改めて大学教員として採用されるために必要なこと

noteを徘徊していたところ

「大学教員になるために必要なこととして業績の数を挙げる人がいるが、それは成功者バイアスがかかった意見であり、結局は運だ」

と主張されている方を見かけました。

これに対する僕の意見は、

「運の要素で決まるステージに上がるために最低限の業績は必要だよね」

です(僕のnoteで一貫して述べてきたことです)。

結局、大学教員になるにはどうすればいいの?

大学教員になるためには

・その大学で教員をするための最低要件を満たすこと
・指定された業務をこなせること
・上記2点において他の応募者より優れていると採用担当に思わせること

これだけです(それがむずいんやろ)。

教員をするための最低要件

現在ではほとんどの場合、大学教員になるために博士号が必要になります。

また、各大学ごとに役職(教授、准教授、助教など)に合わせて求められる業績があります(内規と言われる謎ルールです)。

英語論文○○編とか、単著○○編以上とか、国際学会で発表経験があるとか。

何を求められるかは分野や大学によりまちまちです。

僕の分野(理系理論系)では英語論文数で助教なら3編、准教授なら5編とかそれぐらいが目安になっています。これも、論文を量産しやすい分野があったりするので、同業者の業績過程なんかを参考に業界の傾向を探るしかありません。

そういった市場調査をろくにせず、身の丈に合わない大学に応募していたら箸にも棒にもかからず落とされるのは当然でしょう?

指定された業務をこなせること

当たり前ですが、採用にあたって頼みたい仕事はある程度決まっています。

・担当科目
・入試等の専門性が求められる業務
・学生指導etc…

それらをこなせるか、経歴だけでなく面接の中で確認されます。

そもそも面接はそのために行っているパターンが多く、

「うちの学生のレベルは○○だけど指導できますか」
→「過去に非常勤講師として同程度のレベルの学生の相手をした経験があるので問題なくこなせると思います」
「担当科目のほかに、○○の科目もお願いできますか」
→「現職で同等の科目を担当した経験があるので担当可能です」

こんな感じで返答できれば、面接官に「仕事をこなす能力はありそう」と判断されるでしょう。

教育業績を積む、とはこういうことです。

他の応募者より優れていると採用担当に思わせること

そのうえで、他の応募者よりも優れていると「採用担当者に思わせること」ができれば採用確率が上がります(そらそーだ)。

重要なことは、実際に他の応募者よりも優れている必要はない、ということです。

そもそも、優れているかどうかというのは数値化できるものでは無いので、結局は面接官や採用を決める人間の主観にゆだねられているのです。その点において運ゲーであることは間違いありません。

ですが、ある程度の努力によって「よい印象を与える」ことは可能です。

・書類を過不足なく、指定通り作成する
・書類審査をする人間の立場に立って丁寧に応募書類を作成する
・余裕を持って書類を提出をする
・面接時に、清潔感のある格好をする
・ある程度、受け答えの想定をして回答を用意する
・礼儀正しくする、など

ようするに、一般的な就職活動でやっているようなことを当たり前にやりなさい、というだけです。

残念ながら、それができない研究者は少なくないようで、面接の印象がいい人に対して「この人の業績がもっと多ければ」と嘆かれる場面を何度か見ています。

さいごに

とはいえ、業績欄の論文の項目が読まれることに間違いありません。

ですので、「大学教員になりたかったら小手先のテクニックにすがる前にさっさと論文書け」と主張する人がいても別に成功者バイアスのかかった意見だとは思いません。

だって論文数が足りないと上の会議に上げてもはねられちゃいますからね。論文を書いた方が期待値が上がるのは間違いないです。

ですので現在大学教員を目指している方は、業界標準水準の論文数が無いなら、まずは論文を書きましょう。

よろしければサポートよろしくお願いいたします。