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女性向け恋愛ゲームサンプルテキスト
【作品概要】
・女性向け恋愛ゲーム(スマホゲーム)
・3,000文字以内
・舞台は芸能界
・ヒロインは芸能事務所の社長
・ヒーローは所属タレント
【サンプルテキスト】
【背景リスト】
[都内/事務所/会議室/夕方]
[都内/事務所/廊下/夕方]
[郊外/撮影現場/夜]
【本文】
//チャプター1――――――――――
[都内/事務所/会議室/昼]
我が社の所属タレントであるレイジとミーティングを行うことになった。
議題は、以前レイジが出演した舞台の再演が決まったことについてだった。
■ヒロイン
「前の舞台映像を収めたDVDが届いているから、見てみない?
きっと、参考になるはずだよ」
■レイジ
「俺はもちろん見るけど、お前は大丈夫なのか?」
■ヒロイン
「大丈夫って、何が心配なの?」
■レイジ
「お前、また感動して泣いちまうんじゃねーか?」
レイジに指摘されて、初めて気づいた。
■ヒロイン
「あの日、私が泣いてたこと、ばれてたの?」
■レイジ
「アレでばれてないと思ってたのかよ。
稽古の時も、本番の時も、クライマックスにはいつも俯いてただろ」
■ヒロイン
(ううっ、ばっちり見られてたなんて不覚……!)
気恥ずかしさから、一気に顔が火照っていく。
■レイジ
「……けど、お前のそういうところに助かってるんだ」
■ヒロイン
「えっ……?」
■レイジ
「一番身近な人が、一番のファンでいてくれてるってことだろ?
自分の演技に自信が持てるのは、案外お前のおかげなのかもなってさ」
レイジが照れ臭そうに微笑む。
■レイジ
「お前が俺のいいところを引き出してくれてるってことなんだろうな……」
■ヒロイン
「ありがとう。芸能事務所の社長としては、最高の誉め言葉だよ」
(私、この仕事をやっていてよかった……)
ハードな毎日だけど、タレントを輝かせるためサポートをする仕事はやりがいがある。
■ヒロイン
「でも、今日は仕事目線でレイジの演技をチェックするからね。
ダメ出しもバンバンしちゃうから覚悟しなさい!」
■レイジ
「はあ……勘弁してくれ。
お前のダメ出しはキツイんだって」
//時間経過
[都内/事務所/廊下/夕方]
演技の分析が一段落した頃、私のスマートフォンに着信が入った。
売り出し中のタレントを担当するマネージャーからの電話だった。
■マネージャー
『今、撮影現場にいるんですが……困っているんです』
■ヒロイン
「何があったの?」
■マネージャー
『私が指定した衣装とは違うものが届いていまして……。
確か、社長が送ってくださるっていうお話でしたよね?』
■ヒロイン
「もちろん。だから、ちゃんと配送業者に引き渡したはずだけど……」
慌てて確認すると、本来送るべき段ボール箱が残っている。
背中に冷えた汗を感じた。
■ヒロイン
「ごめんなさい。ちゃんと中身を確認しないまま、送ってしまったみたいなの」
■スタッフ
『その衣装、今日の夜に撮影で使うんです。なんとか届けてもらえませんか?』
■ヒロイン
「うん、わかった。絶対に届けるから安心して。
私のミスで迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい」
(他のスタッフは出払っているし、私のミスなんだから自分でなんとかしなきゃ!)
