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木次線を鉄道からバス転換すべき【持続可能な交通の提案】


木次線は、現状で持続不可能な鉄道交通

木次線ですが、JR西日本の発表で、かなり深刻な状態であることが判明しています。

JR木次線については、次のとおりです。

  • 出雲横田~備後落合 - 100円の収入を得るのに6,596円の費用がかかる
    (JR西日本ワースト2位)

  • 宍道~出雲横田 - 100円の収入を得るのに1,323円の費用がかかる
    (JR西日本ワースト11位)

JR西日本は「民間企業」です。木次線の赤字垂れ流しについては、株主から何らかの対策をすることを求められます。
収入を得るのに13倍~65倍の費用がかかるというのは、一般企業の感覚としてはありえません。つまり、JR木次線は「廃止されて当然」の状態です。
逆に、赤字をなくすために、現在の13倍の運賃にして、鉄道に乗りますか?という議論が必要になると思います。

では木次線沿線で、地域交通として鉄道利用者の需要喚起はできるのでしょうか。
私は無理だと思っています。
県庁所在地でバスがたくさん走っている松江市でさえ、自家用車の利用が当たり前です。まして、木次線沿線の場合は余計に自家用車が当たり前です。

木次線で鉄道利用の需要があるのは、下記の方でしょう。

  • 高校生や大学生(通学等の利用)

  • 高齢者(松江市立病院や松江赤十字病院などの大病院へ通う方)

都会との違いは、20~60歳の鉄道の通勤利用はほとんどないということです。この世代は、ほぼ自家用車利用がほとんどです。
また定期券の場合、通学割引があるので、一般客とくらべて通学利用の収入は減ります。
高齢者の場合、基本的にショッピングセンターと病院と市役所や町役場(支所含む)だと思います。病院については「雲南市立病院(大東町)」「平成記念病院(雲南市)」「飯南町立飯南病院(飯南町)」「町立奥出雲病院(奥出雲町)」と各地にあり、ショッピングセンターや役場も含めて、コミュニティーバスがカバーすべきものだと思います。
すると、鉄道利用をするのは、基本的に高校生や大学生のみとなります。現状で木次線は相当赤字を垂れ流しています。少子化が進み利用者が減るであろう日本において、地方ローカル路線の鉄道がこれからも持続可能な交通なのかは、極めて疑問に思います。
そもそも、自家用車やバスより重い鉄道が数人しか乗せないというのは、環境保護の点からも疑問です。鉄道は大量輸送してこそ環境にやさしい乗り物です。鉄道に数人しか乗せないのであれば、自家用車・バスより環境に悪いのは当たり前です。


実際に乗った人の動画

にっこーけん( https://www.youtube.com/channel/UCZAr1Ra4mMc3X5kD-iEhhlg )という方の木次線レビュー動画です。

仙台撮り鉄さんの木次線レビュー動画です。備後落合駅から宍道駅まで全線乗車して、誰も乗りませんでした。


国土交通省主催の地方ローカル線に関する話し合いについて

JRの地方ローカル線維持を考えている人には、耳の痛い話の動画だと思います。





地方の地域密着型輸送について

地方の地域密着型輸送(通勤・通学・病院の通院・行政機関での手続き・ショッピング)については、基本的にバスが担うものです。
高齢者の免許返納による交通機関の利用はバスが便利です。近所にバス停があれば、そこから地域拠点である「大東町」「木次・三刀屋」「吉田町」「飯南町」「仁多町」「横田町」へ足を運べれば、基本的に事足ります。
そして、道路があり運転手が確保できれば、バスはどこへでも路線を伸ばせます。2023年頃から無人運転バスが本格化する話もあります。キーワードは「MONET Technologies」です。また、「BOLDLY」という会社が無人運転バスの運行をしています。
高齢者や自家用車を利用しない・できない方の足としては、小型でいいからコミュニティーバスのような地域密着型の乗り物が便利です。
鉄道は線路を敷設している所しか走れません。柔軟性を欠く乗り物なのです。木次線は、後述の歴史的に山陰と山陽を結ぶ路線として線路を伸ばしたものなので、地域の足としては不便なのです。

茨城県境町の自動運転バス



木次線はなぜ「急行ちどり」が走る重要路線だったのか

木次線の主な歴史は、つぎのとおり。かなり省いています。

  • 1916年(大正5年) 宍道-木次間開通(簸上鉄道[ひのかみてつどう]が運営)

  • 1931年(昭和6年) 満州事変

  • 1937年(昭和12年) 宍道-備後落合間全通(日本国有鉄道が運営)

  • 1941年(昭和16年) 太平洋戦争開戦

  • 1945年(昭和20年) 終戦

  • 1950年(昭和25年) 松江-広島間にバスが走り始める

  • 1953年(昭和28年) 山陰-広島を結ぶ臨時快速ちどり運転開始

  • 1959年(昭和34年) 山陰-広島を結ぶ準急ちどりが定期列車となる

  • 1968年(昭和43年) 急行ちどりが4往復となる

  • 1971年(昭和46年) 国道54号線全線開通(広島-山陰を結ぶバスはこちらへ流れる)

