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25.やさしくずるくわるいひと

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これは2015年に制作した「ヴィーナス」というタイトルの作品です。

この作品はnoteのわたしのヘッダーにもなっており、とても気に入っている作品です。5年も前の作品で、今見ると技術的に未熟と言える部分も多いのですが、これを描いた時のことを今でも覚えているくらい楽しく描けたので贔屓目がやめられないのかもしれません。

絵を描いている作業中はよくYouTubeをみています。映画やアニメを見ていることもあるのですが、音楽を聴くならYouTubeが好きです。理由の一つはミュージックビデオをみることが好きだから。もう一つは似たようなアーティストの曲をお勧めしてくれたりして、新たな出会いがあるからです。本当に音楽に関しては消極的というかあまり興味がないので、好きな映画のサントラを聞いたりするばっかりの自分にとってまだ見ぬアーティストの作品を知る機会はここしかありません。お世話になってます、ありがとうございます。

で、この絵なのですが。実は別の作品を描いている途中でYouTube経由で知った女王蜂の「ヴィーナス」という曲から着想を得て描きました。PVも女王蜂というバンドもわたしにはとっても刺激的で一目で好きになったのですが、なにより一瞬で絵を描こうとまで思い至ってしまった理由はアヴちゃんの紡ぐ歌詞にありました。

普段から生きづらさを種に絵を描いていた自分にとって、この歌詞にある「総ては貴方次第だ」という部分が特に引き金だったと思います。生きづらさの理由は、世間・家族・社会・常識のせいなんだと半ば諦めの気持ちもあった中で、初めて「もしかして全部わたし次第なのかな?」と思い至りました。自分次第でこの歌詞にあるような自由に生きるヴィーナスになりうるのかな?と思ったらそのイメージを絵に起こしたいなと思い、描きかけの絵を中断して一気にこちらを描きあげました。

わたしの歴代の作品をよく知る人はこの絵を見て「貴方の絵じゃないみたい」といいます。普段はほとんどモノクロな絵だし、絵の具も普段は使わない、なにより女の子が楽しそうに生き生きした顔をしている。自分でもこういったテイストの絵は苦手とするところだったのですが、この絵はなぜか行き詰ることもなく楽しく描けました。

これ以降わたしはもっと生き生きした女の子の絵が描きたいなと思うようになりました。自分にとっての一つの分岐点です。理想というとどこか遠く夢のようなものにも思えてしまいますが、自分がこうありたいと思う姿を描く、という一つの指針が生まれ現在の自分があると思っています。

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