34歳。はじめての味噌づくり
あなたの夢はなんですか?
そう聞かれたらわたしは迷わずこう答えていた。
はい。味噌を仕込むことです。
もとい、季節によっては
はい。梅干しを漬けることです。
とか
はい。醤油を絞ることです。
とかに内容が少しずつ変わってはいたので、味噌を仕込むことだけがわたしの夢だったわけではない。
スーパーに足を運べば1年中、いとも簡単にフレンドリーな価格で買えてしまうそんな日用品を、わざわざ時間と労力をかけて「自分でつくる」。
歌うこと以外に対してほとんど興味の持てないわたしにとって、その行為は大げさではなく、夢というかむしろ「夢のまた夢」だった。
それを、よし作ろう!という気持ちになれるということが。
そしてその気持ちを現実世界で、行動に移せるということが。
コンセプトはすごく素敵だと思えるし、それを自然にやれる人は素晴らしい人格の持ち主だと思うし、自分で作った味噌も食べてみたいんだけど、なんていうかもうめちゃくちゃ
め ん ど く さ い。
いつかたっぷり時間ができたらね、うーん40代になってからかな、ちょっと今は忙しいから、そういうまじで腰据えて気合い入れて取りかからなきゃいけないものは・・・
あれ?
そんなわたしの背中をニコニコぽーんと押してくれたのが、ちきゅうの学校主催の「はじめての味噌づくり講座」。
なんと、あらかじめ良い感じにくつくつ煮たあと丁寧に冷凍パックされた国産の無農薬・有機大豆と米麹(つくる前日に解凍するだけ!)それに大切な材料である天然塩を、ベストな量に計ってまるごとセットで郵送、オンラインでのサポートを受けつつ、わからなくなったら解決しながらいっしょに味噌を仕込んでいく!という、うれしい企画。
す、すごい。手厚い。優しい。
「ニッポンめんどくさい選手権」が開催されたなら、まちがいなくメダルを獲得できるレベルの、国内トップクラスを誇るめんどくさがりなわたしでも、これならできるかもしれないぞ。
ということで、はじめての味噌づくり体験が、スタートしました。
おもしろそう〜と見ていたパートナーのギタリスト、はじちゃんも手伝ってくれた!
煮た大豆パックを湯煎でしっかり温め直して、袋の中でつぶします。
つぶし方はお好みで!とのことでしたが、楽しくてけっこうつぶす笑
米麹と天然塩をよく混ぜ合わせます。
手の常在菌が人によってちがうから、手前味噌はそれぞれの家庭の味になるんだって!
おもしろいよね。どんな味になるのだろう・・・
そして大豆を投入!再び、まぜまぜ。
米麹+天然塩と大豆が出会うと、
こんなかんじに。
で、味見してみたら、あれ?
なんか塩っぱすぎないか・・・?
そう。実はわたしこのとき
大豆の袋を一つ、解凍し忘れていたんです。
そういえばなんか水分足りないなー?
と思ってた!
ちーん。
翌日、気を取りなおして再チャレンジ!
(夜行性なので前日は思いきり深夜に仕込んでいました笑)
「追い大豆」がよく混ざるようにとがんばったけど、米麹+天然塩(白)と大豆(黄)のコントラストが目視ではもはや判別できず、どう見ても同じ色なので、ちゃんと混ざったかはわからない・・・!
