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傷あと や 古傷 〜痛み や 皮膚の引きつり や シワ〜 中編

よしながです。

今日は、前回の続きのお話です。

目次
①皮膚は伸びる そして 滑る(前回)
②手術後や怪我の傷口は、皮膚や筋膜などの 伸び具合 や 滑り具合 を低下させる(前回)
③皮膚の 伸び具合 や 滑り具合 は 自然回復が 難しい(今回)
④傷 の影響は、後々の痛みにつながる(今回)
⑤皮膚へのアプローチ&マッサージ方法(次回)
(*ここでは 創部ソウブを、わかりやすく傷口と表現します)

です。
前回の記事はこちら

では、早速、

③皮膚の伸び具合と滑り具合は、自然回復が難しい


ん?ん?
傷口って、勝手に良くなるよね。人間には、その力が備わっているよね?
と思いますよね。
そうです。(人間の持つ治癒力はスバラシイ)
実際に、傷口は蓋がされ回復します。(化膿するなどのトラブルがなければ)

ただ、傷口が治ることと、受傷前に比べ  同じように
傷口部分が伸びて滑ることは、また別の話
になります。

皮膚の伸張性や滑走性は、関節がどれぐらいの範囲を動くか(関節可動域) に関わるため、
身体がスムースに動くようになるために、回復させることは重要です。

ただ、関節の動く範囲が改善されたからと言って、
皮膚の伸張性が改善しているかと言われると、そうとは言い切れません

というのも、

人工膝関節の手術後に、皮膚の伸張性と皮下組織との滑走性を調べた研究結果から、(この人工膝関節の手術では、膝関節の前を15cm程度皮膚を切開して行われた)
膝の関節の動く範囲が 回復した1年後でも、
手術の皮膚切開 部分、傷口部分の皮膚の伸張性が回復していなかった

という報告があります。

日常生活の中で ダイナミックに動く機会が多い 膝関節でさえ
(一般的な洋式の生活で、膝は120度程度 曲がるよ)
傷口部分の皮膚の伸張性や滑走性は、残念ながら 勝手には 良くならない
ということが言えます。

洋式の生活ではここまで曲がる機会は多くないですね

これが、開腹手術や、開胸手術 の場合に、
普段、動すことの少ない お腹 胸の部分 が 切開されることとなり、
皮膚 や 筋肉などの 伸張性や滑走性が自然に回復する のは より難しくなります。


「切ったところが戻らなくても、
 膝の曲がる角度が戻ったなら 良いんじゃないの??」

という疑問もありそうです。

関節の動く範囲が、手術前に比べて 同じ角度になった ということは、
手術で切った部分 や 傷口部分 以外の皮膚
余分に伸びる、もしくは 余分に滑るようになっているということです。

このことで、問題となるのは
皮膚と皮下組織の動きの変化から運動の軌跡の変わり、
(*人工膝の場合には、挿入する人工関節の影響でそもそも軌跡は変わります)
痛みが発生する可能性 があります。

④傷口の影響は、後々の痛みにつながる


運動の軌跡が変化したことにより
どこかしらの局部に過負荷がかかって出現する痛みに関しては、
傷口部分ではなく、傷口の周辺組織
(靭帯や筋肉など)や 離れた関節などの別の場所にも起こり得ます。
また、本来動くべき部位 が動かずに、他の部位が 余分に動くことで、
皮膚が滞留
して たるみしわが出現します。

こちらの写真では、傷口部分が皮下組織と癒着しています
フリー素材使用(出典:illustAC)

傷口部分の皮膚や皮下組織に関しては、
皮下組織との滑走性が 見られない、動かなくなることにより、
表皮に分布する末梢神経の増加し、機械的刺激に対する痛覚過敏および熱痛覚閾値の低下が起こり痛みを感知しやすくなる。
また、皮膚が動かないこと
によって、
表皮におけるNGF(Nerve growth factor)産生の増加がみられ、
このこと自体が、慢性的な痛みの原因となります。


以前、こちらにご紹介でお越しくださった方の例ですが、
何年か前に癌の手術を受けられ完治された方で、
側腹部にずっと痛みがあり辛い思いをされていたが、
「癌が治ったんだから、痛みぐらいはしょうがない」
我慢されていたそうです。
(そんな風に思う必要はなくて、治ることは誰しもの当然の権利です)

手術した部位を中心に、
皮膚や皮下組織、筋肉などの滑走性などに、アプローチしたところ、
長年抱えていた痛みが、2回で完治しました。

精神的に緊張するだけでも、この痛みが強くなり、
余計に、精神的に落ち込むことが多かった
とのことでしたが、
「痛みがなくなって、気持ちがすごく前向きになった」

言っていただけた時は、とても嬉しかったです。

保土ヶ谷公園の桜 (記事とは無関係です)

次回は、傷口部分に対するアプローチについてお話したいと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。

hikari整体サロン
吉永 光恵


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