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#6 ビジョンドリブンで進める宇宙ビジネス創出

前回の記事はこちらから

永利(ながとし)です。「非宇宙の宇宙好き」というタグ付けは今回から外していこうと思います。

前回のnoteから早くも5か月空いてしまいました。なんとかして投稿頻度を上げていけるようにしたいと思っています。

5か月の間には、株式会社ALTILANの設立もあり、一企業の社員だったところから、経営者という立場になりました(今も社員ではあります)。これだけの大きな変化についてはもちろん、ALTILANの設立についてもしっかりと思いを綴っていきたいと考えているのですが、今回はちょっと違うテーマで最近の学びを整理します。

株式会社ALTILAN設立のプレスリリース

今回は、最近活動する中で、宇宙ビジネスを形作っていくうえで必要な考え方、ステップを議論することが多くあり、改めて自分のビジョンを当てはめて考えてみたときに、1つの整理ができたのでnoteでまとめることにしました。

新規事業アイデアの発想方法と、宇宙ビジネス

ずばり、宇宙ビジネスとビジョンドリブンがテーマです。新規事業とか新しいビジネスのアイデアを考えるうえで、「〇〇ドリブン」という発想のアプローチがいくつかあります。保有している経営資源や強みを起点に考える「アセットドリブン」や、市場や顧客が抱えている課題を起点とする「マーケットドリブン」などなど。

その中で、目指したい姿や世界観などを起点とする考え方が、いわゆる「ビジョンドリブン」の発想方法です。他には「バックキャスティング」とか「逆算思考」といった表現をされることもありますが、先に到達したいゴールを定義し、そこに向けてどのようなステップがあるのか、どのような進め方を取るのかを考えていくアプローチです。

宇宙ビジネスは一口に言ってもさまざまな事業が含まれる領域ですが、基本的にはビジョンドリブンの考え方との相性が良いと考えています。特に、宇宙旅行や探査・資源開発といった、市場がこれからできていくであろう領域においては必然的にビジョンドリブンの考え方を取っていくことになります。

宇宙ビジネスの定義(一般社団法人SPACETIDEの定義を引用)

まだ市場がなく、プレーヤーもほとんどいない中で、どのようなビジネスを作っていくのか、それはいわば妄想からスタートすることになります。こんなことができたら良い、こんな時代になってほしい、など、理想の世界を描き、広げていくことで徐々に形になっていきます。

これ自体は新しい気づきでもなんでもないと思いますが、宇宙ビジネスに取り組むうえでは、旅行や探査に限らず、どんな領域であってもビジョンドリブンで整理していくのが良いのではと、議論の結果として思い至ったというのが今回の重要な部分でした。

ビジョンドリブンによる宇宙ビジネスの考え方

ビジョンドリブンによる宇宙ビジネスの考え方(全体像)

上の図が、私の考える、ビジョンドリブンによる宇宙ビジネスの考え方です。株式会社ALTILANでは、

人類が太陽系内を自在に移動し、星を単位とする生き方が当たり前になっている世界

 株式会社ALTILAN(https://altilan.co.jp/aboutus

というビジョンを掲げています。これは、図中ではWhatにあたる部分なのですが、なぜこのビジョンになったかというと、ALTILANを創業したメンバーはいずれも、宇宙に行きたいという思いを持っているからです。それも地球近傍や月、火星ではなく、もっと先の宇宙(「深宇宙」と呼ばれる領域です)に行きたいと思っています。

特に私は土星の衛星「タイタン」に行きたいという思いがあり、どうしても死ぬまでには達成したいと考えています(少なくとも今は本気で考えています)。そして、その目標を実現するということ、誰もが宇宙に当たり前にいける世界になっている必要があります。

宇宙飛行士になる、というのも1つの選択肢ではありますが、現時点では宇宙飛行士は自分で行く先を選ぶというよりは、ISS、そして月や火星を目指すことになります。将来的に幅が広がる可能性はあっても、自由に決められるわけではないと思っています。自分たちが行きたいと思った星に自由に行けるようになることが、ALTILANの創業メンバーにとっては必要なのです。

そして、その世界をつくっていくには、今はまだない宇宙船をつくっていくことが必要になります。誰もが行きたい星に自由に行くということは、操縦が簡単で、スピードが早く、小回りのきく宇宙船が必要だと考えているからです。大勢の人を一度に地球からどこかの星に運ぶ、というのとはまた考え方が異なります。

また、自分たちが宇宙船や宇宙機器を開発するだけでは、思い描く世界の実現には不十分です。自分たちが技術を獲得・開発しなければいけないのはもちろんですが、誰もが宇宙に行けるようになるには、機器開発以外の領域のプレーヤーも多く入ってきていただくことが必要になります。

そのため、今は宇宙ビジネスに直接関与されていないプレーヤーの方々が宇宙領域に参入できるようにし、自社の宇宙機器開発を推進していくことが求められるため、それを事業にしていこうというのがALTILANの考え方です。

そして、これこそが図に示したビジョンドリブンによる宇宙ビジネスの考え方の1つです。今回の場合は、

  1. 【Why】どうしてもタイタンやその先の星に行きたい

  2. 【What】そのためには、誰もが当たり前に宇宙に行ける世界が必要

  3. 【How】その世界をつくるためには、事業参入支援や技術実証支援と、宇宙船の開発が必要=ALTILANが推進・注力する事業

といった整理になります。あくまで、WhyあってこそのWhatでありHowです。

これは何も、我々のような探査・資源開発の領域に含まれるようなビジネスだけで使える考え方ではありません。宇宙ビジネスをテーマに何かやりたいと思ったとき、いきなり事業から考えようとすると、おそらくは他が取り組んでいる事業に類似してしまうか、取り組む理由があいまいになってしまうのではと考えています。

こと宇宙の領域で何かやりたいと思う方は、人生のどこかのタイミングで、少なからず宇宙にワクワクしたり、憧れたりしたことがあると思っています(どんなに小さなことであったとしても)。そういった、いわゆる「原体験」を紐解き、自分はこれが実現したい、達成したいと思える目標を探ってみることが第一歩ではないでしょうか。

スペースシャトルのニュースを鮮烈に覚えているとか、宇宙飛行士の言葉が印象に残っているとか、はたまたスターウォーズやガンダムの世界観が好きだったとか、そういったところから何ができたら良いんだろうと思いを巡らせていくことが大事だと思っています。

そうして見えてくる「思い」を起点に、そのために必要な世界はどのような世界なのか?その世界をつくるためにはどんな取り組みが必要なのか、誰に何を提供していくべきなのかを考え、事業に落とし込んでいくという流れでまとめていくのが良いと考えています。

ここまで読んでくださった方へ

今回は、宇宙ビジネスはどのように考えていくのか、形作っていくのか、最近議論した中で生まれた考えをまとめてみました。ここまでお読みいただきありがとうございました。

文中、何度も名前を出させていただきましたが、現在私は株式会社ALTILANという会社を設立し、宇宙ビジネスの創出に挑戦しております。

どんなことでも構いませんので、何かご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお声がけいただけますと大変幸いです。引き続き、noteを含めて発信していきますので、これからもよろしくお願いいたします。

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