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初夏のシネマタイムズ 5連打

あんまり見てないけど…備忘録で!
ネタバレありでやんす。
・ロックストック&トゥースモーキングバレルズ
・竜とそばかすの姫
・インザハイツ
・花束みたいな恋をした
・アメリカンユートピア です!

LOCK, STOCK AND TWO SMOKING BARRLES

家でサブスク配信で。
このあいだ公開されていた『ジェントルメン』見れていなくて、いうてもガイ・リッチー作品てちゃんと映画館で見た記憶あるのはロバートダウニーJr.のホームズシリーズくらいだけど、英国を描くノリは初期からずっと一貫されていたんだなと納得感があった。
英語の訛りも音楽もファッションもすごい下町ロンドン。これはあこがれる男の子いるだろうなあ。

終始、現代で見慣れた映画らしくない映像のつなげ方というか…特に前半は共感や起承転結を分かりやすくして観客をのめり込ませようという気があまり見られない、数分間のこじゃれたクリップのモンタージュみたいな感じだった。
伊坂さんの『ラッシュライフ』とまでは言わないけど、『パルプフィクション』的な、複数ストーリーラインがだんだん集結していく感じの、もっと空気が薄い感じの印象。後半はいつの間にかけっこう緊迫した感じになっていて、手に汗握る場面あるんだけど、結局いちばん肩入れできる主人公たちが「なんか知らんけどラッキー」的な感じで彼らの知らないところで終わってるから肩透かし感があるというか、「ほーん(ニヤニヤ)」て感じの観後感でかっこよかった。


竜とそばかすの姫

映画館にて。
え~もう中村佳穂さん万歳!っていう映画だった。とくにKing Gnuさん提供のU、マジかっこいい。
それから素敵な素敵なイケガミヨリユキさんにAsのキャラデザ依頼するのもナイスだし、そもそもベルがアナ雪のキャラデザした人なのも可愛いし、キャスティングも結構よかったなあ。
スタジオ地図って少数精鋭で全部ハウスメイドだから3年に1本しか作品作れなくてすごいところだなと思ってたけど、外の力の借り方、とてもいいんじゃない?

細田監督のフェチズムアゲイン(毎回そう)だし、令和の感覚で減点法鑑賞するといろいろ見過ごせない部分がある気もするけど、総じてすごいエネルギーがつぎ込まれているのをスクリーンで感じられてよかったな~。
サマウォのオズの世界と似ているかもだけど、画面の中じゃなくて感覚共有になってるとか、見比べたら結構リアルにアップデートされていて、映画がヒットすれば上の世代にアバターとかを説明するときに使いやすいかもと思ったり笑。

虐待してるパパがきっとAsで正義のヒーローやってた人なんだろうと踏んでいたら全然見当違いでちょっと悔しかったです。
すずちゃんの実生活の自我とベルとしてのアイデンティティの関係をもうちょっと丁寧に描いてくれたら、竜の兄弟を救おうとした時の葛藤が利いてきたんじゃないかなあ。

ルカちゃん可愛いな~。やっぱ黒髪前髪ゆるロングの女の子最近めっちゃ好きだ。かみこちゃんとか。あと誰だっけ。見るたびに思っている。
でも私は髪を伸ばす理由が先延ばしになったからいい加減自分のはちょっと軽くしたいなあ。


In the Heights

映画館にて。
いや~文句なしのすばらしミュージカル映画!👏
ドラマがあり今があり表象があり愛がありもう一度見たくなる!

すごく具体的なカルチャーとコミュニティの表象作品だから、自分事としてどこまで応援できるのかちょびっとだけ不安があったけど、スポットライトがあたる一人ひとりの物語がそれぞれに血が通っていて、後半には自然と引き込まれていた。

ポジティブで力のある楽曲、ロマンチックなラブソング(いちばん好きだったかも)、死のあり方を考えさせるナンバー。もちろん沢山のパンチラインと熱いダンス。リンの才能大爆発でした。
最後自分だからこそできるいいとこどりしてて笑っちゃったね。あとハミルトンいじりも面白かった笑。

舞台作品の方を残念ながらまだ見れていないのだけど、たぶん映画だからこそできる表現にも挑戦していたような。
ミュージカル映画のパロディっぽいシーンもいくつかあってニヤりとできたし、いろんな方向から撮影することでスペクタクル的なダイナミックさが生まれていてすごい良かった。

不法移民の男の子が裁判をすると決めるまでのあの沈黙、自分のなかで「正しい道」と「楽な道」を天秤にかけているであろう時間が永遠のように長く感じられて、すごい血管がきゅっとなった。
アメリカに移住するいろいろな国籍の人たち、世界市民という概念、単一民族の島国国民としては身近なものではないけれど、視野を広げて勉強できるコンテンツがたくさんあるだろうから見続けないとな。

