさを感じて生きている。もっと気楽に、楽に生きられたらと願いながら、現実、自分自身はなかなかそれを許してくれないのだ。
山添くんと藤沢さんのように、すくいすくわれる人が増えていくことを願って。すくえるひとに、私もなりたい。

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