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東京を飛び出し2ヶ月経って思うこと

僕はこれまで、背景を飛び越えた最高の仲間達と空間を作り上げてきた。

人々が集う場所を生み出すのは本当に難しい。
表情、振る舞い、言動、服装から『この人は何を自分に期待しているのか』を察知し、期待値を超えるサービスを提供することで感動させて帰途につかせる。

いつでもアンテナを張って電波を受信し続けなければならない。

でも、人々が集い今この瞬間を楽しんでいる、あの一体となった空間を仲間と作り上げた夜の乾杯は格別だった。

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「世界にはどんな面白い人がいるのだろうか」とずっと想いを馳せ、NYを約2ヶ月旅をした。
不思議なもので、面白い出会いがどんどん生まれた。
バーバー。バーテンダー。ジャズミュージシャン。
ニューヨーカーが認めるプロ達。
そんな彼らはまだ未熟者の僕に、フラットにそして正直に語ってくれた。

バーバー

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「背景なんて関係ない。最高の仲間と最高の仕事がしたいのさ。」
「尊敬出来る人の側にいられるって最高だよ。」
「他人がどうだろうと関係ない。自分がどうしたいかさ。」

これまでモノクロだった自分の世界に色が差したようだった。

そして僕の中である想いが芽生え始める。

「性別。年齢。国籍。あらゆるバックグラウンドを持った人達と場所に囚われることなく、人を感動させるものを作り続けたい。」

ただこれはゴールではない。
ただのステップにすぎない。

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HIKE.建物

ラウンジ

熊本県玉名市。菊池川沿に位置するHIKEに住み込み始めて早2ヶ月。
「完全にアウェーな環境で新しい仲間と仕事がしたい。」という想いで東京を飛び出した。

予想以上の素敵な仲間達と巡り合えた。

本当に大学生かと思うくらいユニークで、加えて誰よりも人間くさい、いつも僕に影響を与えてくれる女の子。

「自分の顔に何考えているか書かれてるのか」というくらい僕の心を読んではすぐアクションをとってくれる優しい男の子。

あらゆるプレッシャーの中悩みながらも、壁をぶち壊しながらデザートで人々を笑顔にし、成長に貪欲な年上お姉さん。

安定感抜群。表には出さず仕事に本気で取り組み、みんなから絶大なる信頼を寄せられている面倒見の良い年上兄さん。

お客さんに話しかけられた暁にはしっかり盛り上げてくる、おしとやかなお母さん。

ある日、ホールスタッフを見てほしいと頼まれる。
東京にあるホステルでホールとして勤めていた背景が僕にあるからだろう。
微力ながらもちろんやらせてもらう。
だが、僕のやり方は放置プレイ。申し訳ないのだけども。

いくらでも僕が働いている様子は見てもらって構わない。でも答えは言わない。

そもそも僕の答えと仲間達の答えが同じとは限らないし、その答えを一歩一歩踏ん張って探究し、自分のものにした時きっとその人は成長する。
そのためならいくらでも失敗してもらいたい。

僕も何度シャワーを浴びながら落ち込んだことか。

アンテナを張りすぎて、抜け殻の様になる時がある。
それが表に出てしまう。
この不安定さ。こんな未熟者がみんなとどう時間を共にしたら良いのか悩む時がある。

それでも僕も進むしかない。
失敗してはまたより大きくなって。倒れる時は前に。

僕は仲間のために何が出来るだろう。
メニュー開発は出来ない。調理オペレーションも組めない。
苦しんでいる飲食担当の仲間を横目に、何も助けられないので申し訳ない気持ちになる。

それなら、仲間に細々口出しせずサービス提供に専念し仲間を支える。
そしてお節介ながらも、どうしようもなくなって後ろに倒れそうになった時、背中を支えることが僕のHIKEでの役目かなと思う。

落ち込んでどうしようもない時はいくらでも側にいるし話も聞く。

とにかく仲間にごちゃごちゃ口出しして受け身にさせたくない。

自分で思考を巡らせて何でも試してみてほしい。
プランAがダメならプランB。
「どのプランも上手くいかない時に口出しさせてもらう。これが一番近道でしょ。」といつも思っている。

諦めないでビジョンを描き続け、現状に満足せずそれぞれ壁をぶち壊していってほしい。

個々がそうやって成長できた時、HIKEはより面白い場所になる。

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HIKEがオープンし新たなステージに。
仲間達は今本当に大変だと思う。

ホールの人間は、その日のHIKEの顔として訪れた人々を感動させなくてはならない。
そのためにはどうしてもコミュニケーションは避けられない。

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書店を訪れたある日。
仲間が「話し方」について書かれた本を真剣な面持ちで読んでいた。
そして彼に聞かれた。
「どうやったらそんな風にお客さんと話せるのか」と。僕は本当に嬉しかった。

よくある飲食店のホールスタッフは、結局ドリンクやデザートが作れて無事に提供していれば誰にも文句は言われない。

だけど、HIKEはそういう場所ではないと思う。

如何にして訪れた人々の期待値を超えるサービスをするのか。
如何にしてワクワク感を持ってまた訪れてもらうのか。

彼は自分の殻を破って訪れた人と本気で向き合おうとしている。
やっぱりこういう気持ちの良い仲間と働きたい。

メニュー考案を担当している仲間達も今本当に苦労していると思う。

「HIKEらしさ」という、抽象的なコンセプトを念頭にデザート、ドリンクを作らなくてはならない。
しかもHIKEが走り始めたばかりというこの難しいタイミングの中で、責任を持ちながら創造力を働かせる。

そんな彼女達が生み出したものを美味しそうに口にしている人々の姿は、カウンター内で働いている僕の心を暖かい気持ちにさせる。

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想いを込めて試作し、周りから評価された時に嬉しそうにしている作り手達の姿は、こっちが照れてしまうくらい素敵。
硬らせていた表情が、一気に安堵と歓喜の表情に変わる。
この刹那、この人達と仕事が出来て本当に恵まれていると感じる。

想いの込められたデザートやドリンクを、表に立つ僕らがサービス力と共に提供することで訪れた人々を楽しませる。

「自分に何が出来るのかを知り、役割を認識して仲間と場所を作る」この感じ。
本当に気持ちがいい。

オーナー夫妻

玉名というこの場所で"カタル"場所を作ろうとしている素敵なオーナーご夫妻のもと、HIKEは成長しています。

一歩ずつ、着実に。

HIKEスタッフ
Nobu

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