中1の時の英語の夏の課題でなぜか「不法移民として南米からリオグランデを渡って北米で人生再起をかけるとしたら、以下の予算の中でなにを買って用意していくか」という計画を立てて移住計画を練るというのがあって、正直その時は人生ゲームくらいにしか思えず、まあその時なりに真剣に考えたんだけど…渡る最中に必要なもの、検問を潜り抜けるもの、着いてから働くために必要なもの、果たしてどれにお金をかけるのか?否応なしに考えさせるあの課題は今思うとけっこう良い宿題だったのかもしれないな。


花束のような恋をした

配信で。
サブカル女は共感性羞恥で死ぬから気を付けた方が良いとさんざん言われていた作品だけど、妙に早く見ておきたくなって。坂元裕二だし。
わざわざこのためにU-NEXTの無料会員になって観たわよ。

結論、ぜんぜんアイタタタタ現象は起きなかった。そりゃそうだわ。サブカルカップルって憧れてたけど結局そういう恋愛できずに結婚してしまったので。あ~やっぱりこうなるから後悔してないや~という感じだった笑。
あと明治大学(たぶん)だし就活失敗してるし(菅田将暉と有村架純って『何者』でも就活してたよな)、2人の家庭環境も身近ではなかったし、なんかその辺もあんまりリアルに感じないというか。
なので普通に楽しめた!むしろ早く見て良かった。こういう固有名詞で殴るタイプの作品はやっぱり時代としての賞味期限がどうしてもあると思うしね。出てくる漫画とかお笑い芸人とか映画監督とかがどうしても。

具体的な言及をとりあえず:
・みんな菅田将暉と有村架純をファミレスの固定席に執着させたがりすぎでは(先にドラマ『コントが始まる』を見た人)
・有村架純の役のその後の人生が気になる。イベントが仕事なので「イベント業は仕事じゃなくてほぼ遊び」みたいな描かれ方でちょっと凹んだ
・ドライヤーをかけてもらうという行為にすごい愛情を感じるので、雨に濡れた髪を乾かしてくれたことにときめく気持ち、すごい分かった

そして私がいちばん感じたのは、「別れずに結婚すりゃあ良かったじゃん」ということだったなー。そして考えていくとこれは究極「付き合わずに一生友達でいればよかったじゃん」ということにもなった。とにかく、恋愛のせいであんなにときめいていた2人の人間が一緒にいられなくなったことがめちゃくちゃ悲しかったです。

大事な人であり続けるには、カルチャーじゃなくて生活とハートが要だと思う。入り口はカルチャー上等だけど、カルチャーだけじゃ逃げ切れない。2人がお互いを「話が通じる!」と喜んだのは陳腐でもなんでもなくて運命ってことで良いと思う。ただ作品に生き方のヒントを見出していた2人にとってちょっと辛かったのは、そもそも世の中の作品って、カップルの生活の中弛みとか、始まりと終わり以外のところってあんまり描かれないことだよね。だから2人もそれまでなぞることが出来ていた「理想のサブカルカップル」の歩みが実際の生活力のところでつまずいちゃったのかも。映画としてはそういう感じで2人の夢は覚めたのでした、チャンチャンという感じだったけど、私はそこから続いても良いじゃないかと思った。

たぶん有村架純の役が私個人よりも恋愛体質であったことがこのもやもやを生んだね。代理店共働き都会育ちの分の夢見がち設定もあったし、ちょっとだけ頭が聡くないのかな的な場面も手伝っているかもだけど…あんなに読書家とは思えないほど…
いい加減、「趣味が合う恋人とのエモい時間を保有している」というところだけで自己肯定感上げるフェーズからは卒業するべきだったのに、自分の主人公ストーリーとしては耐えられかなったのかあ。
でも、心が離れた瞬間については、正直分からなくもない。先輩のお葬式の場面で、自分だけ知ってしまったその人のDV気質のこと、それを庇うような男友達への憎悪、そしてそれを知らない菅田将暉がものすごく先輩を悼む姿、そこでの直感的な「冷め」がわりと決定的な綻びだったのかもというところには共感した。たださあ、そこでとっつかまえて話し合っても良かったんじゃないか?理想でなくなっていく様を直視せずいい子ぶって無理になって別れるというのはあまりに安直なのではないか??

