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雨宿りと雨傘の話

こんにちは。日本一のかご屋を目指す、かご専門店ORIKAGOのひかるです。

しばらく更新を怠っているうちに日本はすっかり梅雨ですね。毎日天気予報を確認しながら、折りたたみ傘の準備などしていると、ふとアフリカの雨を思い出します。

ORIKAGOの生産現場であるケニアのマチャコスという町は標高が高い山岳地帯にあります。季節も四季はなく「雨季」と「乾季」の二季のみ。大体3ヶ月ごとのスパンで季節が変わります。

気まぐれな山の天気と雨宿り

マチャコスの雨季は早朝や夜の間に強い雨が降ることが多く、日中はほとんど降らないのでとても過ごしやすいのが特徴です。

ただ、そこは変わりやすい山の天気。日中に時々スコールのような雨が急に降ることもあるので、油断できません。そしてそう言う時に限って、傘を持っていないことがほとんど。急いで近くのお店やキオスクに入って雨宿りします。

お店の人も慣れているのか何も言ってきません。むしろ、椅子を持ってきてくれることも。また、大抵同じような人が数人いるので、見知らぬ人たちと雨宿りすることも珍しくありません。

偶然同じ屋根の下に入ったからといって、特別何か話をするわけでもなく。キオスクのトタン屋根に落ちる雨音を聞きながら、ただみんなで黙って、のんびりと雨が過ぎていくのを待ちます。

このなんとも言えないのどかでのんびりとした時間が、私の中ではアフリカの時間そのものを象徴しているかもしれません。

雨傘を持つ意味とは

一方、日本では、腕時計を確認しながら分刻みで仕事をしている毎日。大事な商談もある中で、傘を忘れて雨宿りしていました~という理由で遅刻するわけにもいきません。天気予報はチェックしますし、折り畳み傘も長傘も必要に応じて準備します。

ケニア出張中、トタン屋根の音を聞きながら、ふと「どちらの方が幸せなのだろう?」と考えてしまったことがあります。

私の大好きなアーティスト、椎名林檎さんが書かれた「雨傘」という歌があるのですが、その歌詞も頭をよぎりました。歌詞を直接はご紹介できないのですが(気になる方はぜひ検索してみてください!TOKIOさんが歌われた曲です)私は勝手に次のように解釈しています。

運命の流れに乗ってただ立ちすくむのではなく、雨の匂いを感じて傘を準備するように、自分の能力で運命に立ち向かえ

日本にいると、時々、傘を忘れて見知らぬ誰かと静かに雨宿りする心の余裕が欲しくなる。

かたや、ケニアにいると、雨が降りそうな日は傘を備えて準備するような計画性が欲しいと思ってしまう。

結局、どちらが正しい・正しくない、どちらが幸せ・不幸せとも言い切れませんでした。

ゆとりと計画性の橋渡し

我ながら月並みな結論だな、と思いつつ、私がこうしてケニアと日本を行き来してかご専門店を営んでいるのもこうした考えが根本にあるからなのかもしれません。

日本や先進国で学んだ計画性や効率性をケニアの女性たちに伝えることで、彼女たちの武器を増やしたい。雨の日に、傘もブーツも全て携えて、他の人がのんびり雨宿りしている間を堂々と逆らって進んで欲しい。

その一方で、日本でストレスを抱え、気持ちにゆとりのないお客様に、愛らしい天然素材の手織りかごを届けて、もっとくつろげる時間を届けたい。雨の日に、傘を忘れても微笑みながら雨宿りする心の余裕を持って欲しい。

双方が必要としているものを届けることが、私がこの会社を続けている意味なのかもしれない、と思うケニアで雨宿りした日のお話でした。

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かご専門店ORIKAGO 代表 岡本ひかる
Twitter: @Hikaru_Amber
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ORIKAGOのHP:  https://www.orikago.com
運営会社アンバーアワーのHP:  https://www.amberhour.com

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