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何となくカフエクササイズやっていませんか?

リハ塾の松井です!

腱板断裂や上腕骨骨折などの肩関節疾患に対してどんなリハビリテーションを展開しますか?

肩関節への運動療法としてはカフエクササイズがメジャーですが、ただ形だけ真似ても実はあまり効果的ではありません。

結局、カフが使えないからカフエクササイズをするのであって、使えなくなった原因を評価して介入いないといけません。

今日は肩関節における問題点と3つのポイントに絞ってお伝えします。


多いのは上位交差症候群と呼ばれる下記のアライメント。

・上位頚椎伸展
・下位頚椎屈曲
・胸椎後弯
・肩甲骨挙上、外転、上方回旋、前傾
・肩甲上腕関節内旋

これを筋肉に置き換えると以下のようになります。

<緊張している筋肉>
・後頭下筋群
・大胸筋
・小胸筋
・三角筋前部繊維
・広背筋
・肩甲下筋
・大円筋
・前鋸筋
・僧帽筋上部繊維
・肩甲挙筋
・腹直筋

<弱化している筋肉>
・頚長筋
・三角筋後部繊維
・棘下筋
・小円筋
・菱形筋群
・僧帽筋下部繊維
・脊柱起立筋

大胸筋、広背筋、肩甲下筋、大円筋によって、肩関節の屈曲・外転・外旋が制限。
小胸筋、前鋸筋、肩甲挙筋、僧帽筋上部繊維によって、肩甲骨の下制、後傾、内転、下方回旋が制限。

これに加えて、胸椎の後弯によって肩甲骨が挙上、前傾、外転、上方回旋位で固定されてしまうため、上腕骨の動きに対して肩甲骨の向きを変えることが難しくなります。

その結果、肩甲上腕リズムにエラーが起こり、肩甲上腕関節でのインピンジメントが起こりやすくなります。

若手の頃はとりあえず肩関節のROMex、ストレッチしか選択肢がなくひたすらやってましたが、可動域も筋力も変わらないし、肩甲上腕リズムも全然良くならなかったのを覚えています。

これを問題を解決するには、大胸筋のストレッチなど肩甲上腕関節だけの視点では改善しない場合がほとんどで、胸椎→肩甲骨→上腕骨、場合によっては下肢や骨盤からの運動連鎖がスムーズに起こるようにマルアライメントを修正する必要があります。

ポイントは以下の3つ。

・スパイラルラインの機能化(前鋸筋-外腹斜筋-内腹斜筋-大腿筋膜張筋)
・胸椎の可動域制限
・脊柱の機能化(インナーマッスルの機能化)

今回はスパイラルラインの機能化を中心に解説しますね。

前鋸筋はスパイラルラインという機能的な筋連結によって、外腹斜筋から反対側の内腹斜筋、股関節へと繋がっています。

さらに、そのラインとは別に腹斜筋群は腹横筋、横隔膜、大腰筋というふうに表層から深層への繋がりも持っています。

前鋸筋を機能的に使えることで、それらの繋がりを活かすことができ、体幹や下肢を安定した状態で肩関節運動をすることができます。

また、前鋸筋と棘下筋、小円筋を協調して働かせることで、水平面上で肩甲骨内側が外側へ移動するような動きが起こります。
肩甲骨内側が浮き上がるような形です。

この状態を作れることで、上腕骨頭を水平面でも捉えることができ、3Dで骨頭の動きを捉えることができます。

これによって、骨頭が臼蓋から逸脱しないように動きに合わせて追うことができます。

つまり、胸椎、胸郭のアライメントを整え、肩甲骨の位置を戻した上で、前鋸筋を機能的に働かせることが重要ということ。

簡単にできる運動療法として、ピラティスでいうキャット&カウがあります。
ググったらすぐ出てくるはずです。

床を手で押すことで前鋸筋を働かせ、脊柱を屈曲させることで腹斜筋群を肩や股関節の位置を保ちつつ行うことで腹横筋や骨盤底筋といった体幹筋群の安定性も求められます。

一見簡単な動きですが、肩にとって良い要素がいくつも組み込まれていますので、個人的にかなりおすすめの運動療法です。

カフエクササイズをするなら、肩甲骨や胸椎のアライメント、動きが適切化されてからする方が効果を最大限に発揮できるので、そのほうが良いかと思ってます。

運動療法を指導する際は短絡的にやらず、目的と意味を考えてからやってみてくださいね!


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