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読書記録

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私が読んだ本の記録です。
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#読書記録

プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略

ここ数年のあいだ、自分はこう生きようと考えていました。 ・嫌なことはやめる ・できそうなことを伸ばす できそうなことを伸ばすというのは、私にとって自分の成長を感じられることが生きがいだからです。 そ私の生きがいに当たる部分は、他の人だったら、子育て・家族のために何かをすること・仕事で成果を上げるといったことも当てはまると思います。 ところで、ここ最近の社会の変化について考えてみます。 2010年、私が東京から山梨の実家に帰ってきたころは、まだ以下のような価値観を重く受

流れていますか?~坂口恭平さんの『お金の学校』を読んで~

先日手元に届いた坂口恭平さんの『お金の学校』。この本の内容は全てnoteで読むことができます。 そのnoteが本になりました。坂口さんの自主制作(でよいのかな、適切な言い方が分かりませんが)で作られた5000冊限定の本です。 noteでも同じ内容が読めるのに、紙の本になったものを手にとったら、買ってよかったなあとしみじみ思いました。 この本はパソコンやスマホでスクロールするのとは違う読み方をしたいなとも思うんですよね。 内容は、カテゴリー的には自己啓発やビジネス書的な

辻村深月 著『盲目的な恋と友情』

自分が長く深く抱えていた悩みは、その深刻さは異なれど、多くの人が同様に抱えていたものなんだなということは、年齢を重ねるにつれてだんだん判明してくることだ。でもそういった苦悩の沼みたいなものに、はまり続けてしまう人と、いずれ通り過ぎることができる人の差はなんなんだろうということを考え続けてきて、だんだん分かるような気にもなってきた。 苦しい恋から永遠に抜け出せない蘭花と、コンプレックスに苛まれ、友人との距離感がうまくつかめず、理想の人間関係が築けない留利絵。その「イタさ」が、

大原扁理 著『なるべく働きたくない人のためのお金の話』【前編】

大原扁理(おおはらへんり)さんは現在台湾にお住まいなのですが、この本は大原さんが2010年12月から2016年9月まで、約6年間東京で隠居生活をされていた時のことが、詳細に書かれています。 ・家賃28,000(国分寺にてバス・トイレ付き) ・仕事は週二回、時々臨時アルバイト(年収90万円) この条件の中で、心から満足して毎日を楽しく、しかも丁寧に暮らしている様子が淡々と伝わってきます。 お金について考えるとき「自分がどうありたいのか」という問題を避けて通ることができません。

坂口恭平 著『建設現場』

読みながら、わかろうとしなければわかる!ということに気がついた。 少し前の話になるが、10月21日に、青山ブックセンターで行われた坂口恭平さんのトークイベント「書かずにはいられない」に行ってきた。 定員は110名で、会場はほぼ満員だったと思う。 会場に着いて本を書い、席に着いてすこしページをめくってみたのだけれど、いきなり坂口さんの夢の中に入り込んだような書き出しだった。cakesの連載とも印象が似ている。 イベント当時坂口さんは鬱気味で、口も重く、結構弾き語りをはさ

稲垣えみ子著『アフロ記者が記者として書いてきたこと。退職したからこそ書けたこと。』

稲垣えみ子さんと言えば、最近はその節電生活などで有名だけれど、朝日新聞記者だった頃のコラムや、フリーのジャーナリストになってからの記事などを改めて読むと、やはり圧倒される。 ジャーナリストとして「伝えたい」という強い気持ちと、難しいこともシンプルに分かりやすく、かつ強く興味が惹かれるように描かれる言葉には溜息が出る。 昨日自分が書いた「書く意味」という文章を思い出すと死にたくなる。(すぐ回復するけど。) 我が家はずっと朝日新聞をとっているので、当時は稲垣さんの社説やコラ