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下肢の皮神経の解剖学を臨床へ活かす

リハ塾の松井です!

今日は下肢の各皮神経と解剖学のまとめ記事です。

皮神経は軽視されがちかもしれませんが、臨床的には皮神経に着目することで痺れや痛みが軽減することもあります。

今日は下肢における6つの皮神経の解剖学をもとに、「あ、ここを走行してるからそこに痛みが出るのか」というような悩みの解決をしてもらえたら良いなと思います。

今日紹介するのは以下の5つの皮神経です。

・大腿神経の前皮神経
・後大腿皮神経
・外側大腿皮神経
・内側腓腹皮神経
・外側腓腹皮神経
・伏在神経


大腿神経の前皮神経

大腿神経から分岐で中間枝と内側枝に分岐。

中間枝→縫工筋上を横切り、大腿前面・膝へ皮枝を出す
内側枝→縫工筋に沿って走行、大腿遠位1/3の筋膜を貫通し、大腿内側へ皮枝を出す

中間枝と内側枝には縫工筋と大腿直筋が分かれる辺りよりやや上で分岐します。

なので、中間枝は股関節、内側枝は膝関節からの影響を受けやすいと考えられます。
特に内側枝は大腿遠位1/3の筋膜を貫通し、大腿内側へ枝を出しているので、TKA術でメジャーな内側から切開する方法では影響を受ける可能性が大きいです。

他にも、膝のサポーターなんかでも締め付けがきつすぎると内側枝由来の症状は起こる可能性がありますね。


後大腿皮神経

坐骨神経の内側を並んで下降して走行し、大腿二頭筋長頭上を同じ走行で下降します。
大腿後面、殿部、肛門周囲へ枝を出し、感覚を支配しています。

臨床的には、坐骨神経が絞扼されるのと同様に梨状筋や他外旋筋群で圧迫を受ける可能性がありますし、長時間の座位や下衣の締め付けが強いことでも症状を起こす可能性があります。

坐骨神経も似たような走行で下降して行きますが、こちらは大腿二頭筋長頭の下を走行します。
なので、坐骨神経のこの領域での絞扼は大腿二頭筋の緊張を緩める介入が必要ですが、後大腿皮神経はより表面の皮膚や筋膜への介入が必要です。

例えば、ストレッチポールやボールなどを使って大腿後面で転がすとかが有効ですね。


外側大腿皮神経

大腰筋の外側から下降し、腸骨筋を下内側方向へ走行し、ASISの内側で鼠径靭帯の下を通り、縫工筋の外側から表面に出てきます。

前枝→大腿前外側
後枝→大腿後外側

これらをそれぞれ支配しています。

ASISから鼠径靭帯に沿って内側へ7cm、ASISから遠位へ12cmの領域で多くは皮枝が表層へ出てきます。

前枝と後枝に分岐するのもこの領域の中で、より近位の縫工筋と大腿筋膜張筋間から表層へ出て分岐します。

ズボンなどによるこの領域の締め付け、あるいは股関節や膝関節の手術によるこの領域の侵襲で外側大腿皮神経領域に痛みを起こす可能性があります。

THAの前方侵襲では大腿筋膜張筋と中殿筋間から侵襲するので、すぐ近くに位置するこの皮枝も影響を受けやすいでしょう。


内側腓腹皮神経・外側腓腹皮神経

内側腓腹皮神経は脛骨神経由来、外側腓腹皮神経は総腓骨神経由来でそれぞれ膝窩で分岐して下降していきます。

内側腓腹皮神経は腓腹筋内側頭と外側頭の間辺りを走行、外側腓腹皮神経は腓腹筋中腹辺りで外側から内側へ走行し、両者は合流して腓腹神経になります。

その後、外果へ向かって走行し、外果の後方から小趾へ向かいます。

これも膝のサポーターなど強い締め付けで圧迫されることで症状を起こす可能性があります。
あとは、膝の術後、膝の手術は前方からするので直接的に影響は受けないかもしれませんが、二次的に炎症などの影響を受ける可能性はあります。

遠位ではアキレス腱断裂によって、炎症や血腫による影響を受ける可能性があります。


伏在神経

伏在神経は大腿神経から分岐し、大内転筋と内側広筋の間にある広筋内転筋板(Hunter菅)と呼ばれる部分を通過し、縫工筋の後方を走行しています。

膝蓋骨内下方の領域に皮枝を出しています。

縫工筋の後方から膝蓋骨へ向かうので、走行としては内側から外側へ向かいます。

膝の内側の領域はTKAなど膝の手術で侵襲されることが多い部位なので、手術による影響はかなり受けやすいです。

膝の痛みの訴えとしても、内側の痛みを訴える場合は多いですが、それが伏在神経由来なのか、あるいは膝蓋大腿関節のインピンジメントや内側部の筋スパズムなど、鑑別する必要はあります。


まとめ

本記事では6つの皮神経についてまとめました。

皮神経は表層に近い部分を走行しますので、どちらかと言うと外部からの影響を受けやすいとも言えます。

表層の軽いマッサージなどで痛みや痺れが軽減するのなら、皮神経による症状を考えることも必要ですね。


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