見出し画像

心だけ旅する

思っていた以上の無味乾燥な日々が戻ってきた。味がなさすぎて喉に引っかかって咳き込むような。多分、中にスパイスでも混じっていたのだろう。

せめても風呂に長くゆっくりと浸かる。スマホを持ち込んで、適当な音楽をかける。先日のバーで聴いたエリッククラプトンの、聴きたかったけど残念ながら流れなかった(それでも良かったけど)『Change the world』もちろんクラプトンの一番聴かれる曲だから、トップソングを頭から流す。ふと聴いてるうちに、全然関係ない映画のことを思い出す。

『エリザベスタウン』。いろんなところで何度言及したかわからない。そしてその度に言う。なんか本当にダメな映画。メンツはやたら豪華だし、オーランドブルームもキルスティンダンストも最高にいいタイミングなのに、どういうわけかダメな映画。でも、自分にとっては最高に愛すべきダメさであり、人生の最後に見る映画のチョイスで悩む一本に入ってくる。

映画の予告というものが大好きだ。特に字幕だとすごく勝手な訳が付けられていたりして、全然違う映画になってたりして。そしてこの『エリザベスタウン』の予告は、嘘であり本質だ。予告の大半の映像は後半の数十分でほとんどが構成されている。映画全体の殆どを占める、親族とのいざこざとか、オーランドブルームとキルスティンダンストのあまりパッとしない恋の駆け引きとか、そういう部分に殆どフォーカスが当たっていない。でも、それが正解なのだ。あの映画から得るべき本質は、最後の20分程度の旅にある。

この話をするといつも思う。
ああ、旅がしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?