  • 1972年(昭和47年) 山陽新幹線新大阪-岡山開業
    山陰-岡山を結ぶ、特急やくも運転開始(陰陽連絡線・山陰と山陽を結ぶ特急)

  • 1975年(昭和50年) 山陽新幹線岡山-博多開業

  • 1982年(昭和57年) 特急やくもが振り子式特急電車となり高速化

  • 1985年(昭和60年) 急行ちどりが1往復となる

  • 1986年(昭和61年) 松江-広島間の高速バス運行開始

  • 1987年(昭和62年) 国鉄民営化。JR西日本発足

  • 1990年(平成2年) 急行ちどりが木次線を走らなくなる

  • 1993年(平成5年) 車両を現在のキハ120型に統一

  • 1998年(平成10年) 奥出雲おろち号運行開始

  • 2003年(平成15年) 松江自動車道一部開通(宍道JCT-木次IC)

  • 2008年(平成20年) 保線の簡略化のため徐行するようになる(必殺徐行)

  • 2013年(平成25年) 松江自動車道全線開通(高速バスのさらなる高速化)

  • 2020年(令和2年) 日本にて新型コロナウイルスが流行しはじめる

  • 2023年(令和5年) 奥出雲おろち号運行終了予定

1937年の木次線全通や1963年の急行ちどり4往復というのを見ると、松江-広島の連絡線として、木次線が重宝されていたのがわかります。また、夜行急行も走っていたので、朝方に広島に到着して、山陽本線を東西に向かって移動するという需要もあったと見られます。
木次線が重要路線だったのは、山陰と広島を結ぶ路線として最も速く確実に行ける路線だったからです。
転換点は1971年の国道54号線全通です。これで、松江-広島のバス移動がスムーズになったと見られます。
とどめは1986年の高速バス運行開始です。これで、料金的にも時間的にもバスにかなわなくなり、1990年に急行ちどりが木次線を走らなくなります。これで、松江-広島を結ぶ拠点間輸送の路線としては、木次線の役目は終わりました。
2008年に徐行区間がたくさん設定され、速度面で自家用車に完全にかなわなくなります。
1998年から木次線活性化策として「奥出雲おろち号」が運行され、好評となりました。しかし、これも2023年に車両の老朽化のため運行終了となります。その後、観光列車あめつちを運行する予定ですが、開放型ではないため、観光列車としての魅力があるかは未知数です。そもそも、観光列車あめつちによって、地元にどのような利益があるか・地元にお金を落としてくれるか疑問です。


観光列車あめつちについての意見

これについては、動画をみていただくのが理解は早いと思います。
ネックは木次線の最大の魅力、「三段スイッチバック」の体験、「奥出雲おろちループ」が見られない。という点です。



高速バスによる拠点間輸送と地域コミュニティーバスの連携の提案

木次線は、あくまで木次線沿線の人しか恩恵を受けず、飯南町には遠すぎて使えない鉄道路線です。

振り返って、松江自動車道を見ると、木次にバス停があり、たたらば壱番地から吉田町・飯南町・奥出雲町への拠点となり得ます。
たたらば壱番地から松江の間は、自家用車で40分とされます。木次高速バスストップからでは30分です。

地図は、国土地理院の地図( https://maps.gsi.go.jp/ )を利用させていただいています。
Googleマップのアドレスも掲載します

木次線沿線・松江自動車道島根県側広域地図
https://maps.gsi.go.jp/#11/35.196256/133.110352/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
 Googleマップ → https://goo.gl/maps/r9GMxTeN8CYa92Fx7

雲南市・木次高速バスストップ付近の広域地図
https://maps.gsi.go.jp/#15/35.294777/132.893414/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
 Googleマップ → https://goo.gl/maps/yeEhkjPDvHJsWqMr9

木次高速バスストップ付近の地図
https://maps.gsi.go.jp/#16/35.288910/132.887342/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
 Googleマップ → https://goo.gl/maps/mYq5rETKEpDGkcun6

たたらば壱番地を中心とした、雲南市吉田町・飯南町・奥出雲町付近の広域地図
https://maps.gsi.go.jp/#12/35.100530/132.840157/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
 Googleマップ → https://goo.gl/maps/W43Rbvi8c4gPP2rC6

たたらば壱番地付近の地図
https://maps.gsi.go.jp/#15/35.175562/132.832303/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
 Googleマップ → https://goo.gl/maps/vH8JXmiQKvLXPy1T7


全体図です。
見るとわかりますが、吉田町・掛合町・飯南町は、木次線から離れた場所で、鉄道利用ができない場所です。ただし、松江道から比較的近く、たたらば壱番地から飯南町の間にバスが運行されています。
また、奥出雲町(仁多町)や横田町へは、国道314号線が整備されており、木次方面との便がいいです。また、途中に道の駅おろちの里(尾原ダム近く)や湯村温泉などがあり、観光需要にも応えられます。


その他・資料等



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