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18.ムジャキの邪気

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これは2011年に制作した「木蓮鸚哥」というタイトルの作品です。

この作品は2014年に制作した「花鳥園」という作品集に収録されております。この作品集は花と鳥をモチーフとした作品を集めたもので、自分自身とても気に入っています。

鳥をよく描きます。あとときどき魚も。鳥と魚に共通するのが目が怖いこと。愛鳥家、愛魚家の方には申し訳ないのですが、表情や感情が哺乳類に比べて乏しく(ディスってるつもりはないです)代わりにそのギョロっとした目だけで何かを物語るような奥深さが魚や鳥にはあるとわたしは思います。そういう意味では爬虫類も描くのが好きですが、爬虫類はむしろその強そうなビジュアルに惹かれているので目より見た目が描く理由かもしれません。

タイトルにはインコとあるのですが、実はこの鳥はキバタンオウムです。真っ白な体に頭の黄色が映える大きめの鳥です。子供の頃近所にこのオウムを飼っているお宅があって、その鳥の前を通り過ぎるたびに何もしていないのにめちゃくちゃ威嚇されていて、ちょっと怖い思い出があります。

方や描かれている花は白いモクレンです。桜のように葉っぱを持たずに枝に花ばかりをつける木で、大ぶりの花が空を向いているとまるで鳥が枯れ枝で羽を休めているように見えます。この作品の中ではまさにそんな、花なのか鳥なのかわからなくなった幻惑の世界を描きました。

子供たちはハサミでいたずらに花を落としていきます。ジャキン、ジャキン。するとだんだんと切っていたのは花ではなくオウムの大事な風切羽根だった気もしてきます。ジャキン、ジャキン。飛べなくなったオウムたちは恨めしそうに子供たちを見つめます。寝そべる子供と、地に落ちた風切羽根と花の花弁。

オウムの羽根を落としたのは本当は空を飛ぶ彼らがうらやましくていじわるしたかったのかもしれません。羽根さえなければ、彼らと同じように地上で生きるだけ。妬みの気持ち、他者を自分の場所まで落として満足する卑しさ、いたずら気分でそれを実行してしまう浅はかさ。そんな子供たちを少し高い位置から見下ろしているオウムの目は何を物語っているのでしょうか。

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