2人の建築家
東京で海外の2人の建築家を取り上げた展覧会がそれぞれ開かれていたので、見に行ってきました。
1人はフィンランドの建築家アルヴァン・アアルト(アールトとも表記)。
1898年生まれのアアルトは公共施設や教会、個人宅などを数多く手がけたそうです。海外の仕事もいくつかあるようですが、ほとんどはフィンランド国内。残念ながら日本には彼の建築物はありません。
展覧会では彼のドローイングや模型なども展示されていて、図書館の設計では読書時の光の当たり具合まで細かく考えているのがわかります。使用したタイルやトッテも陳列されていて(実物なのか不明)、見ごたえありました。
とはいえ、建築はやっぱり実物を見てみたいとも思うわけで。絵の展覧会なら実物が置かれていて、その絵を写真に撮ってひきのばされたものが展示されていたら興ざめですが、建物だとそうせざるを得ないので仕方ないわけで。となると、使用した素材やスケッチ、模型、映像などで見せるしかないんだと思った次第です。
あと、アアルトは建築家でありながら、プロダクトデザイナーでもあって、照明やイスなど調度品も自ら手がけました。そうした照明やイスは実物が置かれていて、見ていて楽しいものでした。イームズのイスとかでも思うのですが、湾曲したあのカーブの心地よさといったら!
それから、数日置いて訪れたのが国立西洋美術館のル・コルビュジエ展です。
アアルト展では実物が見れないのが残念でしたが、こちらはコルビュジエが手がけた建築物の中で、コルビュジエの作品に触れるという贅沢な体験でした。
コルビュジエという人は超有名な建築家ということしか知らなかったのですが、この展覧会でフォーカスしたのは「画家としてのコルビュジエ」です。
コルビュジエたちはピカソやブラックのキュビスムを批判する形で純粋芸術として「ピュリスム」を提唱します。
そして「エスプリヌーボー」などの雑誌を出版したりもします。このように画家や雑誌編集など、コルビュジエの別の顔がどんどん紹介されます。
その後、総合芸術として建築に本格的に進むのですが、それはまた別の物語です。
本展覧会で個人的に印象的だったのは、建築家らしく絵画でも「幾何学」にこだわり続けたコルビュジエが、年月とともに自然にある貝がらなどの形に惹かれていくところです。そして幾何学と、自然の造形の中にあるフォルムの美しさとが矛盾しないという結論に至るのです。
というわけで、2人の偉大な建築家の足跡を立て続けに垣間見ることができました。それは建築素人の私にとって、貴重な出会いでした。
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