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17.孤高の孤独

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これは2016年に制作した「コラプサー」という作品です。

コラプサーとは、ブラックホールの昔の呼び名で崩壊した星という意味だそうです。前回の「玉兎」と同じく2016年に開催した個展で発表した作品です。その個展のDMにも使った思い入れ深い作品です。

「玉兎」は「世の中が星をどうとらえているのかとらえているのか」というアプローチから制作した作品だったのに対して。この「コラプサー」は「わたしが星をどう見ているか」というアプローチからの作品です。

ブラックホールという言葉は漫画や映画などさまざまなSF作品に登場する言葉で誰もが知っているかと思います。しかしながら、ホールと言いつつ穴ではなく天体であって、光すらも捩じ曲げる強い重力をもっているということをきちんと理解している人は少ないのではないのでしょうか?偉そうに解説を書き綴るわたし自身も専門的なことまで理解してるとは言えず、お恥ずかしい限りです。しかしながら、最近(2019年)になってようやく直接撮影することができるような代物であるブラックホール。まだまだ謎だらけで、自分からは途方もなく遠く、大きなものであるために考えれば考えるほど理解からは遠のいていきそうに思えてなりません。

自分がこのブラックホールを絵にしようと思ったのは、そのあまりの大きさ、強さに一抹の寂しさを感じたからでした。重力が強すぎるがために周りの星や光を飲み込み、底のない穴のように黒々とした何かとして存在する姿は、孤高というより孤独のようにわたしは思います。

一人が好きだと自負している自分すら気のおける友人が何人かいて、彼らと一緒にいる時間が楽しいものであるからこそ、一人の時間も楽しむことができています。普段は一人でいたとしても、知らず知らずの間に多くの人に助けられていたり、色々な関わり合いがあるからこそ一人にさせてもらえているとも思います。誰の助けもなく一人でいることは孤独で退屈なものなんじゃないかと考えているわたしにとってコラプサーは孤独の形のように見えました。

賑やかな星たちがぐるりと距離を置いて真ん中に彼女を据える様子は強くかっこよくもあり、どこかさみしい姿なんじゃないか、というわたしの空想をもとにこの作品を描きました。

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