菅田将暉の役はちゃんと現実を見つめて「一緒にいたい」を着地させようと、とにかく頑張ってた。映画見ても本を読んでも心が動かなくなり、パズドラしかできなくなるほどに(あそこ一番つらかった)。
「この人と一緒にいたい」というロマンのために生活でリアリストになれた麦くん、めちゃくちゃ偉いと思うし、「イラストの仕事やめちゃったんだ」という彼女のがっかり感はあくまで自分のためな気がしてならないんだよなあ。
そこの部分を思うと、菅田将暉の役に一票。
あの2人、もう、十分生活を一緒にやっていくための時間の積み重ねがあったと思うんだよ。やっぱり素敵だと思うものが一緒であるという事実は紛れもなく尊い。それがマニアック気取りのにわか乙でも足並みがそろってるならぜんぜんハッピーだと思う。それをなんか内実が伴わない空虚で持続性のない恋愛関係みたいにダサく言うのは良くないと思う!(謎の怒り)

ファミレスの有村架純の涙の演技は息が止まるほど素晴らしいものだったな。泣きたくないのに鼻孔が思わず反応してしまったあの表情…!白いコンバースの新しい2人組を見て、自分たちの凡庸さに気が付き、そしてその先にはゴールはなかった虚しさを想っていたのがすごく伝わった。
again、でもこんなに仲良しなのに…ともやもやする私。
わざわざ男女としてくっつこうとするからいけないのでは?一生仲良し友達として同棲していればよいのでは?(暴論)という感じになってしまった。絹ちゃん、そんなに恋愛体質なんだったらもう同姓として出会ったらよかったね!という感じ。
先述の有村架純の役の性質からしたら、もう麦君にそういう特典がないのならば、自分のカルチャー話を素直にぐんぐん吸収してくれる無印良品みたいな優しい男の方に軍配アリだったんだろうけど…あんなに若いころの選択を共にした人生の友と、恋愛が終わったからという理由で絶好状態にならなくちゃいけないのはやっぱりもったいないと思った。これが先回りするとたぶん、「まめ男」のかごめちゃん状態。坂元裕二、この問題すごいキーンなんだろうな。もっと描いてくれ。そして正解をくれ!

とにかく演技がうまかったし私にとっていい具合にフィクションでおもしろかった!
やっぱり人間はまずヒューマニティ、人間性。それがいちばん大事。趣味が合うか合わないかは重要ではない。ただ、趣味も合うなら大優勝。一生大事に付き合おうねってことですよ。

花束みたいな恋、なんだったんだろうなあ。
好みを押し付ける側面もあって、飾っておいたら枯れたってことかしら(悲しい)。こういうのは解釈よりも素敵っぽいことが得てして大事よね。


アメリカン・ユートピア

元トーキング・ヘッズのデビッド・バーニーのショー型コンサートを劇場上映で。めちゃくちゃカッコよかった…!
好きな演出家さんが仕事場でたまたま音楽監督さんに「あれはカッコよかったから絶対見た方が良い」と言っていたのを盗み聞きして、そして友達からも誘われて初めて観に行った感じ。周りに感謝。

シンプルに言えば、すべての楽器がワイヤレスであることによって、ステージ上がひとつのコンテンポラリーな演劇空間と化すという仕掛け。
全員がワントーンの仕立ての良いグレーのスーツで、ダンサー2人とともに裸足の十数人が踊り回り、照明などと相まって毎度物語が想起される。

☟伝わるか?

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全然前情報なしだったので、冒頭でデビッドが脳の模型を持ちながら「♪脳のこの部分は~」という説明の歌を始めたときは、「えなに?前衛ミュージカル?あれバンドじゃないのこのおじさん??」という感じだっし、すごく新鮮だった。
ミュージカル作品じゃないので、1曲1曲が繋がっているわけではないのだけれど、でもライブはライブのMCの美学があるじゃない?落語の枕みたいな。いきなり始めるときもあれば思い出話から綺麗につながるのもあるし、唐突にセンセーショナルな宣言だけで始まるものもある的なね!
それでいうと彼の曲はすべて、なんだろう‥身近な物語に見える歌詞だけれどももっと大きな政治批判になっているとか、大きく訴えるようなメッセージがあるような曲が多い。もちろん解釈は人次第だけど、しかけとしては子供向けの絵本…いやでもちょっとクリーピーだから星新一的な距離感かな?的を射た表現をするのが難しいけど、そういう読み解く愉快さもあって、そこにすごく特徴的なダンスの表現も加わって、終始魅了された。

☟いちばん好きだった飛行機っぽい振り付け笑。おじちゃんの知的ながらもチャーミングな可愛さが際立っている。

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は~まるで一晩ニューヨークに行った気分。やっぱりショーっていいなあ。
もちろんストレートプレイもミュージカルも大好きだけど、もっとカタがなくてとにかくメッセージ×パフォーマンスという点に絞って振り切ったステージ、すごくパワフルで訴える力があると思う。
アーティスト本人の自叙伝としての側面があるのも良いよね。ノンフィクションベースというか。前にNYで見たモーリスハインズのタップのショーも本当によかったなあ。あんな感じ。
ルールもないしストーリーもないから、はじめに設えた設定でどこまでも観客を引っ張っていける。日本でこういうのどうやったら観られるのか分からないけど…意外とジェンヌさんのディナーショーとかだったりするのかしら笑。

すごいカッコよかったし、これにインスパイアされてこれからライブやコンサートというものがもっと進化したらすごく面白いだろうなと期待大!

以上です~~

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