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好きでつながり、集えると。

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保育園は、地域で暮らす人たちの場

私が保育士をしている「うみのこ」には、毎日25人の子どもたちが通っていて、25人分だけの“それぞれ”がある。

スキなことも、25通り。
イヤなことも、25通り。
考え方も、感じ方も、25通り。

それだけでも、まぁ多様なことと思うのだが、保育園に関わっている人は、子どもだけじゃない。

保育者、保育サポーター、食堂のスタッフ。少し視野を広げると、地域の方々だって保育園というコミュニティに関わり、形作ってくれている。

保護者のみなさんだって、そうだ。子どもの送り迎えで、ほぼ毎日保育園にきていて、そこに居る子どもや大人と言葉を交わす。子どもたち同様、保育園を生活の場のひとつとして暮らしている人たちだと言えるだろう。

そう考えると、スキなことも、イヤなことも、考え方も、感じ方も、100通りは優に超えるくらい、より複雑で多様なものが、実はこの場にはあることになる。

うみのこも二年目を迎え、「保育園は子どもたちの場」であると閉じてしまうのではなく、グラデーションはあれど「この地域で暮らす人たちの場」として、生態系がようやく動き出してきたように感じている。(もちろん、子どもたちの生活の場である、ということは置き去りにしてはいけない)

そうすると、何が起こるか。誰かの感性が、他の誰かの感性と交差していくのだ。

自分の好きを持ち寄る

それを、何より感じる瞬間は、自分の“好き”を持ち寄るとき。

たとえば、ヒロシさん(年中児/父)は、大の釣り好き。魚好き。週末に海に出ては釣りを楽しみ、大漁の日には、新鮮な魚をうみのこに届けてくれる。

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自分たちも海に出て魚釣りをしたり、エビ採りをしている子どもたちからしたら、大先輩もいいとこ。こんな大きな魚釣れるのすげー!って、尊敬の眼差し。

そんな釣り好きのヒロシさんと、こちらも釣り好きなうみのこたちは、日常の中でも、よく会話を交わす。

「ルアーつくったんだけど、これで つれるかな?」
「エビとるときは、あみ で ガシガシってやるといいんだよ」
「このさかな、おいしいんだよねぇ!」

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傍から見ると、もうただの釣り好きな友だち(笑)。
自分たちだけでは知り得なかった世界の、もうひとつ先にいける感じを互いに楽しんでいて、羨ましいくらいに気持ちの良い関係を築いている。

“好き”を中心に、昨年から関わりを持ち続けてくれているのは、近所のスローフードビストロ「OHANAYA」さん。

コロナ禍で、昨年のように一緒に料理をするという時間はまだ持てていないのだが、先日、子どもたちをお店に招待してくれた。

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「僕はね、子どもの頃から食べることが本当に大好きで。どうやったらずっと食べていられるかなと思って、料理人なったんだよ」と語りながら、包丁さばきも見せてくれる。

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そんなマスターの姿と、何度もおかわりしちゃうくらい美味しい料理に、お腹も心もいっぱいに。

現在、OHANAYAさんでの体験を経て、「じぶんたちも、レストランをひらきたい!」という子どもたちと“うみのこレストラン”の計画も、少しずつ進めてくれている。

他にも、はんこづくりを生業にしているのりおちゃん(年少児/母)は、自分の好きなはんこの世界を子どもたちとも楽しみたいと、月に一度「のりおハンコの日」を開いてくれ、絵本好きなお母さんたちは「絵本クラブ」を発足し、子どもたちに週一読み聞かせを始めてくれた。庭の畑は、シンゴさん(年長児/父)を中心に、実りを届け続けてくれている。

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あなたは、なにが好き?

好きのパワーってすごい。
ただただ好きで、やりたくてやっているのに、それがそこにいる他の人の“好き”と共鳴し合って、大人も子どもも関係なく育っていく。そしてなにより、みんな本当に楽しそうなのだ。

小さな園だからできること?
そうかもしれない。だけど、“好き”という気持ちは誰だって持っているはず。それを少し開くことで、自然とつながるものがある気がする。

年長組のヒサくんではなく、 焚き火好きなヒサくん。
るっくんのパパではなく、海好きなタクちゃん。

お互いを、こんな風に少しずつ知っていくことから始めればいいのだと思う。

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