見出し画像

24.作品、下から見るか?横から見るか?

画像2

画像2

画像3

画像4

これは2018年に制作した「不思議の国のアリス」の連作作品です。

2018年、福岡にあるギャラリーサナトリウムさんにお誘いいただいて参加した不思議の国のアリスの作品展のために作品を描き下ろしました。初めての九州での展示でした。そしてこの作品は4つのうち3つがギャラリーオーナーさんのお手元へお嫁入りしましたので、九州の方にしかお披露目していません。それは少し残念でもありますが、不思議の国のアリスを愛する人の元で可愛がってもらえているのはとてもありがたいと思っています。

不思議の国のアリスというお話は多くの人を魅了し長く愛されていますが、実はわたしはこの展示会にお誘いいただくまで本を読んだことがありませんでした。アニメや子ども絵本で見たことはあれど、ルイスキャロルの(読んだのは河合祥一郎訳の日本語版ですが)本をちゃんと読んでないのはなんだかよくないなと思いまして。この絵を制作する前から何度かアリスの絵を描くことはありましたが、原作未プレイの二次創作みたいでなんだか申し訳ない気持ちです。

ありえない展開が次々と起こるお話はまさに幼い少女に口頭できかせた即興話で、読みながら要所要所で子供心をくすぐってくるようなトンチキがたくさん散りばめられています。これがたった一人の女の子のために書かれたお話なのだ、と思うとわたしはなんだか他人宛のラブレターを見せてもらったような気分になりました。わたしには理解できないようなトンチキももしかしたらルイスキャロルがアリスを喜ばせるために考えたものなのかも、と思うと面映ゆくてなりませんでした。

誰かのために作った作品というものを第三者である自分がどう鑑賞すべきなのか、時々考えます。詩、物語、絵、音楽など。わたしは自分が作る側にいるという意識があるせいか、よく作り手の想いについて想像します。作品を通して作者が相手をどんなふうに見ていたのかとか、何を伝えたかったのかとか。でも不思議の国のアリスを読んだ時はこのお話を聞かされたアリス側の気持ちのことを考えていました。どこでワクワクしたのだろう、ここできっと大笑いしたのかもしれない。そういった観点から作品を見ることでよりいっそうこのアリスという物語の人物を愛おしく思いながら読むことができました。

余談ですがわたしも子どもの頃、自分と同じ名前の女の子が登場する絵本を持っていました。わたしはその絵本が好きで、これはわたしの物語なのだと子供心ながらに確信していました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?