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やさしいところが曲がる

やさしいところが曲がるんやと思う  久保田紺(『大阪のかたち』)

いつも帰ろうとしている、好きな言葉がある。
「『空想家』とはとてもきちんとした良い人たちのこと」
この言葉は小津夜景さんの『フラワーズ・カンフー』に書いてあった。

私はふらふらする癖があって、一日中、車や自転車、エスカレーター、エレベーター、バス、スワンボート、触れてもいい許可をもらっている手などあらゆる手段を駆使して街のあちこちをふらふらする。

そうしてふらふらし尽くした後に、ほうほうのていで家に帰ってきて、『フラワーズ・カンフー』を開き、ちがうちがうそうじゃない、空想家とはとてもきちんとした良い人たちのこと、と原点に立ち帰る。

いつもきちんとしていたいのに、どうして私のいろんなところが曲がっていくのか今もわからない。
車の運転試験のときも、「そっちじゃない!」と次の試験を待って同乗していただけの受験者に言われたこともあった。その気持ちわかるよ、と私は思った。わかってたけど、曲がっていった。

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