あとはお祈りするしかありません。笑
これから半年くらい保管して、菌たちの力で育ててもらう「味噌樽」の中に、まぜまぜした彼らを詰めこんでゆきます。
まず、内側をアルコール除菌(わたしは度数の高いウイスキーを染み込ませたキッチンペーパーで拭きました)をして、底のほうにパラパラと振り塩(こちらは天然塩じゃないほうが殺菌効果は高いそう!)をして・・・
味噌が空気になるべく触れないようにするために、中の空気を抜く意味で、ハンバーグみたいな味噌玉をつくって樽の中へ「思いきり」投げつけていきます。
味噌玉は、うまく命中せずにときどき外してしまって、床に飛び散ってワアアアア!と叫びながら爆笑(これはわたしの球技の力量と比例しています、みんなは大丈夫だとおもう・・・笑)
だんだんと詰まってきました。
まわりに人さし指でくるくると溝をつくって、真ん中にもおまじないみたいにくぼみをつくったら、殺菌のための振り塩をパラパラして完成!(床は拭いた笑)
あとは、空気に触れないよう表面にラップをかけて、その上に重し用の塩のかたまり(これは何年も再利用可!)を乗せて、蓋をします。
次に開けるのは半年後、10月の満月。
で き た。
「味噌を仕込む」という長年の夢がひとつ叶ったことに感動して、そして育つ前の味噌さんとのご対面タイムが終わってしまうのがもったいなくて、作業がおわってもなかなか蓋を閉められませんでした。笑
そんなこんなで、こんなに豪華なサポート、お膳立てをしてもらって、ようやくはじめての一歩を踏み出すことができた。
味噌プロ(?)の方々から見たら「それは自分で全部つくったうちに入らないわヨ!」と笑われちゃうかもしれない。
だけど、この機会がなかったらわたし、たぶんずうううっと「味噌を仕込む」は夢のままで終わってたなぁ。
実際にやってみると、あれ?意外とこんなすぐにできるのか〜!って思えたんだけど、材料を揃えてきちんと計ったり、お豆を水に戻して大鍋で煮たりという工程をお手伝いしてもらえたから思えたことだし、わたしみたいに、めんどくさがりで不器用で「自然の中で、先人の知恵を学んで生きる」とは程遠いライフスタイルの人間にも、最初の一歩をたのしく踏み出させてくれる企画って、ほんとうにありがたいなぁ、って感じたよ。
地球とあそんで生きるを学ぶ ちきゅうの学校
これからも、素敵な活動をしている人たちの応援はできる限りしていきたいし、参加して、こうしてちいさな体験記を綴ることで、ほんの少しでもワクワクの輪がまわりの人へも広がっていったらうれしいなぁと思う。
だってさ、なんだって「最初の一歩」がいっちばん勇気いるんだよね!
ゼロからイチにするときって、自分の想像以上に膨大なパワーが必要で、なんにもない荒地に、育つかもわからない種を蒔くようなもの。
めんどくさいきもちの正体って、
なんにも知らないから、失敗しないようにいろんなこと調べるのがたいへん。しかも超がんばっても失敗する確率のほうがめちゃくちゃ高くて嫌だ!こわい!っていう、潜在的なリスク回避の「恐怖」だと思うのだけど。
それは、ひとりきりだと、なかなか簡単にひっくり返せない。
失敗していいよ〜!
ダメだったらいつでも助けるよ〜!
って言ってくれる人がそばにいたら
そんなきっかけがあったら
はじめて叶う、おおきな一歩。
できるだけ自然に近い暮らしがしたいなぁ、大量消費の社会に飲みこまれたくないなぁ、もっと優しく丁寧に味わえる愛情たっぷりのものを食べたいなぁ。
味噌を仕込むひとときはわたしにとって、そんな体の奥底で長いことくすぶっていた願いや欲求をかたちにして行動に移してあげる、だいじなだいじな一歩でした。
今、全人類に向かって自慢したい気分です!
わたしにも、味噌づくり、
できたよー!!!!!!!
(ドヤ顔 笑)
P.S. 今回、サポートしてくださった「お味噌博士」のはるさんは、お百姓さんとして、千葉県印西市の「はる農園」でお野菜をつくっています。
▼ はるさんのインタビューはこちら
再生の旅「自然のリズムと内臓感覚」
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ではでは、拙い手前味噌レポートをさいごまでお読みくださり、ありがとうございました。
発酵してゆく豊かな愛をこめて。
かおりより
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