電車の中で
電車の中で、自閉傾向があるのかな?と思われる人が乗ってきた。
声を上げながら、シートの隅っこに座っている人を立たせてそこに座ろうとする。
立たされそうになったおばさんは、ものすごい嫌悪感を含んだような表情で睨みつけ、首を横に振る。
確かに突然そうされたらそんな反応になるだろう。
次の人も、次の人も。
その人は、空いた席に一度腰掛けたけど、落ち着かない様子。
私の隣は空いていた。「いつでもきて良いよ」と、そんな気持ちが全身から出てくれと思いながら、じっと待っていた。
車内の空気は凍りつき、顔を見合わせる人たち。彼と目を合わせないように過ごしている。そして、彼だけが場所を探していた。
しばらくすると、彼は私の隣に来た。
ずっと何か喋っているけど、なんとなく落ち着きは取り戻した様子。
私は気持ち、彼の方に体を向けていた。私は味方だし、他の人たちにも彼は別に何もしないことを伝えたかった。
彼は、電車が空気を切る音が大きくなる瞬間に大声が出た以外は、何もない。
4駅ほど乗って、降りて行った。
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