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28.おんなのこよ、かしましくあれ。

めめし

これは2018年に制作した「めめしかしまし」というタイトルの作品です。

たびたびこのnoteの中で語られる2018年の東京での個展のDMになった作品です。タイトルは個展のタイトルと同じです。

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こちらが実際のDMです。タイトルの文字も自分で作って我ながら気に入っています。

この「女々し、姦し。」というタイトルはこの個展をしようと本腰をいれてすぐに決まりました。私がずっとずっと考え続けていた「女の子としての生きづらさ」を発表して、そして私以外の女の子であるお客さんから反応をいただく。そしてこの議題について激しくやかましく熱くディスカッションをすることこそが本来のこの展示の目的でした。

ずっと前から、姦しいという字が嫌いです。この字を世の中(インターネット上や新聞など)でみる時は碌なことがないからです。そもそも「かしましい」の意味はうるさくやかましい様子なのに、女を三つ並べてうるさいだなんて失礼な字だなとも思います。けれど、女の子が3人集まってやかましくお話をするならば、きっと彼女らが今話したくて仕方ない話なんだろうなとも思うのです。例えば私の場合なら、仕事の愚痴だったり、最近みた面白い映画の話だったり、腹が立ったニュースの話だったり。また、3人というのが絶妙な数字で、二人なら聞き役、話す役にぱっきり分かれるのですが、3人となるとうまく相槌を打ったり、話をフォローしたりする役がいてとたんに広がりのある会話になります。とすると、なんだか姦しいってちょっと楽しそうだな、と思えてきました。「姦」と書いて「ガールズトーク」と読むような。そんな私の中の嫌いを好きに転じるために、半ば開き直りのように描いた絵がこの作品でした。

この展示の会期中には色々な方にお会いすることができました。自分の普段の身の回りにはいないタイプの女性、年齢や職業なども違って、こんな機会でもなければ出会うとのなかった人。お邪魔にならないようにできるだけ在廊中はお話をさせていただきました。どの作品が気に入っていただけたのか、どこに共感してもらえたのか、はたまた似たような経験をお持ちだったり。自分の知りたいと思ったことを不躾に尋ねることも多く困らせてしまったやもしれませんが、この展示に来たからには覚悟しろ!と言わんばかりに存分に本懐を遂げさせていただきました。もちろん女性ばかりではなく男性にもたくさん見ていただけて、結果的に良い展示となりました。

この展示の後、本格的に兼ねてからの夢であった語学留学の準備が始まり、私はぱったりと絵を描かなくなりました。ブランクでいうと1年以上になりますし、未だに作品らしい作品を発表するには至っていません。

この展示のあとから留学中、私はずっと次のテーマについて考えていました。10年ほどずっと取り組んできたテーマにこの展示で一区切りがついたあと次に何を描くべきか。今まで制作の主軸とも言えるテーマを失ったことがなかったので最初は戸惑い、もう絵は描かなくてもいいんじゃないかと思いました。しかし展示会の最中からぼんやりとイメージがあって、それを言語や絵といった誰かに伝えるための整った形に成形することができなくて今まで冬眠していたような状態です。そして現在ようやく形にする作業に入ることができています。このnoteを書き出したのも次に何を描くかを明確にしていくための作業でもあります。(一番は忘れっぽい自分のための備忘録です)

世間は再びコロナの騒動で賑やかになってきましたが、また再び展示会を行うことができたらいいなと思っています。その来る日に向けて今日も制作をしております。

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