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第二回映画観賞文「正欲」

第一回映画観賞文「ソナチネ」というのを2年以上前にやってるんですが、まさかの第二回の爆誕です。といっても前回とはまたちょっと違うテイストで思いつくように若干スピリチュアル多めにお届けします。

「あ、これ自分のことを見て作ったな?」と錯覚するような作品って誰しもあると思う。僕にとっては今のところ二作品。「流星ワゴン」と、そう「正欲」なのだ。
「流星ワゴン」を「第三回〜」と題してやるかはおいておいて、「流星ワゴン」と「正欲」の共通点は舞台が福山市ということ。「クセが凄い身の上話」と書いているから白状するが、今僕が住んでいるのは福山市なのである。そんなことかよって思われるだろうがこれは本当に偶然で、「流星ワゴン」では家庭環境を、「正欲」ではまさしく性欲についてドンピシャに刺さっているのである。別に他の都市が舞台でも僕はこの作品を取り上げただろうし、福山市だからこそ尚更に神様が僕を見ているように思えてならないのである。
ここまで書いておいてだが、「事実は小説よりも奇なり」なんてことはなくて、あくまでこれらの物語は僕のハリウッドザコシショウ版だと捉えてくれたらいいなと感じている。そして、両方とも映像版でしか知らないというのも留意していただきたい。「流星ワゴン」のことからやり出すとキリから今日はとりあえず「正欲」についてやってみよう。

実質的な主役は新垣結衣さんと言っていいだろう。もはや日本を代表する正統派女優である。なかなか本編にだどりつかなくて本当悪いんだが、せっかくだから僕が長年思っている新垣結衣問題も触れておきたい。新垣結衣さんってときたまこういう難しい役をやる。今作については適任だったと思う。美人だが色気を感じさせない代表者。リベラルの化身のような。リーガルハイも逃げ恥もこういう特長だから大ヒットしたような面もあると思う。もはや新垣結衣さんのライバルは吉永小百合さんぐらいなもんで、逆にいえば、もう一生かわいいだけの役でいいんじゃないかとも考えてしまうのだ。今作に限っていえば、美人のように描写することはないし、「普通」の人からすると非常に不安定な人間なのだが、清潔感があるからエグくは見えないという一定程度の大衆性を持たすことに成功していた。が、そう感じるのも「普通」の感覚があるからなのかもしれない。

やっと本題。世の中には「男は男らしく女は女らしく」と考えてる人が未だに沢山いるわけで、「LGBTを理解しよう!」という人もいる。彼らはそもそも人間に興奮しないのだからそこからも漏れた人たち。僕もある種そこに属しているから、その第三世界に焦点を当てた作品が今のうちに現れたことはかなりの救いになったんじゃないかと。原作の朝井リョウさんはなんかいつも人間の嫌なとこをついてくるから僕としてはいつも有難いなと思う。
「誰もが取り残されない社会へ」みたいなスローガンが流行ってる昨今だけども、あの映画の中においては一番マジョリティであるはずの稲垣吾郎さんが一番孤立したラストを迎えるのである。一方で磯村さんは最終的に犯罪を疑われているんだけども精神的には充実しているのだ。結局のところ、幸福とは、社会的な立場には影響されないで自分を主軸にした絶対的な評価が出来るかどうかにかかっているのだ。
桐生(新垣さん)は佐々木(磯村さん)と性的嗜好が同じだから生き延びれた人で、SEXをしないってだけで、普通に佐々木が好きって言っていい状態と思うんだけどどうなんでしょう?僕はどうなるんでしょうね?個人的には同じ性的嗜好の人が現れなくても構わないんです。「『分かり合えない』ということを分かり合える『分かり合えない』人」でも現れてくれたら世の中と「擬態」できるはずでしょう。

男女が平等になることもなければ人種が差別されない世の中でもないのだ。この絶望を感じてるなら性的嗜好はマジョリティの方でも観ていただきたい一本でした。

※福山市在住なので、桐生さんいきつけの寿司屋さんに行ってみました。

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