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強さ・弱さってなんだ?

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26人の子どもたちが生活をする、逗子の小さな保育園「うみのこ」。季節が夏から秋へと移り変わり、自然が変わりゆく姿を見せてくれるように、ここ数ヶ月で子どもたちの姿にもぐっと変化があったように感じています。

特に子どもたちの関係性の変化は大きく、目には見えないものなので言葉にするのが難しいのですが、それぞれの繋がりがやさしく、つよく、しなやかになって、気持ちの良い空気が流れています。この変化をうんだ一つのきっかけは、夏のはじまりにした対話だったと思う。

強い人、弱い人ってどんな人?

7月、新しい仲間が加わり4ヶ月経った頃、何人かの子どもたちから「〇〇くんは強い。〇〇ちゃんは弱い」というような声が聞こえてくるようになりました。この強い・弱いという言葉には、どんな思いが含まれているんだろう。なんとなくひっかかり、このまま通り過ぎたくないなと思い、年長児11名と「強い人、弱い人ってどんな人?」という対話の時間を設けることにしました。

子どもたちからは、こんな意見が出ました。

【強い人】
・優しい人
・困っている人がいたら助けてあげること
・「大丈夫?」と聞くこと
・自分のことを弱いと思っている人が本当は強い人
・手伝ってあげられること
・お掃除とか自分の番じゃないのにやる人
・知らんぷりしないで、話を聞くこと
【弱い人】
・いじわるすること
・何もしていないのに泣かせる人
・パンチやキックをすること
・ジャイアンみたいな人
・自分のことを強いと思っている人
・強い言葉で言う人
・イヤなことを言う人
・仲間外れにすること 

ここで出てきた言葉はそれぞれの心の中にあったものだと思うのですが、子どもたちが感覚的に感じ使っていた強さや弱さとは、もしかしたらちょっと違うものが出てきたかもしれないと思いました。年長児にもなると、大人が求めている答えみたいなものも何となくわかるのだろうと。(子どもたちの心をそのまま引き出すのって難しい)

ただ、他の人の意見を聞いたり、話しをしていく中で、今まで自分が思っていた強いや弱いとは少しちがうものとしてその言葉を捉えているような姿や、まだよく分からないというような素直な言葉もあり、一人ひとり感じていることがありそうでした。また、力が強いとか、ケンカが強いとか言うけれど、みんなが感じている“強い”はそれとは違うもので、「心」の話をしているのかもねという気付きが。

そのあと、「自分は強い人だと思う?弱い人だと思う?」と問いかけると、大半の人が「どちらの自分もいる」とのこと。(そう言えるの、すごいなあ)

「怒っている時、どうしてもドンってしまうのを止められない時がある」、「まだ遊んでたい時とか、手伝ってあげられないよね」、「でも、エビ組(年少)さんに優しくしてあげられるんだ」と、本当に子どもたちは自分のことをよく分かっている。「そうだよね。自分の中にどちらの心もあるよね。弱い部分があるのは悪いことじゃないとひかちゃんは思うなあ。でも、うみのこの大人たちは、みんなの中に強い心が大きくなっていくといいなとも思っているよ。」と伝えました。

スタッフも考えよう。

ここから、子どもたちはまた日常の中で他者と関わり、喜びを感じることもあれば、ケンカをし涙を流すことを繰り返していくだろう。その中で、他者との関係性のつくりかた、自分の在りかたなどを体験から構築し、感じ、変化していくだろうし、また今回のようにみんなで話したり、考えたりすることもあるかもしれない。

そう思った時に、うみのこのスタッフたちがまずそのことについて自分自身でしっかり考えられていること、他の人がどんな考え方なのかを知る機会があったほうがいいのではないかと、スタッフでも対話を行うことにしました。

こんな意見がでました。

【強いこころ】
・自分の道を持てていること
 周りがこうだからとかではなく、自分自身で納得(理解)→行動ができること
・ハッピー、たのしい状態でいられること
 そういう考え方ができること
・なりたい自分、見たい世界に向けて自分が/みんなで進むとき
・違いを受け入れて共に進む力
・周りと比べない
・相手のいいところをみつける
・相手を想うことば、相手の気持ちになって伝えられる
・当事者じゃないからと傍観者にならない
【弱いこころ】
・優劣をつける
・自分を強く見せようとする
・一対複数の構造をつくろうとする
  またこの時に、なんとなく同調してそれを一緒にしてしまうこと
・相手の悪いところばかりを見てしまう
・言いすぎること
・~しちゃいけないんだよ、と思考停止で相手を否定する
・誰かのせい/何かのせいにするとき
・苦手なこと、失敗をさける、失敗を隠すこと
 (失敗できる、していいんだって大切!)

強いこころってどうすれば育まれるのだろう?・・・そのあとたっぷりとスタッフで話し合い、これはもう一日一日の積み重ね以上のことはないだろうけれど、こちら側からのアクションとして「あなたのいいところは…」と相手のいいところをみつける時間を設けることにしました。相手のいいところをみつけられることで、優劣をつけるような視点で相手を見たり、関係性を築くことが減ること、また、ああ、わたしはこんなにみんなに認められているんだと気付く機会になってほしいと願って。

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強いこころだからいい、弱いこころだからダメということではない。大切にしたい考え方、在り方だけれど、強いこころ=正義みたいになって、正義をふりかざすようになったら、それは違うよねと思っています。

でも、人はひとりで生きているわけじゃないし、こころで繋がれる仲間がいると、うんと毎日が楽しくなる。子どもたちが健やかに育んでいる関係性を、今日も明日も大事にできますように。

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