■レイジ
「おい、何かあったのか?」
気がつくと、レイジが心配そうな表情でこちらを見ていた。
//選択肢
■01 ううん、なんでもないから演技の分析に集中して(+1)
■02 実は、現場にいるマネージャーから電話があって……
■01 ううん、なんでもないから演技の研究に集中して(+1)
■ヒロイン
「ううん、なんでもないから演技の分析に集中して。
稽古が始まったら、また忙しくなるんだから」
■レイジ
「なんでもないって顔には見えねーから聞いてんだよ。
社長だからって、全部1人で背負い込んで解決しようとすんな」
レイジの手が優しく私の肩を叩くと、泣きたい気持ちになった。
■ヒロイン
「聞いても呆れるだけだと思うけど、いいの……?」
■レイジ
「もちろん、いいに決まってるだろ」
■ヒロイン
「ありがとう、レイジ……」
■02 実は、現場にいるマネージャーから電話があって……
■ヒロイン
「実は、現場にいるマネージャーから電話があって……ちょっとトラブルが起きちゃったんだ」
■レイジ
「トラブル?」
//合流
事情を話すと、レイジは意外な反応をした。
■レイジ
「はははっ……」
■ヒロイン
「ちょっと、笑い事じゃないんだけど! 急いで届けないと、撮影に間に合わないんだから!」
■レイジ
「いや、笑って悪かった。バカみたいに真面目なお前にしては、珍しい失敗だと思ってさ」
■ヒロイン
「もう! 勝手に笑ってなさいよ」
(とにかく、急がなきゃ……)
車のキーを握り締めて、事務所を出ようとすると――
■レイジ
「おい、待てよ」
レイジが私の手を掴んで引き留めた。
■レイジ
「車で行くんだろ? だったら、俺が送っていく」
■ヒロイン
「えっ……? 車の運転なら、私もできるけど」
■レイジ
「慌てたヤツが運転すると、碌なことがないだろ。だから、ハンドルは俺に任せろよ」
■ヒロイン
「でも、レイジは……うちの所属タレントであって、スタッフじゃないし」
■レイジ
「ぐちゃぐちゃ言ってんじゃねーよ。俺は、お前のことを助けたいだけだ」
そう言って、レイジは段ボール箱を抱えて駐車場に向かって行ってしまった。
[郊外/撮影現場/夜]
レイジの運転はとても上手で、安心して身を任せることができた。
車内でレイジと話している間に、私は前向きな気持ちを徐々に取り戻していったのだった。
■レイジ
「撮影に間に合ってよかったな。お前も見るからにホッとしてるし……」
■ヒロイン
「うん。レイジのおかげだよ。
一人で届けに来てたら、きっと落ち込んだままだったと思う」
■レイジ
「そういうところ、お前は真面目過ぎなんだ。
普段から、もう少し肩の力を抜けよ。今のお前みたいに、素直な気持ちでいた方がずっといい」
■ヒロイン
「素直な気持ち……?」
■レイジ
「まあ、自然と泣いたり、笑ったり、怒ったりしてる■ヒロインは、割と悪くないってことだ」
■ヒロイン
「ああ、レイジの言ってたことってこういうことだったんだ……」
自分のいいところを引き出してくれるという、レイジの言葉。
それは、私とレイジの関係にも当てはまることだと気づいた。
■ヒロイン
(レイジは、私の素直な感情を引き出してくれる人なんだ……)
レイジが微笑むと、ドキンと胸が高鳴る。
まるで、初恋の時みたいに。
■ヒロイン
「あの……今日は、本当にありがとう」
■レイジ
「おう。気晴らしのドライブみたいなもんだから、気にすんな。
俺こそ、今日はお前と一緒にいられて――」
■ヒロイン
(えっ……! ちょ、ちょっと待って! まだ心の準備ができてないってば!)
■レイジ
「いや、なんでもねーよ。
けど、いつかはお前に伝えたい気持ちがあるんだ」
■ヒロイン
「レイジ……」
(私……さっきの言葉の続き、聞きたかったって思ってる……)
私はレイジのことを、特別な男性として意識し始めていた。
【プロフィール】
花見田ひかる(ハナミダヒカル)
2014年 シナリオライターとして活動開始。
ゲームのシナリオ・キャラ設定・プロット等の執筆を中心にお引き受けしてまいりました。
男性向け・女性向け・全年齢向け、いずれも執筆可能です。
大学では小説・脚本の創作手法を学んだため、ゲームのシナリオ以外でも幅広い物語作りのお手伝いが可能です。近年は小説やドラマCD脚本・音声作品の台本を書く機会も多くなっております。
また、別名義にて企業のプレスリリース、WEBメディアのコラム記事・インタビュー記事の執筆も行っているため、エンタメ系から真面目な文章まで対応できます。
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シナリオライターの花見田ひかるです。主に自作小説を綴ります。サポートしていただけると嬉しいです!